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最強の氷猫、パオジアン

SV対戦環境で猛威を奮う氷タイプといえば、誰を浮かべるだろうか。
猛者は口を揃えてこういうはず。「パオジアン」と。
今回はそんなパオジアンの強さの理由と型を紹介する。ようつべを漁れば動画は出るが、いかんせんデータが古すぎるので新しいものも入れた更新版を勝手ながらここに記す。




パオジアンとは?

野生出現時。封印を解かないと出会えない

全国図鑑No.1002
さいやく(災厄)ポケモン
こおり・あくタイプ
高さ1.9m 重さ152.2㎏
特性:わざわいのつるぎ(災いの剣)

『準伝説ポケモン』の一角であり、高い種族値を誇る。2023年7月頃からランクマッチ解禁を果たし、使用率10位以内常連である。一時期7位まで落ち廃れかけていたが、S17現在4位と復権している。

種族値配分

H80 A120 B80 C90 D65 S135 計570

これがパオ(略称。以下これで表現)の種族値である。一見すると素早さ以外そこまでだが、特性である災いの剣が加わり攻撃の種族値は120以上になる。実数値で計算すると、LV50でA特化252振りパオの数値は、189×4/3で252になると考えていい。剣盾時代の王ザシアンが最高数値244だったので、これぐらいの火力を出せると考えれば、こいつが出せる火力の高さが想像できるだろう。つまりパオの種族値を書き直すと、

H80 A180 B80 C90 D65 S135 計630

という事になる。Aの数値はザシアン以上カミツルギ未満だったので大体このぐらいで収まるはず。
この状態で考察すると、ハバカミなどと同等の足を持ち、ザシアン以上のパワーをぶつけてくるポケモンといえる。はっきり言って狂っているし、これを受けきってカウンターできるポケモンが一定数いるのだから、パルデアのインフレ度合いがおかしいと分かる。

タイプはマニューラと同じであり、耐性は恵まれていない。ハバカミがメタとして暴れているために、耐久面はほとんど期待しない方が良いだろう。ただし、後述する型から物理相手だとある程度耐えられる事も分かっている。HBが共に80なのは並以上だからだ。あくまでDが薄いだけで他は普通以上という事は忘れないでいただきたい。


ここからはパオの使う技についてである。正直ここにパオの全てが集まっているといっても良い。一定数嫌われている理由もここで察せられると思う。

氷技

パオの代名詞は氷と悪技である。タイプ一致ボーナスが乗るためである。
まず氷技だが、「つららおとし」「アイススピナー」「ぜったいれいど」「こおりのつぶて」の4つである。特に暴れているのが氷柱落とし。以下のような2コマ漫画に遭遇した事がある人なら脅威が分かるはず。

当てたシーン。命中90なので外す時は外す
30%の怯み。このテキストでレートを吸われたトレーナーは数知れず

氷柱落としは、威力85命中90と外しがあるが、覚える氷技で最高打点かつ怯みでの無償突破が期待できる技である。他だとツンベアーが有名。氷柱針を覚えないため、これにせざるを得ない裏事情がある。先ほどのパオの攻撃数値と、タイプ一致による威力上昇が加われば、半端な耐久ポケモンは怯み1回で出オチとなる。「怯まなきゃ反撃で勝てたやろ」って嘆いたのは私だけではないはず。

他の技も強い。氷の礫は先制技。体力の少ない相手を確実に落とす手段であり、これで足の速い相手だろうとお構いなく落とせる。また、疾風返し以外に防がれないため、透かされる危険もほとんどないのがありがたい所。アイススピナーは、威力こそ氷柱に劣るが命中100の安定技。外しを嫌うトレーナーが採用し、確実に理詰めで勝てるようにしている。接触技なためゴツメや鮫肌のダメージが乗るのと、威力の低さから倒せない相手が出てくるのが気がかり。そして、災厄の技「絶対零度」。こいつに与えたら終わりやろとデータ発覚時に思った。一撃技を持つポケモンの多くは鈍足系であり、早くても100族である。パオはS135であり、その圧倒的速さから一撃技を仕掛けてくるのである。つまり、理論上先制絶対零度3タテという非道ができる。一撃技は後攻でカウンターとして繰り出し倒すのがセオリーであり、一種のマナーと言えるものだ。パオはその了解を打ち破ってくる。受けポケモンを出しても油断ができず、対策が無駄になる事もあるのだ。ただし、不安定かつ運ゲーなため採用ケースは稀。

悪技

続いて悪技。使うのは「かみくだく」「ふいうち」「うっぷんばらし」の3つ。氷技にも言えるが、パオの技範囲は狭くレパートリーも少ない。そのため、奇襲しにくいという弱点がある。
噛み砕くはパオの最強悪技であり、安定火力がウリ。半減されなければ誰にでも致命傷となり、外しが無いのでそのまま押し切れる。
不意打ちは先制技。礫と異なり「相手が攻撃技を選んでいる」時のみ発動するため、変化技に弱く、いわゆる『不意打ち択』が起きる。読み合いの一つであり、不意打ちが先か相手の攻撃が先に入るかの心理戦はバトルの醍醐味だが、精神をすり減らす勝負である。そのため、不意打ちを入れないパオも一定数いる。先ほど述べた礫の方が安定して先制技を置けるため、仕事量が多くなるからだ。
鬱憤晴らしは、甘えるなどで先に能力を下げてくる相手へのメタとして使われ、需要はある。しかし、限定的すぎるため使用者は少ない。

その他

他には、エスパー打点+壁破壊用の「サイコファング」、全抜き体制を作る「つるぎのまい」、技範囲を広げる「テラバースト」、格闘打点の「せいなるつるぎ」がある。ファングは主にウーラオスへの有効打で使う。オーロラベールなども破壊できるため、特定の構築に刺さる。剣の舞は受け相手への対抗策として使われる。採用率は高く、先程の不意打ち択を有利に進める選択肢にもなる。メタを貼らないと一気に流れを掴まれる危険性を持つため、ケアが必須である。
聖剣は貴重な格闘技。これのお陰でノーマル・鋼・氷系にも勝ちやすくなる。防御上昇を無視できるため、流行りのブリジュラスにも有利を取れる。命中安定なのも高評価。最後にテラバースト。パオのテラスタルは電気、悪、ゴーストがメジャーであり、テラバは電気に使われる。電気テラバーストによって、物理受けの代表であるヘイラッシャ・ドヒドイデ・アーマーガア・バルジーナなどが全員突破される。パオ対策が対策にならないという事態が発生しており、これがパオの強さを示している理由になっている。

このように、技範囲こそ狭いが構成次第で様々な相手を破壊できる性能を持つ。特に電気テラバや氷柱落としはメジャーかつ恐怖そのものであり、物理要塞すら安定しないのはゲームバランスに文句を言いたいレベル。
一応対策は存在し、フェアリーテラスのHBカイリューや炎オーガポンがいる。それでも、パオの技次第でこいつらも攻略されかねないため、所謂ピンメタは存在しないのである。


型紹介

次に、対戦で見かける型を紹介する。基本型から少し辺鄙なものまで色々だ。

襷型

きあいのタスキ:先制技・つららおとし・せいなるつるぎ・@1 霊テラス

まずは気合の襷型。ASに努力値を振り切り、役割に応じて技を変える。技4つが煩雑だが、人によって構成が違い過ぎていてまとめられないためだ。
このパオの場合、氷柱と先制技は絶対にある。また、聖剣も仕込んでいて抜かりない。最後の技は零度・ファングなどだ。テラスはゴースト。神速をケアするためである。先制技あるのに?と思うかもしれないが、このゲームには『優先度』というシステムがあり、ふいうちと礫が1なのに対し神速は2なのだ。つまり、カイリューの神速に対し、無効化しないと防ぎようがないのである。そのため、絶対にその手を食らわないためにゴーストテラスを採用している。襷の強みは行動保証。先発として様子見させても良いし、切り札として掃討させるのも良し。どこに置いても仕事できるため使いやすく、誰でも強さを実感できる型だ。初心者はこれを使ってみよう。

珠型

いのちのたま:テラバースト・つららおとし・先制技・@1 電気テラス

続いて命の珠を入れた型。行動保証を捨てた代わりに火力を上げたものである。自分も使った事があるが、これの有無で倒せるポケモンが変わる。打ち分けできるパオとしての最高火力がこれであり、珠電気テラバはHBアーマーガアを一撃で吹き飛ばす。DLC前は環境ポケモンの序列からこの型が非常に刺さっていた。あらゆる水・飛行系をなぎ倒せる火力なため、最も役割対象が広くなる型である。こちらもおすすめだが、テラスが電気固定になるため、神速に弱くなる点を考慮しよう。

鉢巻型

こだわりハチマキ:かみくだく・つららおとし・先制技・@1 悪テラス

珠以上のパワーを求めた究極完全態アタッカーパオ。破壊に全てを捧げた脳筋構成である。受け寄りの構築や襷を他に回した構築で採用され、テラスは噛み砕くをメインにする以上悪固定。捕獲してからテラスを変更しなくても良い(個体による)のは節約家からするとありがたい。圧倒的攻撃力を秘めてる反面、フェアリーに滅法弱くハバカミに勝てない。また、打ち分けできない点から、サイクル戦向きでなく交代を簡単に読まれた動きをされる事もしょっちゅうである。また、鉢巻パオは火力最大がコンセプトなため、性格が意地っ張りとなる。つまり、最速ハバカミには普通に先制されて負ける可能性が高い。これはパオ以外にも言えるが、「こだわり系は扱いが難しい暴れ馬」と捉えられる。ロマンはあるが、通すのは簡単ではないのである。

オボン型

オボンのみ:つららおとし・つるぎのまい・テラバースト・先制技 電気テラス

新たに開発された型。物理耐久の高さを活かし、場持ちを良くして役割対象を増やす狙いがある。パオの障壁として、水ウーラオスの水流連打があった。ASでは持ってかれるため、何とかしてこれを耐えきり倒せないかと考えられた結論がこれである。オボン型最大の特徴は、努力値がHBに振られている所。先述した水ラオスの水流連打を、パングロ補正でもオボン込みで確実に耐えるようにし、剣舞を積んで2ターン目に先制電気テラバで倒すという算段だ。火力の低さを剣舞で補い、耐久をオボンで賄うという攻守両面で強力な構成である。ただし、ピンメタ寄りかつ起点にする時間が必要という弱点があるため、シンプルな特殊アタッカーに落とされかねない。敵はやっぱりハバカミだ。

以上のように、パオの型は基本この4つである。他にもラムや食べ残しなどいるが、事故として割り切るのが賢明だろう。重要なのは、「メジャーな型は何か」「その対策を考えたら何が生まれるか」を意識づける事だ。ポケモン対戦は常にメタり合いの連続。SNS時代である以上、情報拡散と環境整備の速度が凄まじく速い。定期的に有名な型をチェックしておくとよいだろう。

最後に

パオジアン含め、メジャーポケモンは安定感と勝利をもたらすため使用者が多い。対策に苦しんでいる人は、一度使ってみると良いだろう。使って倒されて初めて、環境での対策法を知れるのである。人は負けて成長できる生き物なので、どんどん負けて自分だけのパオジアン及びパオジアン対策をぶつけてみよう。



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