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【後編】「かみ的教育をかんがえる」は決して他人事じゃないと感じた

前回の記事に引き続き、感想を綴っていきます。
前編はこちら。

後半は第二部、第三部についてまとめていきます。

「想いを繋いで未来を作る教育の実践」古賀詠風さん


第二部は浦幌町の地域おこし協力隊、古賀詠風さんのお話。
詠風さんは私と同い年。新卒で浦幌町の地域おこし協力隊に就任した。
今は地域を持続させるための「うらほろスタイル」という活動を担当しており、まちの中高生向け教育の伴走を行っている。


うらほろスタイル


まず詠風さんが地域おこし協力隊へと至った経緯が説明された。地元で過ごした中高時代や大学時代でどんな移り変わりを経て現在があるのか、古賀さんの背景を丁寧に知ることができる。
その後、現在どんなことを行なっているか、うらほろスタイルがどんな運営になっているかなどを話してくださった。

▼アーカイブはこちら

▼二つの文脈

詠風さんの背景については私がここで焼き直すより本人の言葉を見ていただく方がいいだろう。上のアーカイブ動画、44分ごろから見てください。

特に印象に残ったのは地元には何もないと思っていたが見えてなかっただけだったというお話し。大人になってから見えることが増えた。自分で行ける範囲も広がった。だからこそ気付けた地元の魅力、そして尚のこと気になる地元の課題がある。地方出身者なら共感する方も多いのではないかと思う。

そして大学時代の経験を通して変化した"教育"に対する価値観。学校教育だけが教育ではなく、様々な関わりができるということ。

この二つは今の詠風さんを知る上でどちらも大事な文脈だ。
その中で新しい選択肢として地域おこし協力隊という道が出てきたという。

そして話はうらほろスタイルについてへと移る。
事前知識ではうらほろスタイルという教育に関する何かがあるらしい、程度のことしか知らず、
「うらほろスタイルってどんなスタイル?なんだろう?」
「具体的にどんなことを行っているの?」
の部分をあまり知らなかった。
正確には詠風さんのTwitterやnoteなどSNSの発信を通して目にしていたはずだが、私と教育は無関係だと思っていたのもあり、流していたのだと思う。無関心が一番怖い。無意識に「関係ないフィルター」をかけていたのを反省した…。そんな私が詳しく知れる本当に有難い機会となった。

▼黒子に徹するうらほろスタイル

うらほろスタイルはとにかく伴走を徹底している。当事者目線をこんなに実践してる自治体が存在すること自体、希望がある。
外から上から偉そうにひっかきまわすではなく、一対一として接する大人がいる、それが子どもたちにとってどれほど大切で必要なことだろう。子どものときにされて嫌だった大人の態度って意外と大人になっても覚えていたりする。自分への接し方に対してとても敏感なのだ。

うらほろスタイルを通じて子どもたちが実行してきたたくさんの活動の紹介はどれも素敵だった。

・ご当地ゆるキャラ うらはほろま

道の駅で見かけて可愛いな〜と思ってたが地元の中学生発案だったとは。

・浦カフェ。

私が子どもの頃やってみたかった…。笑
やってみたいを実現できる浦幌町。

・絵本作り。

クライマックスを迎え、完成発表間近とのこと。

子どもたちが「やりたい」と言った時に「こうすればできるよ」とすぐに手出しをするのではなくあくまで「どうやったらできると思う?」という姿勢でいることで、子どもたちが自分事として考えられる。
そしてやってみたい!というときに実行するための舞台を黒子の如く整える。この姿勢を何年も積み重ね、「自分たちがやりたいことをやりたいと言っていいんだ」と子どもたちが思えるような信頼関係が生まれているという。

ある子が「大人をほどほどに頼る」と言ったらしい。この言葉って心理的安全性がなければ出てこないと思う。子どもたちがそんな実感を持って主体的にやりたいことに取り組める。うらほろスタイル、なんて素敵なんだ…。

ちなみに詠風さんの書いたnoteを見ると浦幌について詳しくなれる。

▼決して他人事ではない地域の課題

その中でも未だ課題は残るという。
まちをでた子どもたちに対する機会作りだ。
正確にいうと高校のない浦幌町では、高校進学時に必然的に町外の高校を選ぶこととなる。寮に入り家を出る子、公共交通機関を使い通う子、方法は様々だが地域との関わりがそこで極端に減るという。子どもたちにとっては避けようのない状況の中、町との繋がりを持てる環境をどのように作っていけるかが大人たちの課題だという。

私もJRでの高校通学を思い返してみた。地元・日高門別から苫小牧まで通学していたのだ。
起床、6時半すぎには家を出る。7時前にJRに乗る。朝が苦手だったためいつもギリギリに起き、駅に向かう車やJRでおにぎりを食べ朝食を済ませていた。JRでは単語テストの勉強や数学の課題。勉強中寝落ちして、結局ほとんど寝ていた気がする。
8時前に苫小牧駅に着きバスターミナルで乗換。バスに揺られ、8時半前に学校へ着く。
授業は17時過ぎまで。17時半に学校を出る。バスに乗り、18時前に駅着。18時半前にJRが出る。1時間かけてJRに揺られ、19時半過ぎ帰宅。
冬は鹿とぶつかり10〜20分遅れるのは日常茶飯事で、帰宅は20時を過ぎることも多い。そこから晩ご飯。
往復3時間、冬場は往復4時間近くかかっていたのだ。
地域で何かするなんて余裕があるはずはなく、毎日通ってるだけで精一杯だった。
(※当時の時刻表)

私が当時使っていた日高本線はちょうど卒業する年の冬に海沿いの線路の一部が流され、数年はバス代行という形をとっていたものの、現在では全体の8割が廃線となっている。絶望。全体の8割が廃線????
廃線区間は現在正式にバスとなっており、地元から苫小牧に通う高校生はバスとJRと(高校によっては更にそこから)バスに乗り換える必要があるのだ。通学時間は当時よりかかるだろう。片道2時間、冬は2時間半といったところか。往復4〜5時間考えたくない。

そして高校を卒業後、大学進学で町を出た。地元で親族以外の誰かと会ったのは成人式の時くらいだった。
現在の地元がどんな状況にあり、人口はどの程度で、どんな街づくりが行われているのか、たしかに何も知らない。なんなら同級生がどこで生きてるかさえあまり知らない。
釧路の人口や産業や議会の情報ならば多少は知ってるのに、もしかして地元のこと何にも知らないのでは?

詠風さんのプレゼンを聞きながら思った。
…もしかして、教育って無関係じゃないかも。
教育って学校現場以外関係ないと思ってたし、子育て世代以外当事者じゃないと思ってたけど。
もしかして詠風さんの提示している課題感、まさに私らのことでは???

私のように街を出た元・子どもと町がどうやって繋がりを持てるか。いざ自分事として考えた時に全くわからない。
年に数回帰ればいい方で、昨年はそれも難しかった。
今の地元のことを何にも知らず、今更どうやって関われるのか検討もつかない。
そもそも住んでないお前は無関係って町民に思われるんじゃないのとさえ思う。
どうやって町と関われるか?関わる必要があるのか?
そもそも知らないので関わる/関わらない以前の問題で。
地元に興味がない同級生も多く居るようだ。知りようがないので仕方がない。もしかすると何か気になっている人もいるかもしれないがそれさえわからない。
「町」と「出て行った子どもたち」とをどう繋ぐか。街を出て行かざるを得ない子どもたちに大人側がどのように機会を提供してあげられるか。大人が外から町を見た子どもたちに関われる環境を作ってあげられるか。
元・子どもの私もいまだに地元との向き合い方は悩む。なんかやれたらと思いつつ、同時に何もできないように思う。そんな悩みを持つ子どもたちを減らすために、大人たちが何をできるのか
子どもたちが歳を重ねて社会人になっていくのだから、やがて地域を担う世代になる。そことの繋がりがなくなってしまったら地域の未来も繋がらないわけだ。なるほど、地域の教育を考えることは地域の未来を考えることなんだ。
そして浦幌や上川にはこんなに憂いて危機感を抱きながら日々試行錯誤している人々がいるんだ。それを知れただけで行って良かったと思えた。

▼まずは外から地元を知ってみる

後日。浦幌町の話、なんだか全然他人事に思えなくて、というのも好きな地元との関わり方が何か気になってたからで、兎にも角にも地元を知ろうとすることから始めようかななんて思った。
ひとまず地元が近年力を入れているフルーツほおずきを買ってみた。

のざわ農園さんの”太陽の子”という品種。

黄色のミニトマトを甘くしたみたいな、不思議な甘酸っぱさが美味しい。

第三部 交流会

お二人のお話が終わり、その後登壇者と参加者の意見交流の場が設けられた。
地元住民の方が胸に秘めていた想いを吐露してくださり、上川町にある悩みも知れた。
前編の記事でも少し触れたが、早速たけっちょさんと企画を進めているという。わくわく。と記事を書いていたら、あっという間にリリースされてしまった。私の筆が遅い。いや、仕事が早い。行動力の鬼。

また、交流会の中では浦幌町が何故うまく実行できるかについて質問が上がった。責任問題は?活動場所は?などリアルなところがみなさん気になっていたようだ。じゃあ上川ではどんな壁があるかななどと話は発展し大いに盛り上がった。
それぞれが当事者感を持って話していたのが印象的だった。

あっという間の3時間だった。
こうやって人が集い、話せる場。
なんだか場が気になり出した。場と人とまちと。考え出すいいきっかけをいただきました。

その後

①今住んでいる札幌に対して都市としてしか関われてないかも?地域としての札幌ともっと関わってみたい、と思い、縁があってシーソーブックスさんのお手伝いをさせていただくことになりました。全部繋がってるな〜。うれしい。
シーソーブックスさんは素敵な書店で、同時にめちゃくちゃいい場。地元の人がふらっと来たり、お話ししたりしていて、行くと元気をもらえる。

講座の中身も聞けて良かった。共空間。こんなイベントあるよと教えてくださったジンさんに感謝です。オーナーとお話しできる素敵な本屋です。

②地元との関わり方についても模索中。ひとまずは知ることからだ。
そもそも田舎だとか地方だとかについても不勉強でお恥ずかしいと思い、さのかずやさんの「田舎の未来」を読んだ。

これを読んでさらに地元について考えざるを得なかった。感想はまた後日noteで投稿する。
次に読むおすすめの本があればぜひ教えてください。

③そもそもこんな素敵な人々が集うPORTOという場が素敵だと感じ、今度は場について考えている。
いい場ってなんだろう。人が集まるいい場には素敵な人がいる。ではその素敵な人はなぜその街に住んでいるんだろう。その街でどんな関わり方をしているんだろう。なんてところに興味が湧いてきた。
これについても自分なりに考え、やり始めたところだ。手の広げすぎ感は否めないがやりたいこと・興味があることはなんでも勝手にやってくことにする。後日形にしたものを載せていきたい。

おまけ

その日の美味しかったものたち。

二代目鉄人たかはしさんのごまみそラーメン。
現在冬限定のクッパやおみやげのマーラーカオなどがあるようですごく美味しそう。
50円引きのクーポンもらったので次に行くとき絶対行く。
いこいさんの手羽餃子。ビールと合う。
神川。神の水。

おいしかったです。おわり。


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