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『あつ森』化石展示室のモデルは「かはく」なの?

ゲームの発売前から注目を集めた『あつまれ どうぶつの森』(以下あつ森)の博物館。
中でも化石展示室は、これまでの『どうぶつの森』シリーズの化石展示室から大きく展示方法が変わったことで、話題を呼びました。

この「化石展示室」は国立科学博物館をモデルとしているのではないか?といった予想の声が挙がっています。
実際、あつ森の化石展示室のモデルは国立科学博物館なのでしょうか?

これについて私は、確かに博物館設計の上で参考にはしているが、モデルとしたとは言えないと考えています。
化石展示室をじっくり見ていくと、国立科学博物館をはじめとする多くの博物館とは明らかに異なる、あつ森の博物館独自と思われるようなポイントがありました。
そのため、あつ森の博物館は独自の博物館をつくることを目的としており、特定の博物館を再現することを目指しているわけではないと言えそうです。

今回、2記事に分けて、あつ森の化石展示室についてまとました。

Part1:『あつ森』化石展示室のモデルは「かはく」なの?
化石展示室の中で、国立科学博物館の展示に似ているポイントを紹介し、化石展示室が国立科学博物館を参考に設計している可能性があることを確認します。
Part2:『あつ森』化石展示室だけがもつ、世界中の博物館で唯一の特徴
あつ森の化石展示室が、現実ではまだ展示へ適用することが難しい、最新の学説を反映した展示を行っていることを確認します。これにより、あつ森の博物館が特定の博物館をモデルとするのではなく、独自の博物館を作り上げようとしたものであることを、『あつまれ どうぶつの森』がどんな体験を重視しているゲームなのかといった点にも触れながら考察しています。

この記事では国立科学博物館について簡単に紹介した後、あつ森博物館と国立科学博物館の似ているポイントを確認していきます。
あつ森の博物館を見て、実際に展示を見てみたい!と思った方、国立科学博物館の見学も検討してみてください。


国立科学博物館の紹介

国立科学博物館は、東京都台東区、上野公園の中にある科学博物館です。
上野公園には、近年世界文化遺産に登録されたことで話題になった「国立西洋美術館」、日本最古の博物館である「東京国立科学博物館」をはじめとする複数の博物館・美術館があります。
国立科学博物館もこうした博物館群の一つで、入口脇のシロナガスクジラを再現した展示が目印です。

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館内は「日本館」「地球館」に分かれています。
「地球館」は地球全体の歴史や自然、宇宙に関する展示を行っています。
「日本館」は日本列島の歴史や自然、日本の文化に関する展示を行っています。


化石展示室と国立科学博物館の共通点

以下、化石展示室の中で国立科学博物館の展示と近いと感じたものを紹介していきます。

①足もとのラインのデザイン

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化石展示室には、床のダークグレーとなじむようなラインが引かれていて、解説が書いてあることも確認できます。

展示物の周りのパネルだけで解説するのではなく、空間全体を使って展示を行っていることが分かりますね。

こちらの床のラインのデザインに似た空間が、国立科学博物館にもあります。

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[地球館1F]地球史ナビゲーター
足もとに年代が記載されたラインが引いてあります。
あつ森の化石展示室も、入口から奥の部屋に進むにつれて展示されている化石の年代が進んでいく構成になっており、時間軸を表現した国立科学博物館の展示を参考にしている可能性があります。
化石展示室にある足元のラインになにが書いてあるのかは確認できませんが、国立科学博物館を参考にしているとすれば年代に関することが書いてあるのかもしれません。

床の色や、落ち着いた色味などのデザイン面も似ている印象を受けます。

足もとのラインの分岐

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こちらのラインは、たどっていくと、生物の系統ごとに枝分かれしていることが確認できます。

この、系統ごとに枝分かれしているラインも、国立科学博物館で確認できます。

スクリーンショット (30)

[地球館1F]地球の多様な生き物たち(系統広場)
カラフルな色のラインが、生物種ごとに枝分かれしています。

化石展示室の足元のラインについて、デザインは「地球史ナビゲーター」、生物種ごとに枝分かれしている点は「系統広場」の展示を連想させます。
国立科学博物館の展示内容の工夫点を組み合わせた演出なのかもしれません。


③「ヒト」の展示

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自分自身が展示の一部になることができるというもので、発売後話題になりましたね。
アウストラロピテクスから分岐しているので、「ヒト」にあたるものだと予想できます。

こうしたアイデアも国立科学博物館で確認できます。

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[日本館2F]日本人と自然
自分が現代人の展示になれるというコーナーです。
化石展示室が全体的に地球館から着想を得ている印象だった中、こちらは日本館の展示になります。


④トリケラトプスとTレックスの展示

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こちらの配置からも国立科学博物館を連想しました。

トリケラトプスとティラノサウルスが向き合った配置で、緊張感がありますね。


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[地球館B1F]地球環境の変動と生物の進化 ―恐竜の謎を探る―
国立科学博物館でも、ティラノサウルスとトリケラトプスが睨みあうような、臨場感あふれる構図です。
あつ森でも近い配置になっていますが、国立科学博物館では通路を挟んで向き合っていることもあり、恐竜たちの間を探索していくような迫力を味わえます。


まとめ

以上、あつ森の化石展示室の中で、国立科学博物館の展示内容と共通点のあるものを紹介してきました。

あつ森の博物館の展示が気に入って、「現実の博物館も見てみたい!」と思ったら、国立科学博物館へ行くのがおすすめです。
(※国立科学博物館は2020年5月5日現在臨時休館中ですが、「かはくVR」として館内を探検できるよう公開してくれています。)

さて、いくつか共通する展示内容が確認できましたが、記事の最初で触れたように、私自身は「化石展示室は国立科学博物館をモデルにしている」とは言い切れないと考えています。
というのも、化石展示室を見ていく中で、明らかに現実の博物館との差別化を図るために取り入れられた特徴が確認できたからです。
これについてはPart2で確認していきます。

また、「ここも似ていた」といった点や、「国立科学博物館よりもこちらの博物館に似ている」といったことがあれば、教えていただけたら嬉しいです!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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