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1章 大陸を横断 -砂漠の町ツーソンへ

1-9 乾燥地帯
 チャンドラーを出て、テキサス州北部を通過、660kmほど西に進み、ニューメキシコ州東端にあるトゥカムカリTucumcariという町に着く。この町の中を旧国道「ルート66」が通っていたらしく、モニュメントがあった。

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 オクラホマを出たときは霧で時々雨が降っていたが、テキサスからニューメキシコは晴れ。オクラホマでは木々の緑が濃く、牧場の草も青々としていたのに、テキサスは道の両側にはほとんど木がなく、牧場なのだが草はまばらで、オーストラリア内陸部を思い出す光景だ。ニューメキシコから西は山岳部標準時といって別の時間帯になるので、また1時間時計を戻す。ここでもエコノロッジに滞在する。
 ここのエコノロッジは、コーヒー、ペストリー、スコーン、マフィン、シリアル、果物、おかゆらしきもの、トースト、ゆで卵などちゃんと朝ご飯が用意されている。モーテルの前の荒れ地には、ニシタイランチョウTyrannus verticalis、メキシコマシコHaemorhous mexicanus、ノドジロシトド Zonotrichia albicollis、そして移入種のイエスズメPasser domesticusやシラコバトStreptopelia decaoctoなどいろいろな鳥が来る。

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メキシコマシコ

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シラコバト

 宿から車で20分ほどの所にあるユート湖州立公園Ute Lake State Parkへ行った。日帰り利用は5ドル、キャンプもできる。ペットはつないでいればOKで犬を連れている人がいた。

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キャンプ場の設備は極めてシンプルで、この写真に写っている右奥のトイレ、案内の看板と注意看板、手前の料金を入れるところ、そして右側にあるゴミ箱がすべて。

 湖周囲は乾燥した牧場地で、トゲだらけの植物がまばらに生えている。よく見ると、けっこう花も咲いている。サボテンも何種類かある。ユッカみたいな植物もあった。午前11時過ぎまでいたが、日差しは強く気温は30度を超える。だんだんめまいがしてきた。

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植物組合せ1

植物組合せ2

 ウロコウズラCallipepla squamataも暑いのか日陰でじっとしていた。

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 5月19日にはニューメキシコ州を490kmほど南西に進んでラス・クルーセスLas Crucesの町まで行く。道の両側はあいかわらず木らしい木は見当たらないし、灌木や草でさえまばらにしか生えてない。

 今までずっと州間高速道路を通ってきたが、今日は途中からUSハイウェイに入った。通る町も、大手のスーパーマーケットやファーストフード店などは見当たらずレトロな雰囲気の所が多い(冒頭の写真)。お昼は2代にわたって営業していますというローカルな食堂。

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 ラス・クルーセスの町の手前では、荒れ地の向こうに、白い砂丘が広がる。ホワイトサンズ国定公園といって、石膏の砂丘にユッカYucca elataがぽつんと生えている美しい風景を写真で見たことがある。暑い最中に、ネコを車に残したまま車を離れることはできないので、残念ながら通過。近くに泊まるのなら行ってみたいが、今回はパス。砂丘がフェンスからあふれ道路にはみ出していた。

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 このあとホワイトサンズ・ミサイル実験場のそばを通る。人類初の核実験を1945年7月に行ったトリニティ実験場はこの中にある。NASAの道路標示もあった。この奥にスペースシャトルの滑走路があるはずだ。
 宿泊はスーパー8 という、これまたチェーンのモーテル。