見出し画像

イホウの健康

僕は父ちゃんと長屋に住んでいる。父ちゃんは大工だが、心の臓を患っていて、仕事ができない。だから僕が蜆を売って暮らしを立てているんだ。医者にも見せたいけど、そんな銭ないしな。

真面目に暮らしてりゃ、お天道様が守って下さる。と父ちゃんは言うけど、背中をさすることしかできねぇ僕はつらい。

ある夜、夢を見た。僕はへんな青い着物を着て、小刀をもって、とうちゃんの胸んところを切っている。でも父ちゃんは痛がらねぇ。僕の横には同じような着物を着たあねさんが立っていて、僕の変な言葉を聞いている。

「メス」
「コッフェル」

目が覚めると…父ちゃんの顔色がいい。起き上がって仕事に行く、という。
印半纏を着ようとしているとうちゃんの胸に傷跡が・・・
いつついたんだろう?

僕は医術を学び、20年後、医者になった。体を切り開き、悪いところを直す。異邦(外国)では、こうして健康を守っている。
医術ってお天道様みてぇだな。

             おわり(412文字)


たらはかにさんの企画に参加します。
今回のお題は「違法の健康」ちょっと意味間違えちゃいましたが
よろしくお願いいたします。       


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?