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2章 アリゾナでサボテンの花にくるコウモリを探す

2-3 観光洞窟とサワロ国立公園

 ツーソン滞在4日目の5月23日の昼間に、コウモリが生息しているという観光洞窟コロサルケーブマウンテンパークに行った。ツーソンの市街地の東側、車で30分ほどの所だ。ソーシュルハナナガコウモリもいると案内書には書いてあったのだが、聞いてみるとここ10-15年くらいはあまりいないという。いずれにせよ通常の洞窟ツアーではコウモリがいる所には入らないらしい。夜にもう一度行って洞窟近くのサワロサボテンで待ったが、コウモリの来る気配はない。街灯の回りをヨタカが虫を追って飛び回る。このあたりには似たようなヨタカが2種類いるのだがコアメリカヨタカChordeiles acutipennisのようだ。近くに来ると、虫を捕ったり、時には虫に逃げられているのが見える。月夜によく似合うけれど、真っ昼間に飛ぶのもけっこう見かける。他の個体が寄ってくると、ミャウミャウミャウミャウと猫のような不思議な声で追いかける。

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 次の日はサワロ国立公園の東側に行った。国立公園敷地の境界ぎりぎりのところまで家が建っている。こちらにもビジターセンターがあるので聞いてみたが、サボテンの花に花蜜食コウモリが来るのは簡単に撮れるものではないとのことだった。夜もう一度行って、公園北西部の住宅地が接するブロードウェイという道路の終点で待つ。このあたりは車を停めてデートしているカップルがけっこういた。やはりバットディテクターの音声からすると小コウモリが少なくとも2種類いるようだが、花蜜食コウモリは来ない。

 足元にはウチワサボテンがたくさん生えていて根元をネズミが出入りしている。夕志は片足が穴に落ちて、靴にトゲがたくさん刺さった。ネズミの巣を踏み抜いてしまったようだ。ネズミの糞がたくさんある。

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 更に翌日の午前中もサワロ国立公園の東側へ行き、今度は南のロマという地域に行ったが、このあたりは花の咲いたサワロサボテンが少ない。

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 途中で青空市をやっていたのでトルティーヤを買ってビジターセンター近くのピクニック場で食べる。シマリスが近くに来た。ズアカカンムリウズラCallipepla gambeliiのカップルが何組もやって来た。オスは顔からあごにかけて黒くて白い筋が入る。メスはバフ色の顔をしている。頭の飾り羽はオスメスともにある。

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 サワロ国立公園東部はどこも今ひとつなので、結局この夜はサワロ国立公園西部に行き、ビジターセンターの駐車場とその近くのカクタスガーデンあたりで過ごす。小さいコウモリは少なくとも3種類、かなり頻繁に飛ぶ。今夜はサワロサボテンが開花するのが遅く、21時半頃に咲いた。真夜中少し前まで待ったが、花蜜食コウモリはやはり来ない。

 毎晩サワロ国立公園に通っていると、メリアムカンガルーネズミDipodomys merriamiをよく見かける。尾の先に房が付いている。

メリアムカンガルーネズミ組合せ

 そのほかコヨーテだろうか、夜砂漠にいると声を聞くことがある。深夜の国道などで横切るそれらしき姿を見ることもある。ハリスレイヨウジリスAmmospermophilus harrisiiはサワロ国立公園で真っ昼間見かけた。一生懸命地面を掘っていた。暑いときは地面を掘ってペタンと腹ばいになって、腹の熱を逃がすようだ。

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 暑い乾燥地をトカゲは元気に走り回る。木の幹を走り回るのはニシキノボリユタトカゲUrosaurus ornatus、頭をひょこひょこ上下させる姿をよく見かける。縄張りを争っているらしい。じっとしているとなかなか隠蔽色だ。

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 真っ昼間の砂漠でよく見かけるのはシマオトカゲCallisaurus draconoides。びっくりすると、縞模様の尾を上にカーブさせて、ゆらゆらさせながら逃げていくのでとても目立つ。捕食者に尾を狙わせて切り離して逃げるのだという。そのほかいろいろ見かけたけど、使いやすい爬虫類図鑑がなくてわからない。

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