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初めてガンズを観た話

 中学生にとって、4000円という金額はどれほど大きいものだろうか。 
 ジャニーズや韓国アイドルグループに大多数の女子中学生が虜になっていたあの頃、洋楽の沼に片足を突っ込んでいた中学生の私(2017年だから13歳の時かな)は、ガンズ来日を記念した限定のTシャツをUFOキャッチャーで見かけた。4000円という中学生にとってはでかい金額をつぎ込み、クラスの友達、ゲームセンターのおばさんと試行錯誤してなんとかそのTシャツをゲットし、とてつもない喜びに満ち溢れたのを大学生になった今も忘れない。

11月15日12時

今日、私は初めてガンズアンドローゼズをこの目で見る。もちろん、思い出のあのTシャツを着て…。
私のガンズとの出会いは、「Welcome to the jungle」のMVだ。美男子だったころのアクセルローズ。女子中学生からしたら過激なサウンド。激しく鳴り響くギターに心を打たれた私は、一瞬にして時代錯誤ともいえるこのバンドの大ファンとなった。私の洋楽の原点の一つともいえるガンズを今日、生で観れることにまだ実感がない。Civil Warのイントロで絶対泣く自信があるな。ライブの前に、心のうちを少々書き留めたい。年を取るにつれ、この世には良い曲がありすぎて、時間が足りないことに気づいた。聴く音楽もどんどん深くなって、正直ガンズから離れていた自分もいた。Tame ImparaやThe xxの方が正直かっこいいし、ガンズはちょっと違うなとか思い始めている自分もいた。しかし、来日するということで久々に「Appetite for Destruction」を何年かぶりに通しで聴いた。めちゃくちゃかっこよかった。私が馬鹿だった…。音楽のすばらしさに気づき始めたあの頃を思い出して、全身からエネルギーが満ちるのを感じたのだ。はー、数時間後には、埼玉がLAになるのか...。


いざ開演

 午後二時半。「そろそろ行かなきゃな」と思い、自分自身二回目の埼玉に足を運んだ。南浦和駅あたりで明らかにガンズのライブに行くんだろうな、というおじさんの姿が目に入るようになった。そして、さいたま新都心駅。見渡す限りのいかつい人たち。40代の方が一番多い印象だった。ご飯を食べようと思ってベンチに座った。すると、隣のベンチに座っていたおじさんたちが、『Appetite for Destruction』のTシャツを着た私を見て「○○年前には若い女の人なんていなかったのにな~」と言うのが聞こえたりもした。

会場に入って、SS席の一列目に座り、「隣の座席が同年代の女の人だったら、友達になりたいな〜」なんてウキウキしていた。結果として、両隣おじさんで、真後ろもおじさんだった。(極めつけは真後ろのおじさんは、かなりの酔っ払い集団だった)酔っ払いたちは、ガンズ全盛期を知っている世代らしく、「おいガンズ、中学生ぶりだなぁ」、「ガンズ、生で観れるんだぜ?アルコール、アルコール!」「ライブ始まってほしくないよ~。この時間が終わるんだからさぁ」などなど開演までずっと聞き耳を立ててしまうほどうるさく(褒め言葉)、面白い会話だった。私の真隣の、還暦は越えているだろう眼鏡をかけた大学教授のような寡黙な風貌のおじいさんは、開演までずっと本を読んでいて「へ〜この人もガンズ好きなんだ」と内心驚いた。

感想


 正直、開演前までアクセルの声の調子など様々なことを心配していて、でもガンズを生で観れるから許容するか…と思っている自分もいた。

 結論から言おう。本当に素晴らしいライブだった。

 暗転した時のあの興奮。私の大好きな曲の一つであるMr. Brownstone。Live and Let Dieもとても良かった。そして、何度聴いたかわからないEstranged。You Could Be Mineが始まったときのあの歓声。ダフのThe stoogesのカバーはこのライブの見どころの一つだっただろう。歌うますぎでしょ。かっこいいな、本当に。そして、そして、そして。私が一番聴きたかったCivil War。国旗はずるいよ...。ライブが始まって静かになっていた酔っ払いたちも「おお、Civil Warじゃん!」と喜びの声をあげていた。
私は、ライブ中、何度も目を閉じた。なぜなら、私が中学生の時何度もYou Tubeで観た『あの頃の』ガンズアンドローゼズの姿が浮かび上がってきたからだ。それほど、素晴らしかった。メンバーは確かに老いてしまったかもしれない。しかし、November RainやKnockin' on Heaven's Door、Nightrainで目を瞑ると、目の前には若き日のガンズの姿が浮かび上がってきて、「私は今、伝説を見ている…」と感極まった。
2日経った今もあの感動を思い出せる。

終わりに

前述した大学教授のようなおじいさんは、ライブが始まってからはノリノリで横揺れを始めて、微笑ましく感じた。しかし、Sweet Child o’ Mineのイントロが流れた瞬間、動きが止まった。気になって見てみると、眼鏡を外している。目からは大粒の涙がこぼれていた。「あぁ、この人は私が生まれる前からガンズの大ファンなんだな…」と感じ、私も号泣してしまった。やはり、Sweet Child o’ Mineは凄いよ…。

 さいたまスーパーアリーナはあの日、確かにLAになった。私が目撃したのだから間違いない。いや会場にいた全員が目撃しただろう。あの場にいた全員が特別な思い出である『あの頃』を思い出したライブだったのではないだろうか。

私たちに懐かしいあの頃を思い出させてくれたGuns N' Roses。本当にありがとう。

ただひとつ、言わせてくれ。Don't cryが聴きたかった!!!!!!!

おわり

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