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差し戻し審判決を受けて

朴鐘顕くんを支援する会の佐野です。
控訴棄却という残念な判決が出てしまいました。この差し戻し審については、全ての審議を傍聴する中で、無罪判決が出るに違いないという思いを持っていただけに、非常にショックであり、今はまだどうしたら良いか分からないというのが正直な気持ちです。朴君のお母様も、子供達に何て伝えたら良いのだろうと、繰り返し、記者会見の場でも、嘆いておられました。

振り返ると、最高裁が強調したのは、二審の重要な判決理由であった、奥様の顔に血が流れた形跡は本当に無かったのか(自殺なのであれば血が流れるはずで、その形跡が無いから自殺ではないという二審の主張)?ということと、それも含めた包括的な事実審理を、差し戻し審で実施しなさいということでした。

それで、実際の差し戻し審はどう進行したのか?

検察側は、証拠の顔写真に写った痕が血痕ではなく影であったということを、法医学者や科捜研技術官への証人尋問等によって主張することに終始しました。一方、弁護側は、顔写真に写った痕は血痕であると主張しましたが、そもそも、顔写真は顔が拭かれたあとに撮影されたものであるとも主張し、それが血痕であったかどうかということよりは、法医学者への証人尋問の中で、おでこに出来た傷や首に出来た擦過傷などを根拠に、検察側による死亡時の状況説明は間違っており、自らお亡くなりになったものだと改めて主張しました。

では、判決はどうだったのか?
血痕の有無により自殺を否定することは出来ないと、差し戻し前の二審判決を否定したのです。それでも、結果は有罪判決でした。一審を否定した二審判決をまた否定して、一審を支持したという形になるのでしょうが、強調したいのは、この差し戻し審の中で、その一審の諸々の内容について吟味されるようなことは一切無かったのです。

こうも言いました。一審では、階段付近等に残された計15ヶ所という血痕の数は、そこで亡くなったにしては少ないという判決理由が示されましたが、差し戻し前の二審では、新証拠によって血痕の数は計25ヶ所であったことからその理由は否定されました。今回の判決では、その数が25ヶ所だとしても、そこで亡くなったにしては少ないという一審の判断は間違ったものではなかったというのです。何の根拠も無く、です。そんな子供の言い訳みたいなことはありません。せめて、どういう状況であれば自然と言えて、どういう状況であれば不自然と言えるのか、そのガイドラインくらいは示すべきではありませんか。

今回の判決は非常に残念で、ショッキングなものであり、同時に、論理的に考えて、とても納得できるものではありません。

今はどうしたら良いのか分かりませんが、もう一度最高裁の判断が下されるまで望みは捨てません。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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