アメリカにネコを連れて行くためには

 人間と違って、ネコのアメリカ合衆国への入国や出国は、ほとんど何も手続きはいらない。オーストラリアに行った初代のネコ、チョコロは、出発の何ヶ月も前に日本から検疫所の予約を取った後、飛行機到着と同時に空港で検疫所の職員に引き渡されて、そのまま30日も拘留されたのと比べるとまったくあっけない。
 ただ日本の検疫の手続きは非常に大変である。まず、海外へネコを連れていくときは輸出検疫を受ける必要がある。ちなみに3ヶ月弱の短期の旅行なので帰国するときに必要な部分も含めて、可能な手続きは日本で済ませておいた。

 アメリカが狂犬病の発生のある国なので、帰国予定日の40日前までに到着予定空港の動物検疫所への届出が必要で、国内で実施した。
・マイクロチップによる個体識別
・マイクロチップ装着後で、生後91日目以降に2回以上の狂犬病予防注射
・2回目の狂犬病予防注射後に採血した血液について測定した狂犬病抗体価についての証明書の原本
を輸出検査時に提示すると、その内容を輸出検疫証明書に記載してくれる。
 抗体価検査の有効期間内に帰国する場合、この輸出検疫証明書のほかに、輸出国政府機関発行の健康証明書を取得し、記載内容に問題がなければ、帰国時の係留期間が12時間以内となる。
 マイクロチップについては、もともと我が家に来てまもなく、獣医さんでマイクロチップは入れてもらってある。我が家のネコはみな旅ネコになる運命なので、若くして病死したシナボンにも入っていた。
 輸出検疫などの書類にはマイクロチップのメーカーやISO規格であるかどうかを書く必要があるので、獣医さんに確認しておく。ちなみにミニボンのマイクロチップはDestron Fearing社製、書類などの略号はDESTRON、会社のWebで調べるとISO Compliant Numberとなっている。
 狂犬病予防注射は、出発予定日から逆算して第一回を2月21日に、2回目を3月19日に接種してもらった。予防注射の証明書を出国検疫の時に見せる必要があるので、マイクロチップ番号を記入してもらった証明書をもらっておく。
 狂犬病の抗体価は、動物病院で5mlほど採血してもらい、遠心分離で血清を1ml得て、試験管にマイクロチップナンバーを表示したシールを貼ってもらって、ダウンロードして印刷した申込用紙に必要事項を記入して、畜産生物科学安全研究所へ送って狂犬病の抗体価を調べてもらう。費用は12000円。あらかじめ振り込んで振込用紙のコピーを一緒に送る。採血は2回目のワクチン接種後1~2週間目が適期だそうだ。抗体価自体は帰国するときに日本の入国検疫で必要なのだが、帰国前健康診断や輸入証明書をアメリカで書いてもらう際に聞かれるので、あらかじめ頼んでおくと出国検疫の書類に英語で記入してもらうことができる。ミニボンの抗体価は0.5IU/ml以上が必要な所23.4IU/mlで問題なかった。
 出発前検疫は少なくとも出発一週間前までに事前申し込みをする必要があるので抗体価の書類が届いた4月19日からさっそくオンラインの動物検疫検査手続電算処理システムを使って申し込む。けっこう難しくて何時間も悪戦苦闘した。ユナイテッド航空に乗るので成田空港の第1ターミナルにある検疫第1課に提出となる。事前に当日必要な書類(狂犬病ワクチン接種証明書2回分、混合ワクチン証明書、マイクロチップ装着証明書、狂犬病抗体検査証明書)をpdfで見てもらう。また帰国日、便名も決まっているのなら、帰国時の輸入検疫届出書は帰国日の40日前までに提出なのだが、出発の申請書を提出す際、併せて提出するようアドバイスをもらう。確かにけっこう大変だし、書いていて疑問点もでてきたし、出国の書類と共通する点もあるので、一緒に出して正解だった。輸入に関する届出が受理されると受理番号が発行され、Webサイトで受理書が印刷できるようになる。また帰国時に必要となる輸入証明書のFormCは、事前に日本で狂犬病の予防接種や抗体価の検査がすんでいて輸出検疫証明書に記載されている場合は、該当する欄に輸出検疫証明書の番号を記入すればいい状態になっているFormCの用紙を送ってもらえるので便利である。
 輸出検疫申請が完了すると、成田空港の検疫所の場所や入り方(職員に鍵を開けてもらう必要があるので連絡先の電話番号など)と、フライトの3時間前までに来るようにというメールが来る。来所日時が決まったら知らせるようにということで、当日行く時間を伝える。