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第112〜愛を担ぐ〜

皆、愛はインタラクティヴなものだと思っているだろうし、事実そうであることを望むのだろう。

しかしそれを望めば望むほど、相互的な愛からはどんどん遠ざかっていくような気がしてきて、「私があなたを愛したところで、あなたに何の関係があろうか。」というスピノザが言った言葉を、最近はよく噛み締めている。

愛よ潔くあれ。とにかく潔くだ。一方的というよりも、それは片務的である。愛される幸福を求めずして、愛せることそれ自体が有り難い。

幸福な終わりを迎える恋愛などありはしないだろう。どんなに幸福に満ちたと思われる関係も、我々が人間である以上はいずれ「離れ」を不可避的に迎えなくてはならないからだ。カップルにおける失恋だろうが、夫婦における離婚だろうが死別だろうが、その訪れを経験しないではいられない。したがって恋をしたその瞬間、既に不幸というゴールへ向けた号砲が鳴らされているのである。あとは「離れ」までの間の、言わば「誤解」としての幸福を、狂乱の中に過ごすのみだ。

やはり、「狂え、この世は夢だ」といったところか。

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