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フロムダスクPlaylist第2弾アップしました

前回の記事へのたくさんのリアクションありがとうございます。

やっぱりこういうのってリアクションいただけると励みになりますね。感謝です。

ということで、第2弾はレギュラーDJパーティー【ROCK TILL DAWN】を始めとってもお世話になってる【HAYASHI】の濃厚な選曲と解説をお楽しみください(さすがライターさんだわ)

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ダスクと言えば主にメタルやハードロックがかかるバーですが、それ以外のジャンルが好きなお客さんや、そもそも音楽にはあまり興味がなくて、楽しい時間や仲間を目当てに訪れる人が多いのも魅力のひとつです。

そんな自分も今でこそDJでイベントにも誘っていただけるようになりましたが、通い始めたころは仕事が終わって始発を待ちながら、誰もいない深夜のダスクで横さんとダラダラ音楽談義をすることが多かったです(ちなみに初めてDJしたのもダスクで、KO-ICHIくんにいろいろ教えてもらいました)。

例に漏れず、そんなときはメタル以外の音楽を聴くことも少なくなかったのですが、よく話したのが、「重い、ヘヴィって何だ⁉」ということ。ただの音楽好きの自分も、ベテランミュージシャンの横さんも共通していたのは、絶対に「速い/遅い」とかチューニングの「高い/低い」じゃないってことでした。

というわけで、今回は自分が思う非メタル・ハードロックの「重い」曲を選ばせていただきました。選んだ理由や解説(そして、言い訳)は下記の通りなので、是非聴きながら読んでみてください!

【FDTD Selected songlist 2 - HAYASHI】

1. REVOLUTION - BEATLES
横さんもレミーもオジーも大好きなビートルズ。自分の洋楽初期体験のひとつも親父が持っていた「赤盤」「青盤」でした。そんで、この曲だけど……うるせーーー! イントロから重い! ギターリフがギンギン鳴って、「アァーーーーッ!」だよ? 説明不要。

2. THE BOMBER - JAMES GANG
TOOLも大リスペクトしてるジョー・ウォルシュ。世間一般ではイーグルスのギタリストとして知られてるけど、彼らのライブでも多数ソロ曲を披露しているように、元々素晴らしいアーティストです。俺も一番好きなギタリストトップ3に入るぐらい好きです。

この曲はイントロのリフだけで持ってかれるけど、途中「ボレロ」が入ったり、意外とプログレッシブな構成。手数の多いドラムと重たいベースラインも堪りません。ミュージシャンズ・ミュージシャンって感じで、アワードなどでいろいろなアーティストとも共演しているので、もしかしたら自分が好きな人とも共演してるかもよ?

そのほかのソロ、バンド時代も要チェックです。鼻にかかったヴォーカルもインパクト大。

3. SUPER STUPID - FUNKADELIC
重いと言えば、ファンクのグルーヴを超える重さはなかなかないでしょう。土に埋まったアフロジャケで、アルバムタイトルは「蛆虫の脳みそ」。う〜ん、重たい……。ファンカデリックはジミヘン直系のロック、ファンクサウンドなので、メタルリスナーのファンク入門としてもオススメ。

4. FUN HOUSE - THE STOOGES
メタルやハードロックがジャンルとしてカッチリ確立するのとほぼとき同じくして、デトロイトから出てきたアシュトン兄弟とイギーのグループ、ストゥージス。

パンクのオリジネーターのひとつとしてもよく名前が挙がるけど、ドッシリ腰を据えて、風呂入ってない、汗臭い、なんかヨダレとか垂れてそうなサウンドは、ドゥームとかスラッジの元祖としての意味合いのほうが強いんじゃないでしょうか。

モータウン、アリス・クーパー、キッスからホワイト・ストライプス、果てはエミネムまで、デトロイトっていろんなミュージシャンが出てきてスゴいよね。イギリスのバーミンガムもそうだけど、工業都市はやっぱり重たくなっちゃう土壌があんのかな。ロボコップもデトロイトだしね。

5. INTERSTELLAR OVERDRIVE - PINK FLOYD
ダスクに限らず、ロックバーでは「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」がかかることが多いけど、自分が一番好きなピンク・フロイドの曲は「クレイジー・ダイアモンド」です。

でも、こと重たさで言えば、シド・バレットがいたときのサイケサウンドに軍配が上がるでしょ。しかも、「インターステラー」に「オーヴァードライブ」よ? 邦題の「星空のドライブ」だとユーミンみたいになっちゃうけど、「インターステラー・オーヴァードライブ」って、曲名がまずカッコいいし、重いじゃん。

文字通り常軌を逸した音にやられます。これも曲の頭から重い。

6. 33 “GOD” - BON IVER
フォークだけど、サイケデリックで重層的で、実質一人のユニットなのに拡がりがハンパない。ボン・イヴェール、ボニーヴェールは、今一番刺激的なアーティストの一人です。

俺は新しいことをやってるからいい、変わらないからいいとかはあまり関係ないと思っていて(好き嫌いは別にね)、単純にいいものはいいと思うんだけど、これはいいよ。

7. FETCH THE BOLT CUTTERS - FIONA APPLE
つい最近出たばかりで、辛口オシャメディアのピッチフォークで10年ぶりの10点満点を叩き出したことでも話題沸騰中のフィオナ・アップル。

デビュー作からの「クリミナル」ぐらいは、興味のない人でも聴いたことがあると思うけど、新譜では後期トム・ウェイツみたいな自在な声の使い方と凄み、フリーキーな音で、また新しい頂点を極めてます。

近年の女性アーティストたちの活躍を見ると、彼女の存在そのものの重さが増してる。先ほどのボン・イヴェールと同じく、できればアルバム通して聴いてほしいです。

8. MOTION SICKNESS - PHOEBE BRIDGERS
というわけで、そこらのロックバンドよりよっぽど中身のあることを歌って、面白い音楽を追求している女性アーティストたちですが、このフィービー・ブリジャーズもその一人。マーチのデザインがブラックメタル風だったり、フライヤーがハードコアっぽかったり、そういう茶目っ気と目配せもカッコいいです。

近年はアンダーグラウンドのハードコアシーンも型破りな若手バンドがたくさん出てきてるけど、実はその辺との繋がりもあるんじゃないかと推測してます。

虐げられてたり、悩みが大きければ、それほど音も重くて強くなるのがロックンロールですが、ウンチみたいな社会の中では、女性のほうが「言いたいこと」があるのかもしれませんね。

9. OBLIVION - GRIMES
女性アーティスト3連発の最後はDIYゆるふわ少女・グライムス。この曲はブレイクスルーを果たしたキッカケのひとつですね。あまり本人の辛い体験をギミックみたいな感じで取り上げたくないので、詳しくはご自分で検索してほしいのですが、可愛らしいサウンド度は裏腹に非常にダークで重いことを歌っています。あとPVも可愛いです。

10. IF YOU KNOW YOU KNOW - PUSHA T
ロックやメタルの重いジャケと言えば、メイヘムの自殺ジャケ、ブルへリアの轢死ジャケなどが真っ先に挙がるんじゃないでしょうか。しかし、近年もっとも騒ぎになったジャケと言えば、間違いなくプシャTの「デイトナ」でしょう。ドラッグ塗れの故ホイットニー・ヒューストンの部屋をジャケットにしたことで非難轟々、遺族からも大抗議の嵐になりました。

のっけから「ロックスター・ライク・ピンク・フロイド」と出てくるように、古今東西あらゆる音楽をディグしなければいけないヒップホップのアーティストは、ケツの穴の狭いロックリスナーより、よっぽどロックを聴いていたりします。

自宅にこもりっきりでストレスの溜まるときは聴き馴染んだサウンドが一番癒されますが、せっかくなので別なジャンルに挑戦してみるのもいいかもしれません。

11. CLOSE YOUR EYES - RUN THE JEWELS
ラップやヒップホップは好きじゃなくても、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなんかは聴けるというロックリスナーは結構多いんじゃないでしょうか。そのフロントマン、ザックがひっ………さびさに表舞台に出たのが、このラン・ザ・ジュエルズの曲です。

アンダーグラウンドのカリスマプロデューサー、フリースタイルの名手としてコアなファンに知られるエルPと、アウトキャストなどのダンジョン・ファミリー界隈から出てきたキラー・マイクの2人組は、LLクールJの曲から名前を取っていることからもわかるとおり、クラシックなヒップホップの強度と実戦で叩き上げた革新性、そしてドがつく政治的な歌詞でアルバムを出すたびに即クラシックになっています。

そんな彼らに隠居状態のザックが太刀打ちできるのか? レイジ時代にも増してキレッキレでブチギレてるラップに圧死してください。

12. DANCE WITH THE DEVIL - IMMORTAL TECHNIQUE
ヒップホップ3連発の最後は、同ジャンル史上一番暴力的な曲ランキングで必ず名前の挙がる曲。ずっと同じビートで9分ぐらいあるんですが、その内容はいわゆるラップの歌詞に出てきそうな青年のストーリー。興味のある方は詳しい内容を調べてほしいんですが、大まかなあらすじは「ワルなラッパーに憧れる青年は、悪事に身を染め始めるが、仲間からの敬意は集められず。そこである日、道行く女性を仲間と襲い暴行・強姦するが……」というもの。

最後にあまりにも悲痛で重いオチが待っているんですが、「語る」ことが大事な要素のひとつであるヒップホップのなかでも、このストーリーテリングは指折りです。しかし、イモータル・テクニックってアーティスト名カッコいいよね。なんてったって「不死身の技術」だかんね。

13. SOUR TIMES - PORTISHEAD
女性アーティストの躍進と、サイケなロックの復興、トラップブームは最近の音楽シーンのキーワードですが、その元祖的アーティストでいずれの要素も入っているのがポーティスヘッドだと重い……思います。

まだ夢を見ているのか、もう目が醒めているのか、そんなことがわからなくても、とにかく身を委ねたくなるような音です。ズブズブ沈んでいく、コールタールみたいに粘り気のある重さですね。

14. BACK TO BLACK - AMY WINEHOUSE
「バック・イン・ブラック」がロック史上もっとも重い曲のひとつなのは今更言うまでもありませんが、「バック・トゥ・ブラック」も負けていません。煙も液体も粉も、少量では風に吹かれる枯葉のような重さに過ぎませんが、そのすべてを吸い込んだエイミー・ワインハウスの声は軽さとは無縁です。

15. FOLSOM PRISON BLUES - JOHNNY CASH
「リング・オブ・ファイヤー」とかNINの「ハート」のカヴァーで知っているという人も多いでしょう。人間の業と贖罪を歌い続けたジョニー・キャッシュはすべての曲が重いんですが、なかでも刑務所の中でライブを敢行して、囚人の前で殺人犯について歌ったこの曲の重さたるや。先に取り上げたイモータル・テクニックの曲にも共通する罪人の歌です。数十年後のラッパーに負けるどころか、優に勝ってしまうキャッシュの語り部としての力にビビります。

16. BLOWIN’ IN THE WIND - NEIL YOUNG & CRAZY HORSE
ニール・ヤングがボブ・ディランの名曲をクレイジー・ホースの面々とカヴァーしたライブ音源です。イントロの戦闘音を聴いて「ワン」を思い出す人も多いのではないでしょうか。

この時期ニール・ヤングは大ブレイクを果たすオルタナ界隈のアーティストたちと急接近しますが、このライブ盤で聴こえるひしゃげたギターの音は、それすら通り越してもはやドローンのような重たさに到達しています。

当時起きていた湾岸戦争に反対するため、この曲をカヴァーしたニール・ヤングですが、今現在も彼の怒りの火は燃え続けています。というか、アー写とか見ると顔が怖すぎるよ! ブルース・バナー博士じゃないけど、「僕はいつも怒っているんだ」ってことですね。

17. ROCK AND ROLL AIN’T NOISE POLLUTION - AC/DC
というわけで、ここまで駄文長文で僕の思う重い曲を紹介してきましたが、最後は一番好きなバンドの曲で締めたいと思います。タバコを吹かして静かに始めときながら、これでもかってぐらいうるさくて重い音で「ロックは騒音公害じゃないんだ」と叫ぶAC/DC最高!

ジャンルはなんとでも言えるけど、今回紹介した曲はどれもロックンロール。ロックンロールが一番偉いんだよ。


HAYASHI (KC RYBACK、編集者・ライター)
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