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日記 - 曇天

最近晴天にはムカついた事しかない。いつも空気を読まず青々と輝きやがって。数年前からなんでもない風景が妙に好きになってからは、美しい光景には素直に見惚れる事にしていたのだが、晴天に限っては見惚れてもいいかとも思えない。そこには複雑さを演出する季節の雲も無ければ幾何学的な文様を演出する電線も無い。ただただ原色の空色を叩きつけていて憎らしい。雲は見る度様々な表情を見せてくれて飽きないが、常に動いているのが欠点だ。自分のセメントのような脳みそでは雲の静止的な全体像を捉える前に時間切れが起きてしまう。その点、曇天は好きだ。プラスチックを思わせる淡い灰色、世の中を必要以上に照らさない奥ゆかしさ。晴れの日に太陽が光と陰影を作り出すと、自分の目には必要以上に美しく見えてしょうがない。別に世の中は美しいと思ってないし、そんな頭お花畑で世の中を見れるほど脳味噌の作りが都合良くできていないのに、景色だけはいつも絵画に負けない美しさを持って迫ってくる。いつもそれに見惚れる事にしているが、それと同時にアンバランスさを感じている。普通、こういった景色は将来に展望を持っていたり明るい青写真を持ってる奴が見る物じゃないのか。自分のような人間が見るなんてどうかしている。美しい光景はそれなりの意図を持って配置されるべきであって、こんなに無造作に無配慮に置かれるべき物じゃないのだ。責任者は誰だ。

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