キングオブコント2021感想 ーー単に変わり者を笑うだけでない笑い

Twitterやラジオなどで「今年のキングオブコントは凄かった」と聞いたので観ました。

まず、オープニングムービーがやたらお洒落でびっくりしましたね。くるりの『アナーキー・イン・ザ・ムジーク』が使われていました。


あと、蛙亭の紹介VTRに「クレイジー・フロッグ」が使われていたりして、BGMが色楽しめました。


では、1ネタずつ感想を書きます。


・蛙亭

研究室のモンスターのコント。
優しいネタですね。
蛙亭はファンなのでよく見ているのですが、いつももっとヤバいやつとか、普通に気持ち悪いオチとかだと思うんだけど。
以前賞レースで巨乳のネタやって駄目だったらしいから、色々考えて優しいネタにしたのかな。

でも多分他の人たちは普通のネタではこないぞ? 大丈夫か? とファンとしては不安なスタート。




・ジェラードン

学校にいる気持ち悪いカップルのコント。
渋谷よしもとで見てたので結構応援してました。
こういう「漫画・アニメのコテコテキャラ」をベースにした笑いって、年配の人には受けないのかなーと謎の心配。

ツッコミがずっと辛辣なのが気になりました。
「やべーなんかこの二人のこと好きになってきた!」
みたいな方が優しいので今風かなと思う。
でもジェラードンの良さは「分かりやすさ」なのかな。

長髪、ただ喋り方が変というだけでネタキャラだと思わせるのすごい。稲中みたい(ネタ的にも)。



・男性ブランコ

ボトルメールで出会った彼女が関西弁、というコント。

めっちゃ笑っちゃった。好きなネタです。
このコンビは、「笑いとは意外性である」
というところを理解して完全に狙った上で撃ち抜いてきてる。

凄いのが、「彼女が関西弁」と「それが好き」という、意外性の二段構えになっているところ。
完全に「ウケ」を把握している。凄い。

「コテコテの関西弁を笑いのネタにする」
というのは若干差別的で危ない題材だが、
それを「好きだなあ」ということで、
茶化している訳ではない(これは笑って良いネタです)と説明しているところも上手い。

そしてラストでさらにどんでん返しも決まっている。
これは凄い。


・うるとらブギー

迷子案内センター。
このネタ自体に爆発力がある訳ではないけど、
でも「笑ってはいけない状況」の見つけ方が上手いかなと思う。

「笑いを堪える」の演技が求められるので、結構難しいネタだと思う。
「ていびし」って、どうやって思いついたんだろう?

ツッコミの方、良い人そうだな。

・ニッポンの社長


バッティングセンターで指導してくるおっちゃんのコント。
僕は好き。デッドボールを受ける演技が無駄に上手い。

展開が殆どないのが勿体ないなあと思います。ちょっと間延びしてたかも。

本当はもっと長いネタで、色々な展開があったりするのかな?


・そいつどいつ


奥さんの顔パックが怖いコント。

面白い。「日常の面白いシーン」の切り取り方が上手いな〜。
どんどん怖くなっていく展開のうち、
狂った貞子の動きとか、動きの大きさも使ってきたのが上手い。

最後のクライマックスのシーン、
「これ何が起こってるの? やばいのでは?」
感は、本当に劇場で芝居見てるみたいで凄く良かったです。

・ニューヨーク

結婚式準備の担当者のコント。
ネタに意味や流れが全くなくて凄い。
いわゆる変な人を笑うコントなんだけど、
彼がこうである理由もほぼ説明されず、彼の意外な一面が見える訳でもなく、不思議なネタでした。

ニューヨークのことはバラエティ等で皆よく知ってるので、「やばいやつ」に見えないという点は足枷だったかも。

会場のコメントで笑いを取ってて、やっぱニューヨークはテレビ向きだなあと思いました。


・ザ・マミィ

街で叫んでるおじさんに道を訊くコント。
僕の好きな奇抜なコントでした。好きだなあ。

「街で叫んでるおじさん」は、
「社会的に取り上げてはいけない人」と認識されているので、
そのタブーを使っていることはままあるけど、
それを「実は良い人」とすることで、笑って良い空気にするのが凄い。

あと「街で叫んでるおじさん」の演技が上手い。

・空気階段

SMクラブで火事に遭う話。
素直に面白いですね。

このコントにはボケ(変なやつ)が居なくて、
一人の人間の中の「非社会的な部分」と「社会的な部分」の差を笑いにしているのが凄い。
二人目の職業を後から開示するのも流石だなあ。見応えがあった。
「お店を予約する時の名前」みたいなリアリティも良かった。

ネタ前のVTRで「負けてばっかの人生」みたいなこと言ってたけど、空気階段は既に結構売れてる気がするけどなあ。


・マヂカルラブリー

こっくりさんのコント。
いつもの感じですね。
マヂラブは動きが大きくて分かりやすく面白いんだけど、空気階段の物凄いコントの後で、運がなかったですね。

あとやっぱり、皆マヂラブには期待しきってると思う。
お笑いって本当に難しいですね。


・男性ブランコ(決勝)

お菓子を落とし続ける男のコント。
かなり大人しいコントですね。
面白いんだけど、ネタがちょっと小粒かなあ。
最後、単なる変なやつじゃなくて良い話にするのは、
彼らの人柄か、それとも場数による経験力か。

もっと色々なネタを見たいですね。テレビいっぱいでてくほしい!


・ザ・マミィ(決勝)

社長の告発する社員のコント。
二本目は難しいですよねえ。
現実とフィクションをまぜこぜにするネタ、
落とし方が難しいですよね。
オチも分かってしまったなあ。

若さ故だと思うけど、演技がわざとらしいのが惜しいなー。
演技や間の使い方次第では、もっともっと化けるネタだと思います。

・空気階段(決勝)

メガトンパンチマンのコンセプトカフェ。
これ好きだな〜〜〜。
マイナーな何かに一生懸命になってる人好きなんだよな。店員さんが愛らしすぎる。
「笑う」と「好き(高感度)」がいかに近いかというのを感じました。

ツッコミもこれを茶化すわけではなく、あくまでその世界観に乗ってあげようとするので、全体的に優しいコントでしたね。
こうしてみると、やっぱりコントって人間性を見られるものなのかなあ。

良いものを見させて頂きました。


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まとめ

確かに今年はレベルが高かったですね。だだ滑りというネタは無かった印象。

こうして見ると、「単に変わり者を笑うだけのネタ」ではなく、それを肯定する(事が笑いになっている)ようなネタが多く、それが高得点だったように見えますね。僕もそういうネタが好きです。

これも時代の流れなんでしょうか。僕はポリコレに厳しい訳ではないんだけど、際どいネタ(何かを一方的にいじるネタ)を見ると「これ誰かに怒られるのでは?」という点が気になってしまう。

そして今年の出場者は、その辺をちゃんと理解してネタ作りしてる感がありました。

それが意図的なものなのか、感覚的に時代を読んでいるのか。

どちらにせよ僕は良い傾向だと思います。

皆さん面白かったです。特に男性ブランコは面白いネタもっとあるんだろうな。youtubeとか漁ります。

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