春よ来い
からんと晴れた冬空
小石を投げたら
凛と鳴りそう
北風の櫛に梳かれ
土手の草は
南へなびく
ひゅーという笛に
踊らされているように
梅の小枝の先で
点々と
息をひそめているのは
まだ硬い春
裸木は
お日様に向かって
手を伸ばし
早く早くと
春の衣をせがんでいる
もうじき
小さな空のかけらが
舞い落ちたような
イヌノフグリが
この土手に
咲く
蛇口からの冷水が
日向水にゆるみ
温かい湯になるように
早回しで
春よ
来い
おわり
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