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学習効率本の英語部分を大幅に増強しました

『最新研究からわかる 学習効率の高め方』の英語部分を大幅に増強しました。

本書の旧版を購入された方は無料でダウンロードできます。

以下、ご興味のあるところだけ、お読みください。



(1)今回のアップグレードの概要

今どき、英文ライティングはDeepLを使ってやるのが普通です。
そんな時代に「DeepLを使わずに英文ライティングするスキル」を身に着けてなんの意味があるのでしょうか?
エクセルでデータ集計する時代に、そろばんを習うようなものじゃないでしょうか?

機械通訳ソフトの性能もどんどん上がってきています。
英会話スキルなんてなくても、世界中の人と母語で自由に会話できるのも時間の問題じゃないでしょうか?
そんな時代に英会話スキルを身につけて何の意味があるのでしょうか?

しかし、そういう時代においてなお必要とされる英語力もあります。
むしろ、そういう時代にこそますます必要とされる英語力もあります。

問題は、それが具体的にどのような英語力なのかということです。
具体的にどうやれば、そういう英語力が身につくのかということです。
逆に、どんな英語学習をすると、AIの進化で簡単に陳腐化してしまう英語力しか身につかないのでしょうか?

本書の旧バージョンは、これらの問いに十分に答えていませんでした。
これが、今回の増補改訂の理由の一つです。


もう一つの理由は、ここ数年で英語の学習環境が激変したことです。
DeepLを始めとする様々な言語ツールの急激な進化によって。

その結果、以下も大きく変わりました。

●最速で英語をスムーズに話せるようになる方法
●最速で英語を楽に聞き取れるようになる方法
●最速で英語をすらすら読めるようになる方法
●最速で英語をどんどん書けるようになる方法

また、以下もだいぶ見えてきました。

●DeepLなどのツール類が進化するに従って無価値になっていく英語力
●DeepLなどのツール類が進化するとますます価値が高まる英語力

そのため、旧版の学習効率本でも、英語学習ツールにそれなりのページ数を割いていました。
しかしながら、それでもなお、お話にならないほど不十分だったのです。
3冊分加筆しなければならないほど、情報が足りなかったのです。

たとえば、DeepLの性能がどんどん上がってきていますが、DeepLを単なる翻訳ツールとしてではなく、英語の学習ツールとして十分に使いこなしていますか?
DeepLを使った学習法は、従来の様々な語学学習方法と比較して、効率が悪いのか、同程度なのか、高いのか、高いとすればなぜ高いのか、どれくらい高くなるのか、腰を据えて是々非々で吟味しましたか?
今後さらにDeepLが進化すると、どのような英語力が陳腐化し、どのような英語力がますます重要になるのか、十分に検討しましたか?
DeepLを具体的にどのように使って学習するのが最も効率よく英語学習できるか、あるいは逆に、DeepLをどのように使って学習すると非効率になるのか、十分に吟味しましたか?
DeepLを他の学習ツール(ELSA、オンライン英会話、物書堂、Mouse Dictionary、英辞郎Pro、Weblio、コーパス、etc.)とどう組み合わせるのが最も学習効率が高くなるのか、十分に検討しましたか?
それらを、さまざまな論文・実験から得られた知見や、認知心理学の知見と照らし合わせて、実際の学習効率がどの程度になるのか、十分に吟味しましたか?

これらは、DeepLに限った話じゃありません。


いや、そんなこと言われなくても分かってるし、最新ツールの使い方などいちいちおまえに解説してもらわなくても、SNSに流れてくるネット記事を読んでるから、とっくに知っている。
という方もいらっしゃると思います。

しかし、それだけでは足りないのです。
その理由を説明します。

大砲が登場してしばらくは、それはさほど怖い兵器ではありませんでした。
「こうすれば当たる」という専門家の長年の経験と勘だけで運用していたため、命中率が悪かったからです。
どんなに破壊力が大きくても、当たらなければ怖くありません。
テクノロジーは、人間の経験則だけで運用しているうちは、その本来の威力を十分に発揮できないのです。

ところが、繰り返し大砲を発射してデータを取り、それを元に微分でモデルを作って運用することで、大砲の命中率が飛躍的に上がりました。
それによって、大砲は恐るべき兵器へと進化を遂げました。
テクノロジーはサイエンスに基づいて運用することで、桁外れの威力を発揮するのです。

英語学習ツールというテクノロジーも同じです。
「こうすれば学習効率が高くなる」という人間の経験則だけで運用していると、なかなか学習効率は上がりません。
論文・実験から得られたデータに基づいてモデルを構築したり、認知心理学のさまざまなモデルを駆使してそれらを運用することで、高い学習効率を実現できるのです。
最新の学習ツールを紹介する記事で、この点を十分に考慮しているものはほとんどありません。

このような理由から、『最新研究からわかる 学習効率の高め方』の、とくに英語学習ツールの運用に関する部分を、大幅にアップグレードしました。



(2)他の英語学習法の本との違い

ここ数年で、英語の学習効率を決定する要因のかなりの部分を、最新の英語学習ツールを駆使する能力が占めるようになりました。

にもかかわらず、最新の英語学習ツールについて、本書と同等か、それ以上詳しく解説している英語学習法の本は、寡聞にして存じません。

その最大の理由は、ほとんどのメジャーな英語学習法の本が、紙の本だからです。
電子書籍のものもありますが、それらは紙の本がベースになっています。

最新の英語学習ツールの情報は、生鮮食料品のようなもので、すぐに陳腐化してしまいます
実際、本書を執筆中も、ツールのUIがどんどん変わっていくので、スクリーンショットをしばしば取り直さなければなりませんでした。
記事や動画のURLが変わるのでURLを張り替えましたし、数か月前に書いた内容すら、アプリの仕様が変わったり、情報が更新されるたびに、古い記述を破棄して書き直すことが何度もありました。

このような有様ですから、紙の本で最新の英語学習ツールについて書くと、その本自体が、あっという間に陳腐化してしまうのです。

本書は、電子書籍オンリーの本です。
したがって、英語学習ツールのバージョンアップで情報が陳腐化したら、すぐに最新情報にアップデートすることができます。

Kindleだと、アップデートした内容を読者に再配布するのに面倒な手続きが発生しますが、本書は全てBOOTHでPDFで提供しています。
このため、いつでもPDFを再ダウンロードするだけで、読者は最新版を入手できます。



(3)本書を未購入の方へのご案内

本書は以下の2つから構成されます。

(1)全ての科目に共通する一般的な学習法

(2)英語の学習法


英語の学習効率を上げるには、この両方の知識が必要です。

また、本書の(2)は(1)の知識を前提として書かれています。
したがって、英語の学習にしか興味のない方が、本書の(1)を読まずに(2)だけ読んでも、本書は理解できません。

本書の第1~3巻は、(1)一般的な学習法について書いてあります。
第4~5巻は、(1)一般的な学習法と(2)英語の学習法が混在して書かれています。
ただし、第1~3巻よりも第4~5巻の方がはるかに分量が多いです。
全体の割合で行くと概ね4割ぐらいが英語関連部分です。

第1巻は、こちらで無料でWebで公開されています。
また、こちらで全ての巻を入手できます。



(4)具体的な増補改訂内容

●第3~5巻を修正・加筆した。
その結果、第4巻は3倍、第5巻は2倍の分量になった。

●吟味する論文・実験の数を増やした。

●論文・実験から抽出した知見と、認知心理学の伝統的なモデル(ワーキングメモリ、システム1-システム2、スキーマ、etc.)を組み合わせることで、より多角的な分析を行った。

●分析対象の英語学習支援ツール・アプリ・ソフトウェアの数を大幅に増やすとともに、それらのツールの利用方法と学習効率をよりクリティカルに分析した。

●その結果、より効率の良い学習法が導き出された。

●ついでに、シャドーイングの学習効率が気になっていたので、それも調査・分析した。



(5)具体的な修正・加筆箇所


●第3巻
▼シー実験の実験結果の分析のところでワーキングメモリが出てくるが、これに、わかりやすい説明と分析を加えた。
・これは、ワーキングメモリを単なる短期記憶のことだと勘違いしている人が多いためと、第4巻以降でワーキングメモリを使った学習効率分析を多用しているためである。


●第4巻上
▼バークロフト実験
・実験結果をワーキングメモリを使って分析した。

▼「外国語を学習する」という選択
・大幅に書き換えた。
・より踏み込んだ議論を行った。

▼荻原2012実験
・そもそもスピーキング能力は必要なのか? 発音を良くする必要があるのか?という議論を最初に加えた。
・発音学習とリスニングに関する文献や論文をいくつか追加して、発音学習について多角的な議論を行った。
・より実践的でシステマティックな発音&リスニングの学習方法に落とし込んだ。

▼シャドーイングとリピーティング
・新たに追加した章。

▼西澤2006実験
・実験結果の分析のためにシモンズ実験を追加し、その結果とも突き合わせ、ワーキングメモリの観点からの多読の学習効率の分析を追加した。


●第4巻中
▼ロフタス1975実験
・新たに追加した章。

▼英語学習ツール編
・大幅に加筆した。
・今回のバージョンアップで、ここが一番大きく学習効率に影響するところ。
・とくに、DeepLとMouse Dictionaryと物書堂の利用方法と学習効率を、前回よりもはるかに厳しく徹底的に分析し、より学習効率の高い利用法と学習法について議論した。
・前バージョンになかった英語学習ツールについての議論も行った。


●第4巻下
・英語学習ツール編の続き。


●第5巻上
▼テキストの知識の【定着】方法
・末尾に、ワーキングメモリの観点からの学習効率分析を追加した。

▼学習設備
・iPad Proと物書堂に関する情報を追加した。
・4Kディスプレイの使い方に関する部分を修正した。


●第5巻下
▼英語実践編
・9割書き換えました。



(6)ダウンロードURL

既に『最新研究からわかる 学習効率の高め方』の3~5巻を購入済みの方は、こちらから無料で最新版をダウンロードできます。

未購入の方も、こちらから第1巻を無料でダウンロードできます。

第1巻のWeb版はこちらで読めます。



(7)問い合わせ先

この記事に関して疑問点等ございましたら、ツイッターでふろむだにDMいただければ、分かる範囲で回答させていただきます。

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