女の子を男の子に見間違えた話

美少年と思っていたら美少女だった、という漫画でありがちな思い違いを実際にしてしまったことがある。強烈な記憶で度々思い出すことがあるのだが、今回Webアクションに掲載されている『ファーストペンギン』という読み切りの漫画を読んで思い出したので文字に起こしてみた。

15、6歳のころだったと思う。当時の実家はお風呂がなく銭湯通いをしていた。当時はまだ銭湯の数も多く、風呂無し物件に住んでいるような若者以外にも家族で訪れる家庭も多かった。

ある夏の日、男湯の客は自分だけで風呂上がりに扇風機があたる場所で涼んでいると、男湯と女湯を仕切っている扉から顔だけを出している少年に気づいた。端正な顔立ちをした短髪の少年で歳は自分よりも下に見え、近所では見たことがない顔だった。童顔だがそれにしても母親と一緒にお風呂へ入るとしては年齢が高いため、「この子まだ母親とお風呂に入っているのか?」と疑問に思いつつも引き続き涼んでいた。

そのあと扉が勢いよく開いたので反射的に扉の方へ向くと、少年が扉から身を出した瞬間を目撃した。先ほどは顔しか見えなかったが、すらっとした身体つきで全身が見えたため、すぐに少女だとわかった。男湯に入っている家族にお風呂の道具か何かを渡したかったのだろうか、近くの棚にはお風呂の桶などを置いたようだった。

完全に裸を見てしまい、向こうも見られたことに気付いた様子だったため非常に申し訳ない気持ちになった。しかし少年と見間違うほど整った容姿、スラっとした高身長でかなりの美少女で、将来はアイドルかモデルを目指せるのではないかと思うほどだった。思い出補正がかかっているかもしれないが、芸能人を除いたら自分が見た女性のなかで一番の美人は彼女かもしれない。『ファーストペンギン』に出ているミツルという女の子は見た目が非常にそっくりで、久しぶりに記憶が呼び起こされてしまった。その後銭湯はもちろん近所でも見かけなかったので、今思うと夏休みにたまたま遠方から遊びに来ていた子だったのかなと思う。

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