ゲームと音の話

 当記事は、「FUN Advent Calendar 2021 part2」の7日目の記事です。

 前回はfewlessさんの「趣味と知識は紙一重」でした。

 はじめましての方ははじめまして。VEPのプロです。嘘です。
 マジではじめましての方のために軽く自己紹介します。
 学部4年知シスの音楽オタクです。以上。

 一応垢バレ防止のために「あ」って文字でアカウント使ってますが、別にハンネではないので「あ」って呼ばれてもマジで反応できないです。(Twitterの空リプとか)
 本名知ってる人は本名で呼んでくれればいいし、知らない人はフライゴンとでも呼んでください。好きなので。

 さて、アドカレの内容についてですが、案は何個かあったけど何書くかは決まっておらず、𝓣𝔀𝓲𝓽𝓽𝓮𝓻でアンケ取ったら某後輩から「全部見たいです」って言われたので全部書きたいと思います。(去年もこんな感じのことあった気がするなぁ)
執筆開始12/6なので量少なかったら察してください

 昨年度の記事と同じく一部専門的な話とかも出てくるので、雰囲気だけでも感じ取っていただけたらと…!!


ゲームとBGM

BGMとは?

 BGMってなんぞや??って人は流石にいないと思うけど一応。

背景音楽(はいけいおんがく)またはバックグラウンド・ミュージック(英: background music)は、特定の空間や映像などの背景に、雰囲気の醸成といった目的のもと小音量で流される音楽・音響である。BGM(ビージーエム)の略称も用いられるほか、バックミュージックやバックグラウンド、バックとも称される。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 僕自身ゲームのBGMが好きで小中の頃とかポケモンのBGMずっと聴いてました。今の自分の作風にも大きな影響を与えてる要素の一つですね。
 所謂「ボス曲」的な曲を大変好んでおります故、DPのシロナ戦とかBWのN戦とかその辺の曲が大好きです。

 BGMってあくまでも「背景音楽」なので、それがメインになってしまうのは違うんじゃないかってのが僕の持論です。主張しすぎず、ゲームの雰囲気を支えてあげる程度がベストなのかなぁと。そこの塩梅がとても難しい…

BGMを作った

 実は半年くらい前に友人からゲームのBGMを制作してほしいというご依頼を頂きまして、小生、作らせていただきました。

こちら、神ゲーでございますので是非皆さんプレイしてください!!!

 今回の依頼では、某有名ゲーム某神曲みたいな雰囲気で作ってほしいと言われたので、その曲らしい様々なエッセンスを詰め込みました。
多分聞いたらある程度の人は何の曲をリファレンスにしたかわかると思うのでVIVID RUNをプレイして聴いてみてね。
(ちなみにステージ3クリアまでいかないと尺の都合上最後まで聴けないです;;)

 依頼側の想定しているゲームの雰囲気を理解するのってなかなか難しいので、リファレンスの楽曲があるととても作りやすいです。
 楽曲制作の依頼とかするときは何曲かリファレンス用意したらいいと思います。


作成したBGMの解説

 ってことで今回は「VIVID RUN」のBGMをもとに色々書いていこうと思います。

 ゲームのBGMの作り方といっても、特別書けることもないので自分はこんな感じで作ったよ~的なことを書いてきたいと思います。

cubase君のプロジェクト画面

 トラック数は42でした。僕にしては若干少な目ですね。
色分けはテキトーです。ドラム隊は黄色、ベースはオレンジとかにしてます。

 leadの音は8bit系のピコピコした音を多めに使いました。可愛いので。
 あと、ベル系の音も至る所に散りばめております。可愛いので。

 ベースは今回はめちゃくちゃ動かしてます。動かした方がなんか楽しい感じになりますね。普段はクラブミュージック的な曲ばっかり作ってるのでベースは裏打ちばっかりですが、たまにはこういう曲も作っていきたいな~

めっちゃ動かしたベースライン

 あとはマスターでの音圧上げはいつもより控えめにしてます。具体的に言うと、僕は普段RMS値-6.0ギリギリくらいまで盛るんですけど今回は大体-10.0くらいでした。(RMS値-6.0はかなりモリモリなので多分マネしない方がいいと思う!)
 ゲームってBGMメインじゃないし音圧稼いでもそこまで意味ないかなぁって思って控えめにしたんですけどどうなんですかね?詳しい人いたら教えてください。

 僕が今回作ったBGMはイントロ付きのBGMなので、Unity側で処理しやすいようイントロ部分とループ部分に分けて納品しましたが、調べてみると音源側でループポイントを設定出来るっぽいです。フリーソフトの「SoundEngine」とかでできるっぽいので、設定した方がゲーム制作側の負担を減らせて優しいですね。多分!

 今回はブラウザゲーなのでしませんでしたが、スマホゲーだと超低域はバッサリ切っちゃうらしいですね。スマホのスピーカー程度じゃそんな音域鳴らないし邪魔なので。

超低域

 このくらいでいいかな…?
 自分自身まだまだ勉強中なので、もっと経験積んで圧倒的成長をしたいです。


ゲームとSE

SEとは?

 SEはシステムエンジニアのSEじゃないです。サウンドエフェクトです。

効果音(こうかおん)とは、映画・演劇・テレビドラマ・ラジオドラマ・アニメ・ゲーム等において、演出の一環として付け加えられる音。舞台環境、状態を説明するための具体的な環境音(戦場の銃撃音、格闘の打撃、刀で斬る音、街頭の雑踏、駅の発車アナウンス、犬の鳴き声、海辺の潮騒等)や、登場人物の心象を象徴させるための音などがある。また、ノックの音を切っ掛けに、室内にいる役者が人を招き入れる芝居を始めるなどのように芝居の切っ掛けとしての使用法もある。音響効果(おんきょうこうか)、サウンドエフェクト (sound effect)、略してSEともいう。音楽コンサートにおいては開演前に客席に流す音楽や歌曲もSEと呼ぶ。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 今年の8月に某ゲーム会社のインターンがありまして、その課題提出が「ゲームの映像にSEを付ける」というものだったんですけど、これが予想以上に面白かったのでその話をしようと思います。

SEを作った

 とりあえず、実際に僕が作ったSEを聴いていただきたいのですが、企業との規約的に映像付きの完成品出したら怒られそうなので映像無しverを共有したいと思います。

映像は脳内補完してください

 こちらの音、全部自分が付けました。
 素材の音をエフェクターで加工したりシンセで音作ったりしました。
(ちなみに課題提出の期限が院試の次の日だったのでRTAしてました)



作成したSEの解説

 cubaseのプロジェクトを見ていきましょう。

cubase君のプロジェクト

 黄色の部分は動画ファイルが入ってます。これで映像流しながらタイミングを微調整していく感じですね。
 ちなみにCubase 10.5からは動画の書き出しにも対応したらしいです。
僕はCubase10なので音声書き出してAviUtlでくっつけて提出しました。

 鳴ってる音すべてを解説するのは厳しいので、一部抜粋しつつ解説してきます。


Laser音(6秒~)

 まずレーザーの音作りですが、たしかシンセで作ったはず。加工した音を書き出して使用してたので具体的な作り方は残ってないですが、たしかimpact系の音にsine波のpitchをenvelopeで調整したものを合わせた気がする。シンセはKiloheartsPhase Plantを使用したはず。まぁsine波鳴らすだけなのでなんのシンセでも作れるとは思いますが…
 その合わせた音にdistortionやdelay, reverb等々をかけつつEQで調整って感じだったはず…!!
 エフェクターも先述のKiloheartsのプラグインをかなり使用してるのですが、シンプルで扱いやすく質も良いのでオススメです。僕は今年度入った辺りからサブスクで全プラグイン使い放題です。月1000円強とかです。

kiloheartsのプラグインたち

 折角なので作ったレーザー音を配布しちゃいます。
 ゲーム作りとかで使っていただければ。

 先ほどの音声を聞いていただければわかると思うのですが、課題の映像ではレーザーはたくさん射出されてました。ただ単純に射出されたタイミングで音を鳴らすだけではリアリティに欠けてしまいます。そこでパン振りです。

パンニング(英: panning)とは、ステレオやサラウンドなどの多チャンネルオーディオにおいて、音像定位を(多くは水平方向に)変化させる表現、またはその機能。単にパンとも呼ぶ。パノラマ(英: panorama)に由来。
パンニングはチャンネル(スピーカー)間の音量差によって音像定位を表現する。ステレオフォニックでは、左右スピーカー間の空間に音像を定位させることができる。スピーカー間の実在しない空間に仮想音像を感じる現象をファントムと呼び、パンニングはこの現象を利用している。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 Breadをshakeしてるわけではないです。

 簡単に言うと音を左右に振るってことです。モノラル環境で聞いてる人はいないと思いますがイヤホンとかで聞いたらレーザー音が左右それぞれ別の位置から聴こえるはずです。
 今回は左右合わせて11個のトラックを作成してそれぞれパンを振ってます。(本当は射出されるレーザーごとに分けた方が良さそう)
 音の距離感は音量の大きさやリバーブのかかり具合、HPFとLPFのカットオフとかでそれぞれ調整してます。より臨場感を出したいならそれぞれオートメーションとかで動かしてあげた方が良さそうですが、自分は手抜きしちゃいました。Multipassとかでマクロ組んじゃうとこの辺の処理もうちょい楽にできそうです。


足音(7秒~)

 今回の課題では、二人のキャラクターが走って攻撃をするシーンがあります。それぞれのキャラクターで音の違いを付けるために、片方のキャラの足音はEQで低域を少し切り、軽めの印象を与えるようにしました。
 また、足が地面に着くタイミングで音を鳴らさなきゃいけないので、映像を見ながらフレーム単位での作業をしなきゃいけないので超大変でした。数msズレるだけでもかなり気になっちゃうので繊細にやらなきゃダメですね。

ここだけで30分くらいはかかった

 ちなみにズザアァァァァって感じの滑る音はシンセで作ってます。sylenth1というシンセでノイズオシレータのenvelopeを調整して後は外部のエフェクト刺して終わりって感じです。効果音って意外とノイズから作ること多いですね。

sylenth1

斬撃音(11秒~)

 ゴッツい剣を振りかざすけど片手で受け止められる…的なシーンの斬撃音です。今回は4つの音を重ねて作成しました。

 一番上が剣を振るときの金属音。(現実ではそんな音ないけど…)
 2つ目が金属のぶつかったような衝撃音。
 3つ目が受け止めた時のジジジジ的な音。
 一番下が剣を振るときの風切り音です。

 この辺の音の処理が個人的には一番力を入れた部分です。エフェクターもこの辺はいっぱいインサートしてる。distortionやsaturatorとかで原音ガッツリ歪ませて空間系って感じです。
 音重ねる分、帯域の処理は結構丁寧にしてあげないとダメですね。それぞれの音の役割を意識しつつ削っていきましょう。

こいつ挿すと音が太くなるよ!!

環境音

 日常で全くの無音下で生活してる人っていないと思います。無響室で生活してる人とかいたらごめんなさい。
 少なからず周りの物音だったり環境音が聞こえてるはずです。余程のことがない限りは無音は避けるべきでしょう。

 今回の課題は、廃墟のような場所での戦闘シーンだったので、おどろおどろしいテクスチャと風の音を重ねてみました。音量は大きすぎずreverbは深めにかけてよさそう?


 さて、「ゲームとSE」とか言いながら映像に音を付ける話になってしまいました。SE作成(サウンドデザイン)についてはかなり専門的な話になりそうで大雑把にしか書きませんでしたが、詳しく聞きたい人がいそうなら別で記事書こうかな…とかいいつつ自分もまだまだ勉強中なので(ry
 今回のSEは主にフリーのサウンドライブラリを加工しながら作成しましたが、後々は自分で録音からやってみたいですね。ちゃんとしたマイク買おうとすると貧困大学生の財布ががが…


おまけ:インターンの話

 インターンはセミナー形式で、課題の講評しつつ質疑応答って感じでした。ちなみに自分は賞は取れませんでしたが、グレードはAで大体上位10~20%辺りでした。初めてにしては頑張った方かなと思ってます。
 個別講評は賞を取った方々のみで他はグレードごとの講評だったのですが、ありがたいことに後日上位者向けのメッセージで個別フィードバックを頂けました。
 内容としては「映像に対する音の質感が掴みきれてない」ということでした。自分の作品は音が鳴っているであろう部分に音を当てているだけで、映像の雰囲気に合う音の質感という部分にはあまり力を入れれていなかったかもしれません。その音の質感を掴むために最近はアニメとか見てSEの勉強してます。こういうシーンでこういう音が鳴ってるのかぁ的な感じで音を意識しながら見るようになっちゃったので、内容が全然頭に入ってこなくなりました。
 他のフィードバックとしては、「やりたいことはちゃんとできてる」、「音をちゃんとつくっているのであれば感心だ」って感じでお褒めの言葉を頂いたので照れてます。えへへ。

 SEの話ってか創作全般の話になっちゃうんですけど、自分の作品を公開してフィードバック貰うのってすごい量の経験値貰えるな~と。井の中の蛙大海を知らずにならないためにもこういうイベントには今後も参加していきたいですね。


ゲーム作ってる話

今こんなゲーム作ってるよ

 こちらのゲーム、BGMから効果音まで全部自分が担当しています。
 僕含めた4人のメンバーで毎週開発しております。僕以外最強すぎるので僕いらないかもしれません!!

完成まで乞うご期待!!!!!

おわりに

 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。本当はキモイ音の作り方とか書こうと思ってたんですけど、マジの誰得記事になりそうだったのでやめました。(興味ある人は「@fry5n_330 daily キモイ音」で調べたらいいかも)

 この記事でゲームのBGMやSEに興味を持っていただけたら幸いです。「オリキャラのテーマソングを作りたい!」は無かったんだ、いいね?

 


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 はこだて未来大学放送サークル(FUN-BS)様の作品「愛の音」にて、一部楽曲のお手伝いをさせていただきました。

 ラジオドラマ作品の音楽を作らせて頂くのは初めてでしたが、原稿を読みながら雰囲気をイメージして作曲するのは楽しかったです。貴重な経験をありがとうございました!
 こちらの作品は12月19日(日) 17時40分からプレミア公開されるらしいのでぜひご覧ください!!

FUN-BSの話はこちらからどうぞ

 BGMやSE等、音楽の制作依頼はいつでも受け付けておりますので、サークルに限らず個人の方でもお気軽にご相談ください。



 今年度は院試や卒研で忙しかったから来年はもっと創作に時間を費やしていきたいなぁ…









おまけ

電音部を聴け!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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