見出し画像

腹の座った幹部がいるメディアは強い!

フロントラインプレスのサイトで「調査報道アーカイブス」を蓄積している。本日公開の記事はNo.40。「メディアはダメだ」とか、「新聞・テレビは死んでいる」とか、そうしたセリフはもはや“常識”っぽくなってきた。それはその通りだと思うけれど、どっかで「そこまでダメ出ししなくてもいいんじゃね?」と思う自分もいる。

そもそもSNS全盛時代になって、情報は「流れ去る」ことがメーンになった。どのメディアが何をどう報じたかなんて、ほとんどの人は覚えていない。知らない。「●●新聞は報じてない!」と言う人も、多くはその紙面を見ていない(と思う)。それに何より、どこかどんなスゴイ報道をしていたかを調べようと思っても、ネット上には適切なものが見当たらなかった。この広々としたネットの大海原に「優れた調査報道を蓄積したサイト」がなかったのである!……これまでは。

その隙間を埋めようと、「調査報道アーカイブス」は始まった。

で、No.40。これは福岡県のTNCテレビ西日本が総力を挙げて取り組んでいる報道だ。太宰府市で2019年、体中に暴行の痕が残る主婦の遺体が見つかった。事件そのものはかなり異様である(そっちに関心のある方は、ネットに残る山のような情報をたどってください)。

TNCテレビ西日本の関心は、そこにとどまらなかった。

実は事件前、犠牲になった主婦の夫ら家族は何度も何度も佐賀県警鳥栖警察署に相談に行っているのだ。おかしい、と。このままでは、事件になりそうだ、と。でも警察は相手にしなかった。11回も相談に行き、11回も追い返した。そして事件は起きた。


この構図は、「桶川ストーカー殺人事件」と同じである。あのときも警察はストーカー被害の訴えを無視し、結局、女子大学生が殺害された。まずかった対応を事後に取り繕おうとして、あれこれをごまかしたり、隠ぺいしたりする様子も、桶川と太宰府の事件はそっくりだ。

TNCテレビ西日本の取材は、そこを徹底的に突いた。警察はおかしいぞ、と。マスコミにとって警察は大事な情報源だから、警察に楯突くような取材には腰が引ける。情けない話だが、相当の昔からずっとそうだ。しかし、福岡のテレビ局は腹がすわっている。きっと、幹部がどーんと構えてるのだろう。そういうメディアは強い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?