聖戦士ダンバイン考:バイストン・ウェルの文化

ダンバインの世界観、設定についてアレコレと考察する。


生活の中の機械

ご存知の通り、バイストン・ウェルは中世ヨーロッパを思わせる文化風俗の世界だ。
だがダンバイン劇中の描写や台詞からは、そう単純な話でないことが読み取れる。
たとえば、ドレイク軍が兵の募集をかけた際に、浮浪者風に変装して潜入したニーが、あまりの悪臭から「兵舎に行ったら風呂に入れ!」と上官から命じられている。
つまり、一般兵卒用の宿舎にすら普通に入浴設備が設置されているのだ。
ドレイクのような貴人のための特別な設備ではなく。
バイストン・ウェルにキリスト教はないので、中世ヨーロッパのように入浴を忌避する意識はない。
どんな浴場なのかは描写がないので想像の域を出ないが、気軽に入浴できるのだからボイラーに相当する機械があるわけだ。
バイストン・ウェル現地民のコモン人は内燃機関を発明できなかったそうだが、ショットもしくはそれ以前にやってきた地上人によって開発されたことは十分に考えられる。
もちろん、入浴設備は一般のコモン人に普及したものではなく、ドレイク軍の先進性と恵まれた福利厚生を表すものである。

オーラマシンの真なる脅威

物語中盤でフェラリオの長であるジャコバ・アオンはオーラマシンを危険視する。
魂の安息の地で地上さながらの近代戦を始めたのだから、これはスローライフ(自称)系ファンタジーオンラインゲームにプレイヤー側がチートでSF兵器を持ち込んだも同然であり、世界観とゲームバランスの破壊者に他ならない。チーターは管理者に全員BANされても仕方ない。
ショウ達が直談判に来ても、それはプレイヤーがチートを使って本来入れない管理者用チャットルームに乱入してきたようなものだ。
なんだこのプレイヤーは管理者ナメてんのか。
よってオーラマシンは排除されて当然の異物なわけだが──その真なる危険性は劇中で描かれていない。

悪しきオーラ力の増大だのハイパー化だのは局地的な問題でしかない。
オーラマシンの大量生産は、コモン界の大規模な工業化を意味している。
巨大なオーラバトルシップの建造や、数百機のオーラバトラーの生産は小さな機械の館だけでは賄えない。
恐獣を加工するための工場、電子部品を製造する工場、火砲を作る工場などが建設され……大量の産業廃棄物が発生する。
それら廃棄物は、ぞんざいな扱いで捨てられる。
地表に放置され、地中に埋められ、河川に垂れ流しにされる。
コモン人に環境汚染の知識などあるわけもなく、また野心を抱いて兵器製造を指導するゼット・ライトに環境に配慮する良心なぞ望むべくもない。
結果、バイストン・ウェル始まって以来の大規模な環境汚染が発生したと考えられる。
汚染によってバイストン・ウェルの根本をなす自然が蝕まれ、世界を形成するオーラ力が乱れていく。
これこそがジャコバ・アオンが命を賭してまで追放した、オーラマシンの真なる脅威なのかも知れない。

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