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相次ぐNo.1の指導に業界の審査企業も疑問視?


「絶対」という表記にある恣意的な側面

まずは前回のおさらいからです。“絶対”という表記に問題がないか?と行政に問い合わせをしたところ、「“絶対”という表記は食品においてはOKとなり得るケースもある」と回答をいただきました。
しかし、その一方で運用においてはやはり恣意的な側面が残っているように見受けられるともお伝えをしました。
では、現状はどうかと言えば、場合において一定度の運用が緩くなったり、逆に異常に厳しくなったりと、恣意的な運用が目立ち、そのような運用ができる法律体制が問題であると考えています。

相次いで出されたNo. 1への指導

では、前回の内容を踏まえたうえで本題へと移ります。

2023年の暮れと、2024年2月から3月にかけて、No. 1の表示への指導が相次ぎました。このことは消費者庁サイトにも記載されており、かなりの件数に登っています。
一例として、消費者庁サイトに掲載している株式会社サンへの行政処分をご覧ください。

この他にも、新聞等のメディアでも取り上げられています。

そのうえで消費者庁としては、実態調査を行う旨の発表が出されました。

消費者庁の新井ゆたか長官は21日、商品やサービスを合理的な根拠のないままに「満足度No.1」などと宣伝し、景品表示法違反となる事例が相次いでいるとして、こうした不適切な「No.1表示」に関する実態調査を始めると発表した。No.1表示を巡っては、アンケート対象者が商品やサービスを実際に利用したかどうかを問わずに、サイトの印象だけで「満足度」などを尋ねて結果を示すという問題が起きている。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE21A8P0R20C24A3000000/

ここでの論点は2つあります。
ひとつは、ここまでの指導が相次いでいる部分と、その後の調査の話が出てきたことから、消費者庁としては警鐘を鳴らす意味で、あえて指導を行ったと思われることです。
しかしながら、前回のおさらいから分かるように、「絶対」は大丈夫なのに「No.1」は駄目という運用に公平性はあるのか?という2つがポイントだと捉えています。

業界大手の機関からも疑問視の声が

景品表示法や薬機法においてチェックやメディアの審査などを手掛け、多くの企業やメディアに関わっているY社という企業があります。その企業の情報提供のメールマガジンなどでもNo. 1への指導については取り上げられています。

景表法違反で措置命令が続いていたNo. 1表示が、会社と代表者に業務停止命令が下された

メールマガジンより一部抜粋

と、株式会社サンの件について取り上げています。別のメールでは、

イメージ調査では計測し得ない部分にもNo. 1を付けていたことがポイント。NGだったアンケートに引きずられた感じ

メールマガジンより一部抜粋

という内容とあり、疑問視している姿勢が伺えます。

そもそも、この指導ですが、調査に関しては特商法違反が先に進められていたと考えています。というのも、日本流通産業新聞の中では

消費者庁によると、PIO-NETによせられたサンに関する相談件数は、2021年7月から2024年1月までの間に1380件寄せられていたという。「商品を購入したが広告のような効果がないので解約しようとしたら、契約が4回縛りとなっていた」などの相談が多かったという。

https://online.bci.co.jp/article/detail/701

という内容から、この企業については2021年から把握をしている事がわかります。一方、消費者庁のリリースでは

サンは、少なくとも令和5年11月7日から令和6年1月9日までの間 に、別添資料1のとおり、本件商品の販売条件について広告をしたとき、 本件商品の品質及び効能について、本件ウェブサイト上の本件商品のラン ディングページ(検索結果や広告等を経由して消費者が最初にアクセスす るページのこと。以下「本件LP」という。)において…

https://www.caa.go.jp/notice/entry/036684/

とあり、2023年以降の情報となっております。
つまり、疑義が生じて調査を持って行ったのは、特商法違反がメインであり、No.1に対する指導が後からであると考えられます。

この指導は本来、特商法違反について業務停止をしなくてはいけない論理なのに、消費者庁のリリースでは逆に発表されています。このことから、意識的にNo.1を悪に持っていこうとするようにしていると考えております。

なぜ意図的に逆にリリースをしたのか。
Y社の言う「引きずられての指導」はあったのか?

この2点が重要になります。
本来、指導をすべきではない、もしくはするかどうか怪しいものが引きずられて指導をされたのであれば、恣意的な運用を業界内で認めていることになってきます。言い方を変えれば、業界内では恣意的な運用はあるものという風潮があり、業界トップクラスのシェアを持っている審査機関でさえ認めていることが問題点です。

まるで冤罪のような疑惑

このような言い方はしたくありませんが、冤罪のようなやり方と言えます。例えるなら、スピード違反にて取り締まりを受けたときに、
ついでに「飲酒運転」までしていたと証拠をでっち上げられ、別の違反まで付けられてしまい、まるで二つの違反をしたかのようにされてしまう。ということがあり得るということです。

それが冤罪であったら大問題ですよね。
つまり、片方が問題点なのにもう一方を勝手に足したのであれば、かなり恣意的な運用をしていると言えます。

今回のまとめ

これまで私が問題視してきたのは、景品表示法の指導において恣意的運用が横行している可能性、及び、恣意的な運用ができる法律の状態になっていることでした。
しかし、業界内部からも恣意的な運用指導が横行しているという、内部告発とも受け止められる情報が出てきたことが今回のポイントになります。

この事実から、今後は恣意的運用ができないようにしなくてはいけないと考えています。言い換えれば、この法律を恣意的運用ができないルール形態に持っていくことが重要になってくるでしょう。
 
今回の内容については、引き続き確認を続けていきますので、情報等をお待ちしております。

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