芸人さんのオタクになるということ

今年に入って芸人さんのファンになった。
応援の仕方がわからず、悩んでいる。

小学生から今まで、Jアイドル、バンド、ソシャゲ、漫画、観劇などの様々なオタクを経て、いきなり芸人さんのオタクになった。
「お笑い芸人のオタクはできないわ~!!」
豪語していた人間が突然これ。人生何があるかわからん。
まあそもそも、人生の半分を悠に超える時間オタクだった人間が突然何かに転がり落ちるのなんて今に始まったことじゃない。自然の摂理かも。
ジャンルを鞍替えするたびにその界隈のことを必死に学び、立派に取引も行えるようになり、推しのグッズを譲りに出しているツイートに2秒で声をかけ、チケット発券のために数十軒のコンビニを周り、全国津々浦々どこにでも行った。

でもなんか、今回はムズい。

え、芸人さんのオタクってどうやるん?出待ち入り待ちOK?そんなことある?そんなことがまかり通ってるん?プレゼント手渡しできるってこと?手売りってなんやねん怖いなロビーに普通におるな。てかライブ行く途中普通に芸人さんがその辺におる。気軽にウロウロすな危ないやろ。ほんでファンが声を!?!?普通にかけてる!?!?普通に対応してる!?!?サインもらえんの写真撮ってもらえんの!?!?ありえんすぎ。てか素敵な紙(オブラート)渡せるやん!!なんか劇場ちっさすぎん?え距離ちっっっっっかこっわ。チケ代安すぎるやろ採算取れてんのか?ギャラ支払われてるか?DMがwww普通に返ってくるwww返信すなよ。こっちはちょっとプライベートなTwitter(現X)のつもりで感想投げとんねん。てか恋人いるって軽く公言してる~~~遊んでることも公言してる~~~ファンがDMから繋がれてる付き合えてる~~~怖~~~!!!!ほんで撮可のライブ多すぎ~~~~~~!!!!!!!別で金とれ~~~~~~~!!!!!!

怖いところは本当にたくさんあるけど、総じて言えるのは「距離が近すぎ」。芸人さんのオタクを始めてから毎度毎度思います。初めてのお笑いライブ、最前列に座って1番に思ったことは、『え~?距離、ちか~(ひくねとボイス)』でしたもん。

まず出待ち入り待ち。出待ち入り待ちOKって、なんですか?もうここからですよ。
正しくはOK「だった」かも。ライブや事務所、芸人さん本人の意向によってOKみたいな感じ?わたしが推してる芸人さんは、事務所の方針で現時点では一切の出待ち入り待ち行為が禁止です。やってる奴もいるけどな!でもそういう人もめっちゃ叩かれたりはしてない気がする…普通に対応してもらえてるまであるような。出待ち入り待ち、ありえん。え、普通に危なくないですか?刺されたりしないの?大丈夫そ?芸人さんなんて全員遊んでるやろ?(偏見)
今までわたしがいた界隈では出待ち入り待ちは圧倒的「「「悪」」」だったので、しようもんなら愚痴アカウントに書かれ、掲示板に書かれ、そのオタクのアカウントが割れ顔が割れていました。だからもうこれ、ほんま、すごいことですよ。プレゼントとか手紙とか手渡しできるんや…すごい。普通の友達みたいな物理的距離感で喋れるってこと?でもさ、何話せばいいの?慣れるもんですか?やってるうちに。なんかどうしても、出待ち入り待ちは悪!というのが染み付いていて、
『出入り口にオタクが溜まってたら普通に怖いやろ!!!』
という気持ちになってしまい。OKでもやったことないです。
ちな劇場の出待ち入り待ちが禁止されたからといって駅などで待つオタク、周辺を遭遇狙いでずっとうろつくオタク、それはマナー違反じゃね?いいわけねーだろ。そんなキモいことするんやったら堂々とルール破って楽屋口で待て。

あともうそもそもやし冒頭でも言ったけど、劇場がちっさいから普段客席に座っていても距離が近い。わたしはこれで前方への執着がだいぶ改善されました。置かれた場所で咲きます。もうしばらく同じ公演のチケットの束見てない。エクセルでチケットの枚数と名義と公演日を管理したりしてない。そもそもわたしがよく行く某デッカお笑い事務所の常設劇場のチケットは課金会員になれば積まんでも前方出る。すばら(素晴らしいの意)。ほんで手売りってさ、何?え、応援してる人から直接チケット買えるって、何?ほんまによくわからんから概念の話からしてほしい。サインしてもらえる?え?写真撮ってる?マジで分からん。もう違法よ。何らかの法に触れてないとおかしい。残り何枚なん?全部買ったるよ。友達全員呼ぶ。当たり前やんけ。となってしまうと思うので、推しが手売りしない人で良かったよ。マジで分からんからな。

つぎに芸人劇場周辺ウロウロすな問題とそれに付随する、オタクが気軽に声かける光景ですよね。
これ某デッカお笑い事務所の常設劇場周辺はもちろん、小劇場の周辺でもおる。新宿むっちゃおる。そして気軽に声をかけるオタク。すげえ。なんか、わたしの体感なんですけど今までいた界隈では見かけてもあんまり声をかけないっていう空気が強かった気がするなあ。プライベートだから…みたいな?でも芸人さんも普通にというか、すごいサービス精神で対応したりしてるからOKなんや~って。芸人さんにもよると思うかけられたくない人もいると思うけどね。

まじ大きいのはDM返ってくること。
これね、まじ、やめてください。怖いです。わたしも今までの芸人さん以外の推しにDM送ったことはあるけど、返事はこないもんだし既読もリアクションもつかないもんでした。そう思ってました。つく人いると、え!?つくの!?やば!!ってなってた逆に。だから初めて応援している芸人さんに送った時、リアクションきてビビり散らかした。え??これ夢??誰かと間違えた??ってなった。今はちょっとずつなれてきたので、現場行った日に感想だけせこせこ送ってます。既読ついたりリアクションきたりうれしいわね。でもさあ~そりゃオタクと繋がるわな~って思った。こんな自分で自由にSNS動かせんねやったら。

なんかゴタゴタいくつか挙げたけど、わたしがこれらの距離の近さによって恐れていることは、『距離感を間違え、人間として尊重しなくなる』ことです。

以前のわたしは推しのケツ追っかけ回すことに全てをかけていました。ほんまに全て。自分の時間を限界まで削り、精神を削り、イライラして病んで病んで病んでそれでも推しに会いたかった。少しでも近く、少しでも多く。夜行バスで現場から帰ってシャワーだけ浴びて仕事して終わって新幹線で現場行って…を繰り返したり、心身の不調を無視して朝も昼も夜も働いた。死ぬ気でチケット取ってた。札束でブン殴るってやり方しかしらなかった。終盤はもういろいろと、よく分かってなかったと思う。自分がどんな状態かとか本当はどうしたいのかとかいま楽しいのかとか全部。ただ会いたいその一心だった。
なんというか、消費しまくることでしか応援の気持ちや好きの気持ちを表せないのがしんどくてつらかった。とにかくお金を積んで積んで積んだ奴がえらいっていうのがすごく強かった気がする。そしてそれを助長したのが推しと距離があるということだったかもと思う。最前にどんだけ座ったってもう遠くて当たり前だから、なんというか、神さまだった。偶像。実際、通うのをやめる1年くらい前に、「あ、この人って人間なんだ…」って不意に思った瞬間があった。勝手に好意をぶつけても届いたかどうかなんてわからないし、こっちの存在を個として認識したりしないし。何にも責任取らなくてよかった。周りに迷惑をかけさえしなければただただ乱暴に好意をぶつけてもよかった。もちろん、本当に大事で大好きだったから、その人を尊重したいという気持ちも、もちろんあったけど。でもその距離感に安心していたところもあったと思う。いろんなことが重なり、現場に通えなくなって、寂しかったけど少し安心した。
その人のことは今でも大好き!その人のつくるものが好きだし大切だし、通えないけど現場あれば行くし、ずっと好きかな~と思う。わからんけど。

こういう距離感で推しと生きてたから、もうこんなに近くなるとわけわからんなるのよ。自分の一言が確実に相手に届くし、ともすれば顔を覚えられるかもしれない。推しの人生に影響してしまう可能性がある。それがもうとにかく怖い。とりあえずキモさを極限まで減らさないと!!と思っている。オタクって、キモいものだから。そもそも。キモいものだからこそどれだけ本人を前にしてそのキモさを削ぎ落とし、無害になることができるかを常に気にしているべきだと思っていて。距離が近いからこそそれを徹底しないと!!と思ってる。推しにとってとことん無害なオタクでいたい。

出待ち入り待ちのこともそうだけど、遭遇したってプライベートでまでキモオタクの相手させるの申し訳なさすぎるし、DMも送る前に何回も何回も読み直してる。まじでこれオタク長年やってて初めての感情なんですけど、推しの視界に入るのが怖すぎる。
黙ってお金を出し、黙って席に座り、撮可コーナーではレンズばかり覗かずさっと笑顔を納め、その人がステージで提供してくれるものを受け取って楽しむ。なんか最近同じネタばっかりや~と思っても人の目に触れるところでマイナス発言をしない。かといって全肯定ヨシヨシオタクにならないよう、自分の中のマイナスの感情を否定しない。本人には感謝を伝え、良かったところだけを伝える。距離感を間違えない。ついていけなくなれば、黙って消えるだけ。

まあどうあがいても結局「応援する」ことや好きという気持ちはそれ自体が自己満足だしエゴだし押しつけだし、お金出さない奴や現場に行かない奴よりは出した方通った方が貢献しているという意味ではそれはそうだし。通ってなくてお金も出していない人の意見に説得力があるかといえばうーんだよね。ファンと推しという言葉で飾っているだけで結局は消費者と商品だから。
でも、それでもこの気持ちに嘘はないので。その人を人間として尊重し、その人の芸を尊重できるように最大限努力したい。それが健康的な距離感だと思う。



それに、許されてることはゆっくりでもちゃんと迷惑かけず楽しめるようになりたいわね。暴れ倒すオタクとしての自我を飼い慣らし、悩みつつ少しずつ、リハビリしていくことにしようと思います。それも多分、結局楽しいと思うので。

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