2021年7,8月 ポスト/ネオクラシカル振り返り

お久しぶりです。今回は2021年の7,8月ぶんを振り返ります。

個人的には、特筆する快作が大量に、とはいかない2か月でした。ただHania RaniやEd Carlsenら注目株の新作が一部先行配信されるなど、向こう2か月の盛り上がりを期待させる一面も。
今回は7,8月発表ではないものの、最近聴いて良かったものもいくつか紹介します。体のいい嵩増しです。


1. Vetle Nærø 「State of Mind」

ノルウェーのピアニストVetle Nærøによる新譜です。シンプルな構成ですが、後ろで鳴らしているアンビエントがいい仕事をしてます。イメージとしてはやはりGoldmundを想起させますね。氏よりはアップライトなピアノですが。


2. Hollie Kenniff 「The Quiet Drift」

ギターアンビエントの領域ではHammockと双璧を成す名手ことHollie Kenniffの待望の新譜です。夫であるGoldmund / Keith Kenniffとのコラボレーションも。期待以上の素晴らしい出来で、野外かつ轟音で聴いてみたいものです。
ところで今作、ジャケットが大変カッコいい。遊園地らしき場所で俯き座る赤いシャツの女性。フィルムルックな色味でノスタルジックな情感を携えています。(そういえばHammockも遊園地ジャケットのアルバムがありました)


3. Dirk Maassen 「Echoes」

ドイツのピアニストDirk Maassenによる新作です(発表は今年3月)。ヒューガ―はじめポストクラシカル界隈のビッグネームが参加していたりと、なにかと豪華な音が楽しめるアルバムです。彼も今年中の新作リリースを約束しており、先行曲もいくつかありますので気になった方はぜひ。


4. Ross K 「Braedalyn」

最後はちょっと変化球を。カナダのコンポーザーRoss Kが昨年下旬に発表した作品「Braedalyn」です。ポストクラシカルあり、アンビエントあり、スロウコアあり、Puma Blueを連想させるダウナーオルタナティブあり、はては打ち込みにシンセエレクトロありと、なんでもありなアルバム。
に見えるのですが、注意深く聴いていくと全体を貫く統御された質感、そしてその巧みな配置に気付かされます。ダウナーなオルタナティブ作品の中には、スロウコア→アンビエント、打ち込み→アンビエントの流れを造成するものは数多くあれど、それらすべてを、しかも正確に整った状態で完成させたものは滅多にお目にかかれません。上に挙げたジャンルのどれかに引っかかった方はぜひ聴いてみてください。

もちろんMVも!




今日はここまで。二度目のコロナ禍の夏でしたが、みなさんはいかがお過ごしでしたか。
私から紹介できることといえばMr.Robotのシーズン3,4をまた見ていたことくらいでしょうか。超絶要約するとハッカーが世直しする話、まぁサイコ攻殻機動隊in20'sと言っていい。なぜシーズン3からか、というとこのドラマはシーズン3からギアを上げるからなんです。

シーズン1で人気を博してシーズン2を製作したはいいものの、サイコ描写が空回りして失速、それを持ち直すべく作家性を前面に押し出し気合を入れなおして製作されたのがシーズン3なわけです。驚異のワンカット(風)エピソードや、豪華な演出も飛び出す後期Mr.Robot。その一番の注目ポイントといえば、音楽です。

劇伴担当Mac Quayleのサントラは前期も非常に良かったのですが、本編の展開が激しくなるにつれ、サントラの振れ幅も大きくなります。
劇伴だけでなく挿入曲もいいんですねまた。サントラの雰囲気に合わせて基本は70~90年代のポップスがメインに使われてます。劇中のヘビーな雰囲気と、それにそぐわないはずの明るいAORが奇妙な調和をみせはじめていくわけです。特にシーズン4,10話で流れる「Wait For Me」と「Run Away With Me」、そして最終話で流れるM83の「outro」は涙なくしては見れません。


さて、雑談で尺も稼げたことですしこれくらいにしておきます。それではまた2か月後。

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