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My Lifetime Important Albums #5 Parliament / Mothership Connection (1975)

Facebookでかつてのバンドメンバーより「自分の人生に影響を与えたアルバムを10枚あげる」というバトンの指名をもらい書いてみたのだが、なかなか面白かったのでnoteに残しておこうと決めました。
音楽を語るのって楽しい。

音楽評論家でもないので、アルバムに関する基本情報や詳細は記載しません。あくまでもファンとして自分はこうして出会った、こういう風に聴いてきた、ここが好き、という目線で書いています。
では始めていきたいと思います。

Parliament / Mothership Connection (1975)

18才で東京に大学進学でやってきて、バンドをやることに燃えていた僕は、JBやスライをきっかけにファンクにのめり込んでいった。
映画「ブルース・ブラザーズ」で、主人公の二人(ジェイクとエルウッド)が教会でJB扮する牧師のプリーチに、雷に打たれ覚醒をするシーンがある。
「バンドをやろう!」
まさにあんな感じだった。

ファンクのアーティストを探し出し、その名を知ってCDで購入したのがこのアルバム『Mothership Connection』だった。
P-Funkというグループだかジャンルの独特のスタイルがあるらしく、その代表的なアルバムがコレだ、と知ったのだ。
CDをかけて最初1曲目はその名も「P. Funk (Wants to Get Funked Up)」。
聴いて意外だったのは、メインのジョージ・クリントンは歌というよりはMCのような喋りがメインで、ボーカルは何人もいるようだった。それもコーラスグループのようなハモりというよりは、分厚いユニゾンコーラス中心で、正直に言えば最初はちょっとピンとこなかった。
テンポもそれほど早くないし、ドラムはちょっと淡々とした感じもあって。
ベースがブリブリとワウをかけた感じなのはとても気に入った。

でも次の曲「Mothership Connection」はリフがすごくかっこよくて、だんだんと引き込まれていく。
後半曲の雰囲気が変わり、Swing down, sweet chariot〜と、謎の呪文のような言葉を繰り返す。
これはのちに調べて、伝統的な黒人霊歌(ニグロ・スピリチュアル)なのだと知った。
チャリオットとは馬車のような乗り物の事だが、ここではどうやらマザーシップと呼ばれる謎のUFOの事のようだ。
アルバムジャケットに写っているUFOが降りてくる姿は、こののちに非常に画質の悪い海賊版のライブ映像を見て、その意味を理解できた。

そしてこのアルバムは何と言っても「Give Up The Funk」。
イントロからして、ワサワサと何か始まるような空気感。
同じ歌詞をひたすら呪文のように繰り返す歌、自由にのたうちまわるベースと、合間を縫うようにキメフレーズがかっこいいホーン。
全てが完璧に聴こえた。
「Give Up The Funk」って、つまりファンクを諦めろってことか?などと英米文学科に入学した僕は戸惑ったが、
それはファンクを諦めるのではなく、英語のスラングなどで出てくる”Give it up" つまり拍手を!とか支持を!
みたいなニュアンスなのだと理解した。

君は盛り上がる本物の素質を持っている
周りはあらゆるリズムに溢れてる

俺たちはファンクが欲しいんだ
ファンクを讃えよう
俺たちはファンクが必要なんだ
ファンクを手に入れよう....

いまだにこの曲を聴くと全身の血流が熱くなる。
いまだにこの曲をライブでカバーして演奏し続けている。
FREEFUNKというバンドの要素をいくつかに分解したとき、間違いなく最重要な要素がP-Funkで、とりわけ70年代のP-Funkは自分の人生にも音楽にも影響を与えた。

P-Funkは好き嫌いがはっきりと別れる音楽だとよく言われる。
おそらくファンカデリックのようにギンギンのロックギターがメインになったり、ド派手な演出やサウンドが別れ道になるような気がするのだけど、少なくともこのアルバム「Mothership Connection」はファンクの大名盤として数えられるし、ある意味”P-Funk沼”への入り口として最適かつ最上なアルバムだ。

何度か通して聴くうちにハマり、他のアルバムも手を出してみてどんどん深みにはまっていった。いまだにそこから抜け出せないままでいる、重度のP-Funk中毒でいる。

P-Funk関連はライブ映像がいくつか残されていて、20年ぐらい前までは海賊盤で高い値段で手に入れていたが、今ではYouTubeで全部見ることができる。いい時代になったものだ。
「Mothership Connection」の頃の雰囲気を味わうなら、グレン・ゴインズが健在だったこのライブ映像にとどめを刺す。


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