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チャビさんの思い出

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私はアルアインシャフリヤールに出資しており、アルアインで皐月賞と大阪杯、そしてシャフリヤールでは日本ダービーとドバイシーマクラシックを勝たせていただきました。

絶対軸馬理論をきっかけに競馬の魅力に取り憑かれた私は、専ら馬券専門。
「POGとか一口という楽しみ方もありますよ」と言われたこともありましたが、冗談めかして「僕はお金になることしかやらないの!」と返していた記憶があります。

そんな私が、なぜ一口をはじめた(競走馬ファンドに出資するようになった)のか?

話は2014年の沖縄キャンプまで遡ります。
絶対軸馬理論の米田幸憲さんと担当編集者(この方もドラゴンズファン)がキャンプの見学に訪れたため、練習後に一緒に夕飯を食べにいった時のこと。その最中に、担当編集の方が、おもむろに2冊の冊子を取り出しました。

お察しの通り、それがサンデーレーシングと社台レースホースのカタログだったのです。

とはいえ、キャンプは2月に行われます。
募集は前年の6月から始まっており、そのタイミングでは、ほとんどの馬が満口。出資可能な馬は数えるほどしかいません。

「これが、かの有名なサンデー・社台のカタログです」
「へぇ〜、カタログというのはこんな感じなんだね」

そんなやりとりをしつつ、パラパラめくってみたものの、その段階でも出資する気は毛頭ありませんでした。

「残口がある馬は少ないのですが、その中で、クラブの方がオススメしていた馬には付箋を貼っておいたので、気が向いたらチェックしてみてください」

そう言い残して、編集者の方は沖縄の地を後にしました。
そして気付いたら…付箋の付いていた馬のうちの一頭に出資していたのです(笑)。

そんな私の初出資馬はセイングレンドの12。競走馬名チャビアールです。
芦毛のチチカステナンゴ産駒の牡馬。募集価格は1400万円でした。

チャビアールは2歳9月に新潟競馬場でデビュー戦を迎えます。
8番人気・単勝33.1倍の低評価でしたが、一口馬主デビューでもある私は、当然、単勝を買い込んでの全力応援。
スタート直後はほぼ最後方に近い位置取りでしたが、向正面で一気に捲って進出すると、直線でも右へ左へとフラフラしながら伸びてきます。

行け〜、チャビさん!(私はチャビアールのことをこう呼んでいました、笑)

惜しくも逃げ馬を捉えきれなかったものの、0.1秒差の2着という激走を果たしてくれたのです。
芦毛の馬体、破天荒なレースぶりは、さながらゴールドシップのよう
愛馬が走るとこんなに興奮するものなのか。一口馬主に夢中になる人が多い理由がわかった瞬間でした。

しかし好事魔多し。
続戦予定も脚元不安で回避すると、12月の2戦目は大敗。このレースで骨折が判明し、休養に入ると、翌年8月の復帰戦を間近にしてザ石。そして屈腱炎を発症。そのまま引退となってしまいました。

一口馬主の楽しさ、そして難しさを体感させてくれたチャビさんは、歴代出資馬の中でも特別な存在です。

ちなみに、この世代のサンデーレーシングといえば、リアルスティールにドゥラメンテ。まさに「バッテン」の勝負服がクラシックを席巻しました。これもまた、私を一層、一口沼へと誘い込む後押しになったことは言うまでもありません(笑)。

さて、一口馬主との出会いについては、一旦ここまでとして、最後に一つお伝えしたいことがあります。

先日のセレクションセール以降、私が馬を購入した、馬主になったという情報がまことしやかに囁かれていますが…そのような事実はございません(笑)。

柳田くん(悠岐選手)がセリで落札したニュースの直後で、購買者も同姓同名とあっては、そう思われても無理もないと思いますが、私ではありません。
敢えて否定する必要も無いのかなと思いつつ、SNS上では私だと断定的に書かれているとも耳にしましたので、コラムの場を借りて、お伝えさせていただきました。

(次回更新は8月29日となります)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
ツイッター @yamamoto34masa

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