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#読書メモ_1『そのとき、日本は何人養える?』


読めてよかった!次のことが特に学びになった。

1.モノが安いことは、必ずしも良いこととは言えないこと

 スーパーの安売りチラシや、材料費が高騰しているにも関わらずお客さんのために価格を据え置くお弁当屋さんの報道などから、無意識のうちに安い=良いこと、値上がり=悪いことと当然のように捉えていたように思うが、その認識を改めるきっかけになった。安いものに消費者が飛びつく→そのサービスの生産に関わる人の賃金が低く抑えられ、生活が苦しくなる→生活が苦しいため、消費が抑えられる→経済が停滞する

2.飢餓は必ずしも食料の不足が原因で起きるわけではないということ

 これについても、単に不作などで食料が不足し飢餓が発生するものだと思い込んでいた。飢餓が起きるメカニズムについてはアマルティア・セン氏の研究を論拠に説明がされていたので、さっそく私も『貧困と飢餓』を読んでみようと思った。日本の飢餓の歴史についても学びたい。

 先日、全身麻酔を伴う外科手術をしていただく機会があった。翌日には食事がとれるし座位ができると聞いていたので、あまり心配もなく手術に臨んだが、術後の苦しみは今まで経験したことのない、自分にとっては壮絶なものだった。強烈な喉の渇き、四肢の不自由、痛み、睡眠不足、そして飢え。自分がいかに今まであらゆる身体的苦痛から守られて、幸せに暮らしてきたのか思い知った。そして、この世の恐ろしさの片鱗に触れたような気がした。

  だけど、少し前までは日本でも頻繁に飢饉が起きていたらしい(世界では今も多くの人が飢えている) 本当に?そんなに恐ろしいことがこの世にあるなんて、正直信じたくない。

3.現在のことや自分の周りのことだけを見て過度に悲観的になったり楽観的になったりするのではなく、他の国(地域)や歴史・古典から深く学び、メタ的な視点を獲得しなければ、意味のある議論はできないのではないかということ

 こうして、勉強しなくてはいけないことは無限に増えていく…。大人も大学に行って(必ずしも大学である必要は無いけど)学ぶことが普通の世の中になればいいのに。18歳くらいで一斉に大学に入り、4年間通い、一斉に就職して一生働いてって、へんてこりんな仕組みだなあ。社会人になって一度働いてみてからのほうがむしろ、自分の興味関心や問題意識や疑問がはっきりしてきて、学びたいという気持ちが強まってきている。大学での環境がいかに素晴らしいものであったか、卒業してから思い知った。
 

4.あらゆることは繋がっていて、ある問題を単独で解決することはできないということ

 本書の内容でいえば、農業が元気であるためには、農業以外の産業が元気であることが必要だという点が勉強になった。食や農とは関係のないように見える業種でも、実はそれらを支えている。ひとつの社会(経済圏?)は生き物のようなもので、そこに属す自分達はその生き物のひとつひとつの細胞のようなものなのかなあと思った。それぞれの臓器は独立しているかのようにみえるが、実際は相互に作用しあっている。

<キーワード>
アマルティア・セン
『ローマ帝国の崩壊』
ケインズ経済学
自由主義
新自由主義
ステークホルダー資本主義



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