努力する才能がない私が業務で使えるレベルの英語力を手に入れるためにやったこと

少ない学習時間で大きく英語力を伸ばすことができましたので、そのやり方をできる限り簡潔にまとめてみました。(4000字強)
全部読む必要はないです。
目次を見て、気になったところだけ読んでいただければ。


話にならないほど英語力がダメダメだった

もう20年くらい英語を勉強していませんでした。
文法も単熟語もだいぶ忘れちゃってました。
あ、すいません、見栄を張って嘘をつきました。
正直に言うと、忘れたのではなく、そもそも知らなかった単熟語が大量にありました。

というわけで、ほんのちょっとした英文を読むのもえらい苦労。
なのに、仕事で英語の論文を読まなければならなくなり、途方に暮れました。

たった1本の論文が、読んでも読んでも終わりません。
いったいいつ仕事が終わるのかと、天を仰ぎました。

そこで、DeepLで翻訳してみました。
英文の分野や種類によって事情は異なるのでしょうが、少なくとも私が読もうとした英文に関しては、DeepLの訳文を読んでもなかなか正確な意味がつかめず、正確に意味を読み取ろうとするならば、自分で辞書を引きながら原文を読んだ方がマシでした。



英語の勉強をやってみたが、挫折した

しかたなく英語の勉強を始めました。
でも、単語や文法を覚えてもすぐに忘れてしまう。
老化で脳が衰えて、記憶力が低下してるのかもしれません。

さらに、集中力がぜんぜん続きません。
これは老化のせいというより、子供のときから。
そもそも、授業中、先生の話を聞き続けることができず、いつもほかごとを考えてしまっていました。

いわゆる「習慣化」もやってみました。
「習慣化する方法」の本には「挫折しようがないくらい簡単なことからはじめて続ければ、習慣化する」とあったので、一日1分ずつ英語の参考書を読みはじめました。
しかし、この参考書を読むという学習法はほんとに効率がいいのか?
これを続けていれば本当に効率よく英語力が向上するのか?
なんの根拠があってそんなことが言えるんだ?
そもそも習慣化するのは本当に効率のいい学習法なのか?
などといろいろ疑念がわき、やる気が失せ、結局、いつのまにか、やらなくなってしまいました。

もちろん、私には「黙々と努力を続ける才能」がなさそうなことは、昔から分かっていました。過去、一度もそれに成功したことが無かったのですから。
それでも一縷の望みを託して試しに努力してみたら、やっぱりその才能はなかったという話です。
そこで、こんな私でも実行できそうな方法をやることにしました。



業務用設備として英語スキルを購入する

農家の人が農作業用のトラクターを200万円で購入するのは普通です。
飲食店の経営者が業務用の厨房設備一式に数百万円かけるのも珍しくないそうです。

私の場合、「英語の論文をそれほど苦労せずに読める程度の英語力」は、仕事に必要な、業務用スキルです。
英語力は、私にとってのトラクターであり、厨房設備なのです。

業務用設備に投資する金額は、それによってつくることのできる売り上げから逆算して設定します。
私の場合、それによって得られる見込みの売り上げを考えると、飲食店の厨房設備と同程度のスケール感の投資をするのが適切だと考えました。



英語学習を全くやらずに実質的な英語力を伸ばした

英文を楽に読めるようにするための、ハードウェア・ソフトウェア・サービス等に投資しました。
たとえば、辞書を快適に使えるようにするためのハードとソフトにお金を使いました。
いい辞書ツールを使えば、英文の読みやすさは格段に上がります。
いいハードウェアにいい辞書ツールを入れれば、さらに上がります。

自分自身の英語力は全く変わらなくても、インフラに投資するだけで、実質的な英語力はかなり上がります。
いわば、「脳のパワードスーツ」に投資するのです。

筋トレするより自動小銃で武装した方が、実質的な戦闘力は簡単に上がりますよね。



「当たりくじだけを買う」はやらない

買ったハードやソフトがたまたま良いものであれば学習は上手くいきますが、ハズレを引いたら、大量の時間を無駄にしてしまいます。
本人は当たりくじだけを慎重に選んで見極めたつもりでいますが、多くの場合、それは錯覚に過ぎません。

もちろん、明らかにハズレなツールは買わなくても分かります。
しかし、実際に使ってみないとアタリかハズレかの判別が困難なツールも多いです。

買う前に試用のできるものもありますが、試用期間が短かったり、試用の制限のきついものだと、無料で試用しただけでは、そのツールの真価が判別できないことも多いです。

そういうわけで、たくさんのハードとソフトを実際に買って、しばらく使い込んでみてから、取捨選択を繰り返しました。
あらかじめ売上から逆算して投資金額を決めてあったので、たくさんのハードとソフトを買っては捨てることができました。

ハズレくじの購入代金は必要経費です。
必要経費をケチるのは節約じゃないです。割の悪いギャンブルにすぎません。



「調査」に投資した

英語学習ツール&教材の調査に多くのお金と時間を使いました。
予算は必要なだけ確保してあるので、大量のツール・サービス・動画・アプリ・本を購入して、片端から調べました。
もちろん、無料の教材も調べました。

私は、農耕民的に、黙々と継続学習することはできません。
農耕民的な努力も忍耐も我慢も、私にはできないのです。
しかし狩猟採取民的に、おいしい教材を見つけ出すことには、集中力を発揮できます。

私が縄文時代に生まれていたら、目をつけた獲物を執拗に追跡し続けるハンターになっていたんじゃないかと思います。


メタ学習に投資した

「学習効率を上げる方法」の調査・分析にお金と時間をたくさん使いました。
具体的には、学習効率を上げる方法についての本・文献・論文を読み込むことに時間を使いました。
「脳のパワードスーツ」と「ハズレもアタリも買う」戦略によって、英語の論文を読むのがそれなりに速くなっていたので、そこそこ多くの論文を読むことができました。

また、英語の論文を分析・吟味して知見を抽出する作業は狩猟採取的であるため、没頭できました。
獲物をどこまでも追い詰めて、確実に仕留めるような感じなのです。





論文を読むスピードが急速に上がっていった

「学習効率」という狭い分野の論文ばかりを読んだため、その分野の専門知識がハイペースで増えていきました。
これにより、その分野の論文を読むスピードがどんどん速くなっていきました。

これは、経験豊富なITエンジニアが専門用語だらけの技術参考書を速く読めるのと理屈は同じです。



裏取費用をケチらなかった

「学習効率を上げる方法」が書いてある本を読んで、試しにその通り学習してみました。
しかし、自分で簡単な実験をして計測してみると、あまり記憶に定着していなかったことが判明しました。
そこで、その本が根拠とする論文を読んでみました。
その論文は、その本が主張していることの根拠にならないことがわかりました。

それで不安になって、他の本も、根拠とする論文を調べて、本当にその論文から言える主張がされているのかどうか調べてみました。
根拠とする論文を読んでみると、ぜんぜん違うものが見えてきました。
本だけ読むのと、根拠とする論文も読むのとでは、得られる学習効率の知見がまるで違うことがわかりました。

そこで、学習法の本が根拠とする論文は、その実験手続きと実験データを自分で分析・吟味するようにしました。

裏取をして、そこで明らかになった知見を使って学習するようになってから、英文を読むのが目に見えて楽になっていきました。

なにより素晴らしいのは、「この学習法は本当に効率がいいのか?」という疑念が払拭されたことです。
そもそも、私が努力できないのは、「こんなことやってほんとに意味があるのか?」「これは非効率なやり方じゃないのか?」という疑念がもくもくとわいてきてしまうからです。
しかし、裏取をして、非効率な学習法を徹底的に取り除き、確実に効率がいいと分かっている学習法だけを注意深く拾い上げることで、その疑念が払しょくされたのです。
これにより、心から安心して、晴れやかな気分で学習に取り組むことができるようになりました。


裏取をするのは時間がかかりすぎて現実的ではない?
いや、そこまで時間はかかりません。
なぜなら、話の本筋と関係ないところは裏取しないからです。
私がブログ記事を書くときも、話の本筋と関係ないところは裏取しません。
たとえば、さきほど「厨房設備一式に数百万円かけるのも珍しくないそうです」と書きましたが、これは単に知人の飲食店経営者から聞いた話であって、裏取はしていません。
たとえこれが間違っていたとしても話の本筋には関係ないし、間違っていることが分かったら、そこだけ別の例に差し替えます。それをやったとしても、記事内容はさして影響をうけません。
なにごとにつけ、本筋と関係ないところは裏取しないようにすれば、裏取にかかる時間は現実的な範囲内に収まります。


裏取にはお金がかかりすぎる?
たしかに、裏取には多額の費用がかかります。
1本数千円もする論文を大量に読まなければならないからです。
しかしこれは必要経費です。
必要経費をケチるのは節約ではないです。割の悪いギャンブルに過ぎません。



おわりに

結果的に、かなり少ない努力で「英語の論文をあまり苦労せずに読める程度の英語力」を身につけることができました。
かかった費用は、そのスキルを使って仕事をすることで、すでに回収しました。
農家の人が、トラクターにかかった費用を、農作物の売上で回収したようなものです。

このため、感覚的には、実質ゼロ円でこのスキルを手に入れたような感じがしています。

今回、上手くいった最大の要因は、業務用スキルへの投資額を、それによって得られる見込み売上から逆算して決めたことだと思います。

もちろん、全てのスキルアップを業務設備のように投資効果で考えてしまうと、人生が貧しくなります。
採算なんか気にせず、趣味や老後の楽しみのために英語を勉強するのは、とても豊かなことだと思います。

参考記事:
老後に金がなくても楽しく暮らすために今から準備しておくべきこと


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※この記事は、文章力クラブのみなさんにレビューしていただき、ご指摘・改良案・アイデア等を取り込んで書かれたものです。

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