起業という名の転職が、変えてくれたこと
サラリーマンとして転職した経験はありませんが、サラリーマンから起業した経験は、私にとっては転職と呼べる体験でした。
店舗の販売員として、品出しとかレジ業務などをしていた私が、オンライン上でのビジネスから起業をしたのは、業界的にも職務的にも、まさに違う畑に移ったわけなので、転職と呼べるものでした。
学生時代のアルバイト、短い時間ではあったけどサラリーマン生活、どちらも店舗の販売員をしていた私。
起業という名の転職をして、本当に良かったと思える体験をいくつもしてきました。
ただし、最大の財産は形に残るものではなく、いくつかの気づきだったのです。
仕事がより好きになった。働く意味を理解した。
起業をする前は、現場でのお仕事のやり方はマニュアルがあるし、教えてくれる先輩などもいました。
ただ、起業をしてみると、もちろん最初は自分しかいませんから、
どんな仕事をやれば良いのか
どうやって仕事をすれば良いのか
何をヒントにすれば良いのか
などについて、教えてくれる人はいません。
常に、自分一人の戦い。自由であり、大きな責任を伴っています。
最初のうちは、重圧に負けそうになって、何度でも「サラリーマンに戻りたい」と思ったのも事実。
でも、
自分なりに模索しながら
お客様の声を頼りにしながら
「こんなことをすれば喜ばれるんだな」
「このやり方は評価されているな」
「自分の得意なことはコレなんだ」
などと、本当に一歩ずつ、一日ずつ、一つずつ、自分の事業を作り上げていく中で、自分の仕事が大好きになっていきました。
自分で商売を始めると、サラリーマンの時のように、「このルールを守ったらお給料がもらえる」という形ではお金を獲得できません。
常に、お客様に提供した価値の大きさに比例して、収益が決まります。
この仕事の本質は、難しく、孤独で、不安なものにも感じますが、
一歩ずつ、一日ずつ、一つずつ、自分の事業を作り上げていく中で、これが仕事の本質であり、働く意味なんだということを理解できました。
事業って、本当に、自分の子どもみたいな存在なんです。
最初は何もできない状態で生まれてくる。
とにかく、手がかかる。
一生懸命に育てていると、いつの間にか成長していく。
気づけば、自立するようになる。
そして、私を助けてくれるほどの存在になる。
こうやって、仕事を生み、育てていくこと。これが、仕事の本当の楽しさなんだと理解できました。
自分には価値があると、健全に気づけた
起業をすると、常に自社の課題と向き合うことになります。
いったい、うちは何が強みなんだろう
いったい、私たちには何ができるんだろう
いったい、私の事業が存在する意味はなんだろう
経営者であれば、一度は考えたことがあるであろう、上のような項目。きっと、それは一度どころか、常に向き合っている課題でもあると思います。
そんな風に考えていると、その疑問の矛先は、自分の事業ではなく、自分個人に向かって矢のように突き刺さってきます。
いったい、私の強みはなんだろう
いったい、私には何ができるんだろう
いったい、私が存在する意味はなんだろう
この出口のない迷路は、自分が持っている価値を健全に気づかせてくれる良いトレーニングになりました。
そう、答えはずっと近くにある。
他人と違う部分
他人に褒められたこと
他人に感謝されたこと
そんなことの中に、自分の価値が眠っています。
自分には、どれほど小さなことであっても、実は上のような当たり前のことの中に大きな価値が眠っているのです。
だって、本当にすごいことというのは、他人から見ればすごいのに、自分にとっては当たり前にできてしまうことの中にあるんだから。
「こういうやり方をしなさい」という命令に忠実に従っていたサラリーマン時代には、あまり立ったことのない視点でした。
違って良いんだ。
シンプルで良いんだ。
もっと、素直に受け取って良いんだ。
それは私にとって、人生で初めて自分には価値があるという感覚を、強く認識できた瞬間だったし、同時に「みんなにも価値がある」ということも、言葉だけではなく体感として理解できた瞬間でした。
これ以降、自分にも、お客様にも、取引先相手にも、すごく優しい気持ちで向き合えるようになったと思います。
「ありがとうございます」の本当の意味
それまで、店舗の販売員をしていた私にとっては、お客様に「ありがとうございます」と伝えることは、当然の習慣として身についていました。
お客様が商品を選んでくれたら、「ありがとうございます」。
お客様がお金を支払ってくださったら、「ありがとうございます」。
お客様がお帰りの際などには、「ありがとうございます」。
当たり前でしょ?
私は、店舗の販売員だった頃も、店長だけでなくエリアマネージャーみたいな偉い人にも「君、挨拶すごく良いよ〜」と言われていました。
が、正直に言って、言いたくて言っていたわけではありません。
別に「ありがとうございます」と言うこと自体は好きでしたが、ただ単純にい「そう言いなさい」と研修されたから言っていたのです。
ただ、起業して、不安で、孤独で、先が見えない状態の中で、最初にお客様から小さなお取引をいただいた時、
腹の底から、
「ありがとうございます!!!!!!!」
って声が出ました。
たとえそれが、非常にわずかな売上だとしても。
この感覚は大切だと思います。
1ヶ月前にnoteを始めた時、スキが一つ付いたことに「ありがとうございます!」って自然と声が出ましたもん。
そう、お客様への感謝というのは、言わなきゃいけない義務なんかじゃなく、本来は自然と出てくる言葉なんだ。
この気持ちを忘れたら、きっとそれは辞めるべき時なんだと思った。
お金についての考え方が変わった
起業をする前、私にとってお金は、生きるために必要なもので、生きるために失っていくものというイメージがありました。
ですが、ここまでの長い経営者生活の中で、この考え方は完全に変わりました。
お金とは、可能性です。
お金とは、実現するためのエネルギーです。
正しく稼ぎ、正しく使い、正しく増やし、正しく守るものです。
人生の価値も、事業の価値も、持っているお金の多さでは決められません。
私の祖父母は、決して裕福ではありませんが、小さなお店を50年経営しながら、90歳を迎える今でも、とても幸せそうです。
ですが、私は壮絶な少年時代の経験から、
お金がないと、できないこともある
お金があると、できることもある
というのも事実として認識しています。
事業においても、私生活においても、お金とは人生の可能性や選択肢を広げてくれるエネルギーであり、実際にそれに向けて動く際には燃料となります。
なぜ、事業は利益を上げる必要があるのか。
私はそれは、お客様(企業体質によっては株主や取引先も含まれる)に対して、より大きな価値を提供するためだと思います。
言葉にしてみれば当然でも、実際に仕事をする中での気持ちとしては、自分の私腹を肥やすことに意識が行き過ぎている人も多いと思います。
もちろん、頑張った分だけ、良い生活をするのは何ら問題ないことです。
それは否定しないし、私自身も、サラリーマンの頃の自分では想像すらできないような生活をしています。
でも、事業が利益を上げる第一義は、自分のためではない。
そう、自分の仕事は、みなさま(お客様やステークホルダーなど)のためにある。
みなさまのために利益を上げ、みなさまのために予算を使い、みなさまのために事業を強くし、みなさまに価値を提供して貢献し続けるために事業を守らなくてはいけない。
ほんと、言葉にすると綺麗事みたいなんだけど、この考え方は、私の専門分野であるマーケティング的にも、めちゃめちゃ重要な中心点で、生きる上でも重要なことなんじゃないかなと思うんです。
起業して、最初の頃は、お金があることが嬉しくて、自分のためにシャンパンを開けている時代もありました。
そんな私が、みなさまにお酒を注ぎに回るようになったのは、お金というエネルギーは「誰かのもの」ではなく、「みんなをつなげているもの」だと理解できたからです。
弱かった自分が、強くなるのがわかった
ほんと、経営者生活を始めたての頃は、メソメソと泣いていることも多かったです。
懸命に働いた分だけ、なんだか不安も大きくなる。
眠れない日が続いたこともありました。
そう、この記事を書いている時点で経営者として13年やってきた私も、全然強くない。
というか、おそらくは、めちゃめちゃ弱虫です。
「なぜ、そんなことが気になる!?!?」と言われるほど、些細な小石にビビりまくる性格なのです。
そう、それは、今でもそうなんだ。
でも、歩けるようになったの。
足元に、小石があっても。
目の前に、壁があっても。
この先に、崖があっても。
歩いたり、突破したり、跳び越えたり。
その決断ができる勇気を持てるようになった。
だって、やるしかないんだもん。経営って。
「戻りたいなー。サラリーマンの方が良かったかも。」って何度も思ったけど、
もう、戻れねーよ。
そう、行くしかない。
それに、前人未踏の挑戦をしているわけじゃない。
いるんだから。自分に似た挑戦をした人は。
そう、あるんだから、この先に道が。
その道を選んだなら、ただ行けば良い。
最初は、そう思っても、小さな一歩だった。
慣れてくれば、たまに突っ走れるようになった。
いつの間にか、苦難を押し切れるようになってきた。
それで、私の場合は、強くなった自分に気づいたとき、同時にその強さが優しさにもなっていることに気づいた。
そう、いつの間にか、誰かに「大丈夫、一歩踏み出してごらん」と手を差し伸べられるようになった。
誰からも、何からも守られていない、起業という世界は、リスクだらけの真っ暗闇に見える人もいるみたいだ。
でも、私には、責任という荷物を背負って、自由という旅を行く、冒険の世界に見える。
もう一度、人生があっても、絶対に経営者になる。
当たり前じゃん。
こんなに好きなんだから。
私は、起業という名の転職をして良かったと思っている。
もし、一歩踏み出せない人がいたら、「大丈夫、一歩踏み出してごらん」と伝えたくて、この記事を書きました。
将来のために、今、何かを変えよう。
あなたの挑戦を、私は応援しています。
株式会社フレンドマーク
五十嵐
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