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My Lifetime Important Albums #6 Funkadelic / Maggot Brain (1971)

Facebookでかつてのバンドメンバーより「自分の人生に影響を与えたアルバムを10枚あげる」というバトンの指名をもらい書いてみたのだが、なかなか面白かったのでnoteに残しておこうと決めました。
音楽を語るのって楽しい。

音楽評論家でもないので、アルバムに関する基本情報や詳細は記載しません。あくまでもファンとして自分はこうして出会った、こういう風に聴いてきた、ここが好き、という目線で書いています。
では始めていきたいと思います。

Funkadelic / Maggot Brain (1971)

パーラメントを聴いた後に「P-Funkにはパーラメントとファンカデリックがあって・・・」という事を知り、手にしたアルバムがこの「Maggot Brain」だった。
当時P-Funkのアナログレコードは結構な高値で、CD化がようやくスタートしていた状況だった。それも確か「America Eats Its Young」ぐらいまでしかCDになっていなかったような気がする。もしくは順番にCD再発されている矢先だった。

大学生のころ時々通っていた、大学近くの小さな輸入CD屋が結構品ぞろえが良くて、カーティス・メイフィールドや、ブルース関連のCDはそこで買っていた。大学の近所に住んでいたので、わざわざ渋谷まで出かけなくてもCDが買えたので重宝してたのだ。ファンクに夢中になり始め、そのCD屋で入手したのがこのアルバムだった。

のっけから、怪しげな語りでスタート。

母なる地球が3度目の妊娠をした
お前らが皆で地球を妊娠させたのだ...

このあたりは先に聴いたパーラメントのアルバムと同じだなと思ったが、その後、悲しげなマイナーコードのギターのアルペジオと、むせび泣いたり激しく叫ぶような怒涛のギターソロ。延々とこれが10分近く続く。感情の全てをぶつけたようなギターに圧倒をされた。
そして、ドラムとベースは全く聴こえない。部分的にスネアが入ってくる箇所はあるけど、それも効果音のような使い方で、一瞬だけだ。
これは本当に衝撃を受けた。ファンクのギターとはJBやスライで聴けるような、16分音符のカッティングだと思っていたから、ファンクのアルバムで、まさかこんなギターソロを聴かせるとは思いもよらなかった。
しかもアルバム冒頭で。
さすがにファンク初心者だった僕でも、これは相当物議を醸す曲だっただろうなと思った。

それに続く「Can You Get To That」は重々しく、アコースティックギターのブルージーな演奏と分厚いユニゾンコーラスの歌。
そして「Hit It And Quit It」のかっこいいリフレイン。
もう、全てが完璧と言って良かった。
正直に言えば、ロックやブルースに慣れ親しんだ耳には、ParliamentよりFunkadeicのこのアルバムのほうがストライクど真ん中だった。
このアルバムに入っている「Super Stupid」という曲も最高で、彼らがジミヘンの影響大なことはすぐに分かったが、もしかしてジミヘン超えちゃったんじゃない、なんで思ったものだ。
アルバムの最後を締めくくる「Wars Of Armagedon」はドラムパターンがメチャかっこよくて、JBのような感じだが、乗っかるギターリフはこれまたヘヴィなサウンドで、凄いテンションのまま最後に“終結”する。
これを聴いてP-Funk、中心人物のジョージ・クリントンには何か強い思想、コンセプトがあるのだろうと理解した。
そういえばジミヘンのアルバム「Axis Bold As Love」も宇宙からのメッセージのようなラジオ局のMCで幕を開けるし、ジミヘンやスライに触発されながら、独自の世界観を作り上げていることを感じた。


ファンカデリックのアルバムはどれも名作で甲乙つけがたい。
また重要曲という意味では後年の「Standing On The Verge Of Getting It On」(1974)や「One Nation Under A Groove」(1978)も大傑作だけど、やはり自分の人生やギターを弾く時の心構えや演奏自体に影響を与えたという意味では、18才の時に出会ったこのアルバムしかない。
そして、ファンカデリックが一番、バンドらしかった時期の作品でもあると思う。
パーラメントはボーカルグループ、ファンカデリックはバンド、という分け方は基本だけど、このアルバムの時に在籍したファンカデリックのメンバーたちは「俺たちがファンカデリックだ!」という気合に満ちている。
ベースのビリー・ベースなんかは特にそういう気合いを感じる。気合いがありすぎてジョージとはしょっちゅうぶつかっていたようだが。
(来日公演で来た時もそんなそぶりだった)

そういう面も含めて、このアルバムは聴くたびにテンションが上がる、重要盤であり愛聴盤だ。P-Funkを知りファンクにどっぷりはまり、何度もP-Funkのライブに足を運び、色々試行錯誤を経てファンクバンドでギターを弾き続けているのはこのアルバムのおかげだと思っている。

初期のファンカデリックの映像というのはないが、やはりこのTVライブの映像が一番彼らの当時の雰囲気を伝えてくれるだろうか。


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