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【今日コレ受けvol.90】一言が未来を創る

ライター仲間が朝ドラ受けならぬCORECOLORでの佐藤友美(さとゆみ)さんの新連載「さとゆみの今日もコレカラ」受けを始めるというので、一緒にやってみることに。1日1時間だけ、と決めて書き続けるための体力づくり


あの人の一言がなければ。

思いがけない言葉が、自分にとって大きなターニングポイントになることがある。今でこそ英語は日常で不自由なく使えて、英日翻訳の仕事をする機会にも恵まれているのだけれど、わたしは英語が決して得意なタイプではなかった。英語というか、語学そのものに興味があって言葉の成り立ちや他の言語と比較して少しずつ自分で法則に気づいていくのが好きだっただけで、学校の英語のテストで1番になったこともない。ただ言語が好きなだけ。

英語を聞くのはわかるが「はい」と「いいえ」しかレスポンスできない状態で、イギリスへ単身留学したのは25歳のときだった。

最初に入った英語のクラスで、先生がそれぞれの良いところを褒めてくれる機会があった。わたしの番になったとき「あなたは耳が良いから言葉を上手くキャッチしてそのまま発音できる。とにかくたくさんの人と会話をしてみよう。その方がずっと英語が上手くなると思うよ」と先生が言ってくれた。

その日から、人の話を聞いて真似をする日々が始まった。1日の中で頭に残ったフレーズをメモして、家に帰ったら辞書を引く。フレーズのスペル起こしをして、ふんわりと理解した会話の内容から意味を補完していく。次の日、使うタイミングがあれば実際に自分で言ってみる。3年半続けたらどっぷりイギリス英語のイントネーションになっていた(訛りを習得していたことには帰国してから気づいたのだけれど)。

あのとき、先生に言われた「あの一言」がなければ、留学を通してこんなに英語が使えるようになっていなかったかもしれないし、今のお仕事もしていなかったかもしれない。言葉には力があると思う。わたしの何気ないひと言が不意に誰かに届いてしまう。その想像ができるかどうかで、発信の仕方は変わる。出来ることなら、わたしも誰かの背中を押す言葉を紡ぎたい。

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