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5章 大陸を横断 -東海岸に戻る

5-8 帰国準備とオーバニー周辺のコウモリ観察

 7月14日はのんびり家で過ごし、15日にネコの診察をしてもらって日本の空港検疫に提出する書類を書いてもらう。
 夕方19時過ぎに、5月に訪れたファイブリバーズ環境教育センターに、納屋から出巣するコウモリを見に行った。日没近くなったところで、急に車が5台ほどやってきた。5月に来た時にビジターセンターで話をした、ここの職員のキティさんとボランティアが7、8人いる。6月半ばから2週間に一度、出巣するコウモリのカウントをするのだという。撮影は邪魔になるのでやめて、われわれもカウントに参加した。

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 コウモリは納屋の四方から出るので、メンバーは広がってそれぞれコウモリを見たらBat!と叫んでみんなでカウンターを押すという。夜の20時過ぎから21時25分までに、計80頭が出巣した。
 ここにはトビイロホオヒゲコウモリとオオクビワコウモリEptesicus fuscusがいる。バットディテクターは何人か持ってはいるけれど、この2種を分けて数えてはいない。どちらかというとコウモリに関心を持ってもらうためのイベントのようだ。白鼻症候群が発生する前は、この納屋には500頭ほどいたそうだが、これでも少しずつ回復してきたようだ。白鼻症候群に免疫ができて回復しつつあるのならいいのだが。21時25分そろそろ戻ってくるコウモリもいるところで終了。

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 このときのコウモリカウントメンバーから、タワセンサ公園Tawasentha Parkの市民農園入口の納屋にコウモリがいると教わったので翌日行ってみた。納屋は19世紀に建てられた古い建物で、年に3回コウモリのカウントに来るグループがいるそうだ。納屋の裏で待っていると20時40分頃出巣が始まり、屋根の下の隙間からコウモリが次々と出てきた。出巣は21時頃まで続いた。空にはあと2、3日で丸くなる月が出ている。風がない穏やかな夜のせいか蚊にたくさん刺された。(冒頭の写真)

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 近所のサッチャー公園Thatcher Parkのビジターセンターには、蜜蜂の巣を透明パネルの間に作らせた展示があった。巣はパイプで屋外につながっていて,野外で蜜や花粉を集めてきた働き蜂が、巣にたくわえたり、子育てする様子や女王蜂も見られる.公園には鳥の巣箱と共に、コウモリ巣箱も設置されていたが、まだ誰も利用していない。

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トウブワタオウサギはいたるところで見かける

 夕方もう一度ファイブリバーズの納屋に撮影に行く。出巣したのは40-50kHzの音声のコウモリが大部分だが、たまに20-30kHzのコウモリの音が入る。文献によればトビイロホオヒゲコウモリの野外でのエコーロケーションコールは46kHzあたりが一番強く、オオクビワコウモリは30kHzくらいとなっている。この辺でたぶんいちばん普通の種だと思うので、この2種だろう。
 7月18日は荷物の整理をしたのち、夕方再びタワセンサ公園へ行く。まだ明るいうちに着いたので、納屋は子どもたちのフリークライミング場となっていた。小道を少し歩くとヒメレンジャクBombycilla cedrorumやオウゴンヒワが見られた。日が傾くと車が次々ときて、市民農園の利用者が手入れを始める。20時40分から出巣が始まる。
 帰ってから啓子の足にダニが食いついているのを発見。皮膚に穴があいているが血はまだ吸ってない。ライム病発生地域なのだが、もうすぐ帰国なので日本でお医者さんに行くことにした。