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誤字・誤植問題…?

『東の海神~』の「この状況でこれだけ明るい声を出せるのは尚隆しかいないだろう。」の箇所が、瀬戸内の場面でもあるにも関わらず、「しょうりゅう」というルビが振られていた件で、もう一つ可能性としてあるのが、出版社側が表記を“間違った”という事です。

小野先生のルビ使用

ご周知のように、小野先生は本来の漢字の読みとは別に、日本語で理解しやすいよう?に意味を補足するルビを多く振られています。

例:「卓子」を「つくえ」としたり、「冬器」を「ぶき」としたり…。

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出版社側のルビ追加ゆえの間違いの可能性

明霞さんもご指摘されていましたが(https://twitter.com/hazyglow12/status/1203322327666024448)小野先生が意図的にルビを指定していた箇所以外に、出版社側では、章や節が変わる時に、一番最初に記載された人物名、読みが難しい土地や固有名詞にはルビを振るようにしており、その際間違えてしまった、または小野先生に確認を取らず出版社側でルビを振った方が単に「しょうりゅう」としてしまった可能性もあるのではないかと思います。

編集や校正・校閲の方を咎めるつもりは全くないのですが(逆にお疲れ様と労いたい…きっと校正・校閲者さん泣かせな作品だろうと思う…)、特に初版に於いてルビの誤植は実際に生じています。

ルビ誤字・誤植?例

非常に嫌な読者で、出版社には恨まれてしまうとは思うのですが、以下は誤植の一例です…。

新刊『白銀の墟 玄の月』での例。

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講談社文庫版『華胥の夢』での例。

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WhiteHeart版 『黄昏の岸 暁の天』の例。

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WH版での間違いが訂正されている?新潮社版『黄昏の岸 暁の天』↓

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最初に発売された講談社文庫版も確か「こふんし」となっていて、私はずっと「こふんし」で覚えてしまっていたので、新刊で「こほんし」となっていてちょっと衝撃的でした…。

こういった部分は、物語の流れには直接関係はないので支障はきたしませんが、怖いもので何度も読み返す内に、私のように間違えた方で記憶を刷り込まれてしまう…というのは、実際に起こりうるのです。

ヒューマンエラーゆえの誤解

ここで私が言いたいのは、間違いを論いたい訳ではなく、ヒューマンエラーは避けられず起こりうるもので、残念ながらそれによって小野先生や出版社側が意図せず引き起こされる誤解が生じえてしまうという事です。

ただ、この作品に於いて、胎果のキャラクター(主に陽子と尚隆ですが)の読み方が作中で変わり得るというのは、出版社側でもしっかり把握・意識しておいて欲しい重要な所ではあるかと思います。

しかし、もし小野先生がこれら人物の読み方を読者に任せているのであれば、小野先生が実際にルビを指定した所以外は付けるべきではないと思います(上記で指摘した、出版社側の章や節始まりで親切心でつけてくれているルビなど)。

なので、今印刷されて出回っている新潮社版の表記が正しい場合も勿論ありますが、私は間違っている可能性も大いにあると思っています。

で、「尚隆」問題は…?

最初の『東の海神~』の「この状況で~」の箇所での「しょうりゅう」読みが正しいか正しくないかは、出版社に問い合わせる、または陳情書を多くの読者が出して、まだ出版されていない新しい版で、どう改正されているか確認するしかないのではないでしょうか…。

今の段階だと、最新版が「正しい」という仮定のもとでの推測・考察なので、まずは、どこまで小野先生の表現に忠実に記載されているかを確認するのが、重要なことではないかと思ったりもします。

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