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顔自動販売機

太郎は一大決心をして選挙に立候補することにした。公示日直前に決めたため大忙しだったが、資金は借金で準備、自転車で選挙区を回った。
一人でも多くの人に顔を売り名前を覚えてもらおうと奔走した。

花子は、就職試験にトライ中。七割以上の学生が内定をもらっているのに
まだ決まらない。意気込み、長所を話すのにも疲れてしまったが
やり続けるしかない。自分を売り込み就職するために。

次郎は仕事帰りにいつものスナックに寄る。ドアを開けるとテーブルについている何人かが手を上げて「やあ」と、合図する。「俺はここじゃ顔が売れているからね。だいぶ通ったよ、こうなるまでに」だそうだ。

わたしはnoteクリエイター。毎週書いているショートショートのお題が
「顔自動販売機」だって。何を書こうか考えているうちに、はっと気づいた。人間はみんな「顔自動販売機」じゃないかって。わたしにはいくつもの顔があるけれど、どの顔が一番売れているのかな。
マイナカードで売ってる顔かも。

            おわり(421文字)


 たらはかにさん、またまたお世話をおかけしますが、
 よろしくお願いいたします。


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