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春憂いATMがとがめ顔

お金をおろすのと、送金のため、銀行に行った。
ATMというのは、どうも苦手。やり方は簡単だし、困ることもないのだが、なにかドキドキする。特に父の通帳からおろすときは、「それ、あんたの通帳じゃないだろ」と機械に囁かれているような気分になる。カメラがどこかにあるんだろうな、と思うけれど、見あげたら目が合うといやなので、うつむいてくら~~く下ろす。下ろしたお金はすぐリュックにしまい、さりげなく振り返って、あとをつけられていないかチェックする。
昔は、ペットの名前で通帳を作ることもできたらしいが、今は本人確認がやかましい。カードがなかったらアウト。委任状があればいいのだろうか?

姉の住んでいる小さな町の銀行では「一日一回、20万円下ろすのが限度で、それ以上はダメなのよ」と聞いているが、こちらでは、一回の限度額は20万だが、数回下ろせる。一応大銀行だからだろうか。「一日にいくら下ろせるんですか」と、電話でこわごわ聞いてみたら、「どなたのご名義の通帳ですか?通帳番号は?」と追及されて、「いえ、けっこうです」と電話を切ってしまった。ネットで調べたらカードの種類によって違うらしい。だから追及されたのか、とちょっと安心した。

さて、今日は、隣の機械でおばあさんがお金をおろそうと、まごついていた。ロビーにいた銀行員が近づいてきて
「お金をおろすんですか?」
「ええ」
「じゃ、カードをここに入れて、それから、暗証番号を押してください」
「え?すみません、耳が遠いんで」
「こ、こ、に、カードを入れて、それから、暗証番号を押してくださぁい」
銀行員は暗証番号を見てはいけない、と思ったらしく、大声でそういいながら、あとずさりしている。

送金手続きをしている間、「大丈夫かな」と気になって、つい耳を澄ますと隣の機械がお札を数える音がパタパタしていたから、一回限度額の20万円くらいはおろしたようだ。パタ一回に付き一万円かな、と必死に音を聞いて数えてみたこともあるが、音が早すぎて無理だった。帰りがけに振り替えると、おばあさんを心配そうに見る銀行員さんの姿が目に入った。いくら銀行員でも「なんに使うんですか」とも聞けないわなぁ・・・

札数え飽きて春眠ATM 
さつかぞえあきてしゅんみんえいてぃえむ

                  お粗末でした!            



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