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125ccのバイクで日本一周【100日目】 愛媛県松山市

この日は記念すべき俺旅100日目となります。まさかこの記念すべきメモリアルデイが、この旅最大の危機の日になるとは思いもしませんでした。

しかし、そうですか、この日が100日目だったのですね。こうやって振り返ってみると非常に感慨深いと言うか、何というか…。へえ、そうですか。

いやいや、しかしあっという間でしたね。色々ありました100日間。ちょっと前は奄美大島を走っていたんだよな俺。なにやってんだかな。

と、思いを馳せている余裕はありません。この日は忙しいのです。

四国2日目は小雨の降る残念な曇り空でのスタートと相成りましたが、まずは大好物の「松山城」に行くのですよ。リフトに乗ってテンション上げます。

松山城リフト


生憎の天気で残念だが、盛り沢山で積み木のような連立式天守、そして標高160メートルからの美しい眺望、眼下に広がる街並み、見事な石垣、そしてナイスな天守内と見所満載でございます。

見応えという点では姫路城にも劣らないと思うのは俺だけか。

天守内
VR松山城の水樹奈々穣
俺討死の廊下
天守からの眺望
葵の御紋


まさに俺の理想の「城像」が全て詰まっている松山城。もう、タマラン。本当に大好きだ。マズいマズい、いつまででもいれる。ここは心を鬼にして下城せねば。

今日は雨降りだし、風呂にも入らないので寄らなくても良いかと思ったが、まあ折角なので記念撮影。この雰囲気がタマランのです。

道後温泉


さてそれでは一満足したことだし、お遍路の続きに入ります。


第五十一番 石手寺
小さい境内に盛りだくさん。個人的にこの雑多感がタマラン。こちらも国宝重文が普通におわします。


第五十番 繁多寺
こちらは、綺麗に整備されたシンプル境内。なるほどイロイロだな真言88。自然が濃いぞ。


第四十九番 浄土寺

重文の空也上人像がおわすとの事で楽しみにしていたが、残念見られず。


この辺りで結構、雨が激しくなってきた。空と時計を交互に見ながら、とりあえず行けるだけ進む事にする。


第四十八番 西林寺

シンプルな境内だが、福寿地蔵がチャーミング。緑も良いよ。


第四十七番 八坂寺
唐破風の建物が多いな。寺務所も立派だった。素敵な檀家さんが多いのか。


第四十六番 浄瑠璃寺
狭い空間に色々密集している。樹齢1000年のビャクシンが印象的。素敵です。


ここまでは雨の中とは言え、そこそこ順調に進んでいたんだ。

トラブルは次の第四十五番の岩谷寺で起きた。

浄瑠璃寺からおよそ1時間、雨の山中を進みなんとか到着した時は、もう15時を過ぎていた。この日はこの寺で終了にする予定だったが、宿が結構離れた所しか見つからず、少々焦っていたんだな。

岩谷寺はこれまでの寺とは異なり山中にポツリとある寺で、山と岩に囲まれた高台に境内があるもよう。参道の入り口から本堂まで徒歩20分とある。マジですか。よりによってこのタイミングか。

麓には大きな駐車場があるのだが、坂を登ったその先にもより参道に近い駐車場があるようなので進んでみる。なるほど、確かに坂の天辺に大きな駐車場があった。

ここにバイクを停めて良いのだろうか、それとも別な場所に駐輪場でもあるのかと辺りを見回す俺。これまでの経験だと駐車場の奥に駐輪場があったりしたんだが。

訪ねようにも誰もいない。坂の途中でさてどうするかと思っていた矢先、雨のせいで足が滑り自重の重さも重なって、そのまま後ろに引きづられ、ウイリーするように思いっきりコケた。

マジで自分が一番ビックリした。

色々とイヤな音がしたんだが、とりあえず身体は大丈夫そうだ。慌ててエンジンを切りバイクを起こそうと思ったが、焦ってたんだな。フル装備のバイクを雨の坂道で起こせるはずもなく、持ち上げた途中で滑ってまた倒してしまった。

クルクルと回転するリアタイヤを呆然と眺める俺、よく見たら手から出血していた。冷静になるためとりあえず止血し、倒れたバイクの荷物を一つづつ外して何とか立たせる。とにかくまずは、坂道から平らな場所に移動し点検だ。

バイクと全て荷物を駐車場の隅に寄せ改めて確認すると、フロントキャリアがグニャリと変形し、風防も歪んでいた。その他、あちこち傷だらけにはなっていたが、大きな破損箇所はなさそうだ。

エンジンもかかるしライトも点いた。変形したフロントキャリアを外し、確認したがハンドルもブレてなさそうだ。よし。試しに軽く走ってみたがギヤも入る。走行に問題は無さそうだ。ホッと一安心したところで、試しにウインカーを点けてみたら、これが無反応。

他の電気系は大丈夫なので、接触不良かと思い工具を広げて確認作業に入る。そのまま1時間、雨の中の必死の作業も空しく、まったくウインカーが反応しない。辺りはドンドン暗くなってきている。

マイッた。本当にマイッた。辺りは全く人気の無い山中。止まない雨。びしょ濡れの俺。どうする? 致命傷ではなくてもウインカーが点かないと走ることは出来ない。超怖いが、ここでテント貼って一晩明かすか? いや、そうした所でバイクは治らん。


結果、レッカーしてもらうことにした。

保険会社に連絡し事情を伝え、あちこちたらい回しにされ何とか手続きが済んだのは2時間後。レッカーの手配が出来たので、時間は分からないが迎えが来るまで待機していてくれとのことだ。

言われた通り、人っ子一人いない街道沿いのバスの停留所で雨宿りしながら、じっと助けを待つ俺と相棒。

知らない街の山々は、日が暮れると物凄く怖く感じるのです。

凹んだなあ、この時はもの凄く凹んだ。

もう旅は終わりになるかもって思った。時間が経つにつれ徐々に身体のアチコチが痛み出すし、腹は減るし寒いし。本当に人気が無いから心細いし。

どうせトラブるなら、せめてもう少し人気のある、街中の寺でトラブれば良かったと訳のわからない現実逃避をしたりした。俺が悪いのにな。

こういう時は誰かに話して笑い話にしてしまうのが一番なんだが、今回の場合はちょっとシャレにならなそうなのでね、とにかくひたすらじっと座って助けを待ってた。

唯一救われたのは、松山市で修理を引き受けてくれる店がすぐ見つかったことだ。とりあえず今日は遅いので、明日午前中にバイクを受け入れ状態を確認し、遅くても夕方までには連絡をくれる手筈となった。

軽傷であることを祈るばかりだ。

それから、およそ1時間30分、雨が少し穏やかになってきたころ、逢魔時の伊予の山中に似つかわしく無い、デカく派手なトラックが現れた。

本当に来てくれたよ。

ドライバーのお兄ちゃんがとても明るく気の良い人で、なんだかとても救われた。テキパキとバイクを乗せ、俺自身は公共の交通機関が使える場所まで乗せてくれるとのこと。

タスカリマシタ 本当にアリガトウゴザイマス。

レッカーな相棒


今日走ってきた道を松山まで戻る道中、お兄ちゃんが地元の話を色々聞かせくれた。本当に愛媛が大好きなんだって凄く伝わった。少し元気出た。

気付くといつの間にか雨が止み、気温が上がったせいか周辺の山々から一斉に霧が立ちはじめた。幻想的な景色に興奮する俺だが、この辺りではよくあることなんだそうだ。

幻想的な愛媛の山中


いやあ、しかしどうなることやらだな。まあ今考えたところでどうにもならんが。とりあえず今日は、新たに松山市街に予約した宿でゆっくり休むことにする。

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