PC-NFSのファイル名

 インターネット黎明のころ、パソコン通信のBBSへの書き込みした方からその当時どんな雰囲気だったかを聞きます

93/09/24 01:32 PC-NFSのファイル名
長いファイル名は適当にカットされてるようです。
「カットして同じファイル名が複数できたらどうなるか?」
「具体的にどういうルールでカットしてるか?」
とかはよく調べてないので知りません。
p.s そういやスタンバイの中古コーナーに98のイーサボードが
    1万だかで売ってるけど、2週間くらい売れ残ってるなあ。
    自宅でイーサしても仕方ないけど、結構安いと思うのに。          

1993/09 BBS書き込み より

 1993年9月、個人でLANを利用するのはまだ珍しかったようです。この書き込みをした方はかなりPCを使いこなしている側に属する方です。その彼ですら、結構安いと思ったイーサネットワークボードの購入をせず、「自宅でイーサしても仕方ない」と言わしめる状況。各家庭に無線LANがあり、スマートフォンでどんな場所でもネットワークに接続出来るようになっている現在とはかなり環境、感覚が異なるようです。

 1993年時点で家庭内LANやってるのは相当に変わってると思う。
 Windows95はもちろん出てなくて3.0か3.1の時代。for Workgroupの日本語版は出なかったので、Windowsでネットするには英語版を買うしかなかった。もしくはNetWearを使う。Linuxと386BSDが出始めた頃で、PCでもUNIXが使えるぜ!ってようやく言い始めた時代。当然デバドラが不十分だから、ジャンクで買ってきたNICが使えるような代物ではない。
 PC-NFSは職場で採用されていて、当時は98でモデリングしてUNIXでレンダリングしてて、そのファイル転送を効率化するのにPC-NFS。ご家庭にはサーバになるUNIXはない時代です。
 Linuxはまだまだ厳しく、最初のリーナスの投稿があったのが91年か92年だっけ。93年ってまだタネンバウム教授とバチバチやってた頃じゃなかったかな。Linux厳しいという意味では、93年頃だと多分まだディストリビューションが無かったと思う。カーネルダウンロードしてきて自力でユーザランド構築しないと使えない。
 自分が最初に家庭内LANを導入したのがいつかはちゃんと覚えてない。Win95が出てもまだやっていなかったと思う。
 確かなのは、1997年頃には自宅にFreeBSDサーバを構築して、デスクトップのWindowsからtelnetして使うというスタイルが確立してたはず。
 PC-NFSはジャストシステムの製品を使っていて、研究室ではemacsを使うのは院生の特権。学部生はviを使えと言われていた。

BBS書き込みした方による現在のコメント

 研究室や職場などでのPC-9801を使ったTCP/IPの利用はNFSクライアント動かして使うよりは、VT端末として使ってエディタやメール、ネットニュースを閲覧する使い方が多かったそうです。cursesという端末コントロールライブラリを使ってのPC-9801のテキストV-RAM上でテキストベースで軽快に動作するVT端末を利用する方法は、比較的低コストでネットワークを便利に利用する方法だったようです。
 サーバ側のワークステーションでGUI動かして作業しようとすると重くなるので、ちょっと君ひかえてくれないか、そっちのテキスト端末使うように、なんて言われるところもあったみたいです。

用語

・PC-NFS
 パーソナルコンピューター用のプログラムで、ネットワークファイルシステム (NFS)の サーバーで提供されているファイルシステムをパーソナルコンピューター側でアクセスできるようにするクライアントソフトウェア。MS-DOSにデバイスドライバの形で提供されていて、このプログラム自体がかなり高価なソフトウェアです。MS-DOSのファイル名制限により、ファイル名8文字+拡張子3文字、大文字・小文字は区別しない、ファイル名にピリオドを含む場合など、色々なところで各クライアントソフトウェアの対応が異なっている。なんらかのファイル操作をする場合には、ファイル名変換法則やファイルオープン時の挙動など、少し調べてから利用する必要がある。
例: LAN/インターネット総合型通信ソフトウェア

LAN/インターネット総合型通信ソフトウェア https://www.allied-telesis.co.jp/products/list/software/pctcp/catalog.html より

・NFS
  UNIX系のOSで利用されるファイル共有システム。NFS/ネットワークファイルシステムは、ファイルをサーバ側において、NFSサーバと呼ばれるファイルサーバを動かしつづける必要がある。1993年ごろはLinuxなどがまだそれほど一般的でなく、NFSサーバはワークステーションで動作するUNIX系のOSで動かす必要があったため、ワークステーション本体とそのOSが高価な事もあり個人が導入するのは難易度が高い。現在ではLinuxなどの無償提供されているOSをPCで利用することで容易かつ安価にNFSサーバを用意する事が出来るだけでなく、NAS/Network Attached StorageがNFSサーバ機能があったり、ルーターにNAS機能まで含まれていることもあったりと、便利になっている。

・98のイーサボード
 NEC PC-9801シリーズ用の拡張ハードウェアのイーサネットワーク対応ボード。当時の大部分のパーソナルコンピューターにはイーサネットワークが標準装備されておらず、ネットワークに接続するためには拡張ハードウェアボードを接続する必要がある。イーサネットワークボード自体の価格がまだ高価で、定価で数万円。対応するネットワークインターフェイスは現在で一般的になっている10BASE-Tなどで使用されるRJ-45ではなく、BNCコネクタとD-Sub 15ピンのAUI接続用コネクタだけの事が多い。主としてMS-DOSにのみ対応しているハードウェアボード。

・スタンバイ
 かつて大阪の日本橋にあったパソコンショップ。ソフマップと対抗するような位置づけで、いくつか店舗が存在し、パソコンや周辺機器の販売がメイン。残念ながら現在は廃業。

・VT端末
 DEC VT100のエミュレーションを行うターミナルソフトウェアを用いて、VT100相当の挙動をする端末。PC-9801のキャラクタインターフェイスを利用しつつ、ネットワーク経由でサーバに接続する。UNIX系だとGUIで使用するxterm、windowsではTera TermやPuTTYなどのフリーソフトウェアがVT端末用として良く使われる。

 インターネット黎明のころの草の根BBSももりこみつつ、いろんなエピソードをつめこんだ「ちょっと偏ったインターネット老人会へようこそ」を同人誌として頒布予定です。
参加予定イベント
 11月6日 おもしろ同人誌バザール@神保町2022秋
 11月20日 第七回技術書同人誌博覧会

同人サークル BLACK FTZやってます twitter @black_ftz

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