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第98〜I love you〜

7時間半かけて電車を乗り継ぎ到着した。

どうしても座りたいのだろう。並んでいるところを、電車の扉が開けば忽ち後ろから抜かしてまで侵入していく。人間の強欲を見た。

車内でおにぎりを食う乗客が、たまたまかもしれないが同じ車両に2人もいる。

乗り継いだ先の電車では、スマホゲームに夢中になる中学2年生4人組と一緒になってしまった。にゃんこ大戦争で盛り上がっている。周りの顔も気にせず五月蝿い。トンネルに入り扉のガラスに写るガキどもの顔を見てみると、案の定といった顔つきである。クソガキにはクソガキの顔つきというものがある。人間性は顔に出る。

私は、この世に根本的な変化をもたらすために必要なのは「笑い」と「美意識」だと信じている。しかし、「笑い」は幼稚で下品なものになり、「美意識」は欠落していっている。


時間に意味を持たせようと、ついしてしまう。7時間半にも及ぶ長旅だ。その道中、読書の時間に充てようだとか睡眠に使おうだとかする。何もしないでいる、何のためでもない時間というのは、我々の生活には実に少ない。時間さえ、目的に服従した手段としてしか存在させられないのか。


駅前で演説が行われている。どこの党の誰かは知らない。人口減少ということの危機を訴え、結婚して子供を産むことの尊さを唱えている。

尤も、それを立ち止まって聞く人は誰もいない。通行人はただ通り過ぎるのみであって、それでも話者は、声高に演説を続けている。

教師という商売をやっているからであろうか。私はこの光景に対しておぞましい気持ちにならずにいない。もし教室で私の話を聞く学生諸君が、ここでの通行人の如く私の話を聞くでもなく聞くというような光景が目の前に広がっていたら、私は喋り続けることができなくなるだろう。


どこまでも深く深く、最も愛してやまない学生とGWぶりに会えた。人生で1番の幸せな時間を過ごさせてもらった。また会えなくなるのが既に寂しくて堪らない。胸が苦しい。張り裂けてしまいそうなくらい苦しい。こんな思いは久しぶりだ。大事に抱えておかなければならない。

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