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❝自由を❞


合宿へ

2023年8月26日(土)~27日(日)1泊2日でライジングフィールド軽井沢にて、
株式会社CRAZY(クレイジー)が運営する、
「PEEPS(ピープス)」というコミュニティの
❝1人の人間としてどう生きるか❞❝私はどう生きていくのか❞をテーマに
とことん自分と向き合う合宿に参加してきた。
 
少しかいつまんで説明すると、
CRAZYは「人々が愛し合うための勇気と機会を提供し、
パートナーシップの分断を解消する」という理念の元、
主に結婚式のサービスを提供している会社。
その理念に共感して集まった人たちがPEEPSというコミュニティ。
人と人の繋がり、互いの人間力を高めることが出来る場。
 
より詳しいことは下記へ。
毎年季節ごとに区切って募集しているので、興味があればぜひ。

PEEPS(ピープス)に参加したきっかけ

コミュニティに入ったきっかけは、
CRAZYで働いている友達の吉川さんの「人間に戻れる場所」という言葉。
ほほぅ。なんやおもろい所やないかと何も考えずに2022年に入った。
 
いくつか聞こえる人が運営するコミュニティに参加したことはあるものの、どれも長続きせず。
とりあえず参加してみる、自分に合わないと思ったら辞める、
ってことを繰り返していた。
それはコミュニケーションという壁が
そびえる崖のように立ちふさがるから。
 
そんなこんなで入ってみたPEEPSというコミュニティ。
そのコミュニティに参加している人は様々で、
CRAZYで結婚式を挙げた人、CRAZYで働いてみたいっていう人、
結婚式挙げてないけれど興味持って参加してみたっていう人、
本当に様々な背景や立場を持った人が参加している。
何よりも、障害を持っていても自然に助け合おうとしてくれる、
熱い心を持った人たちがいる。
 
そのコミュニティのメンバーの内、
CRAZY社員や合宿で人を導く森山さん含めた23人で行った合宿。
チームに分かれて、チーム内で自分の気持ちや感情、未来をシェアして
互いに感じたことを話しながら、
合宿の最終日で22人のメンバーの前で❝私はどう生きるか❞の
覚悟や宣誓を、心からの叫びを伝えるのがこの合宿でのゴール。

合宿を通して感じたこと

さて、ここから私が感じたことをありのまま残そうと思う。
  
この合宿に参加して真っ先に出てきた気持ちが❝悔しさ❞
雄大な自然の中で自分と向き合う覚悟を決めて来たメンバーと
とことん話せるワクワクさ。
それはもちろんある。
 
だが、僕は音や声が聞こえない聴覚障害者。
みんなの話はパソコンを通して
声を字幕化されたものを見ないと分からない。
同じ時間、同じ空間を共有しているはずなのに、
どこか違う場所にいる自分。
みんな手話で話せる状況ならどんなに良いか。
顔と一緒に言葉が見える化出来ている世界ならどんなに良いか。
 
この合宿のルールは以下の3つ。
100%で存在する:この場所に100%集中する、考え過ぎずにただそこにいる
場に貢献する:周りを気にせず、自分がやりたいと思ったことをやる
保留する:結論を出さない
     分からないと思ったことは分からないままでいい
 
この内2つがスタート時点から出来ていない。
100%で存在するどころか、パソコンの充電は大丈夫か、
ちゃんと字幕化されているか、みんなの動きは…
目まぐるしく目を動かさないと、観察しないと状況を掴めない。
そして場に貢献するどころか、
字幕はワンテンポ遅れて表示されたり、字幕化されない時があるから、
次から次へとどんどん話が拡がって、もはやもう分からない状態。カオス。
 
そこで決めたのは、発言しない。徹底的に聞く。
そこに立っている木のように根を張って、みんなの話を聞いて聞いて、
自分の中にあるものと擦り合わせていく。あまり発言せずに存在し続ける。
そして、自分の事はちゃんと話す。
木だって、何か言ってくれるわけじゃない。
主張しているのは私はここにいるから何かあったら寄り添うよってぐらい。
それでも100%で存在しているんだから、それでいい。
 
なこさんから言われた。
「他の人が話していることに対して何も言わないから
何を考えているか分からない」と。
うんうん、それでいい。
僕も字幕を追い過ぎて、みんなの感情が入ってこない。
何を言いたいのかさっぱり分からないから。
 
かろうじて分かったのはみんなの心の核に何があるのかぐらい。
くろいしさんは❝感情を出したい、もっと人に興味を持ちたい自分❞
ふでつかさんは❝仕事に情熱を傾けて、このままでいいのか迷っている自分❞
なこさんは❝怒りと悔しさ、そして卑屈になっている自分❞
 
あれ、結構みんな危ないとこをギリギリで踏ん張ってるじゃん、
ぐらいしか分からなかった。
 
字幕を追って、追って、時々話す人の表情を見て、
時々自分の話をして、みんなからの質問に答えて、
それを2日間繰り返していた。
はっきり言う。目疲れた。

周りの変化

そんなこんなで迎えた、叫びの日。
 
特に同じチームで、同じ宿泊テントで行動を共にした
くろいしさんが目に見えて変化していった。
くろいしさんは手話で話すことは出来ないけれど、
2日間、身振り手振りで次のスケジュールやどこに集合かなど、
伝えてくれた。
その身振り手振りには疑いようもなく、
くろいしさんの❝伝えたい❞という気持ちが、感情が乗っていた。
くろいしさんとは心と心が繋がり、
互いに1人の人間として接していたように思う。
 
その変化が嬉しく、
ふでつかさんから言われた
「手話で伝えても伝わらないという思い込みがあるのでは」
という言葉をしっかり噛みしめて、思い込みを捨て、
僕は声無しの手話でみんなに伝えた。

心と心が繋がったくろいしさんと。
何気に後ろから森山さんに見守られています。

心から魂から伝えたいこと

僕の人生のテーマは❝自由❞
 
1人の人間として自由に生きたい
みんなと同じタイミングで笑って、喜んで、悲しんで、怒って
そういうことをしたい
でもそれが出来ない
今もパソコンを通して字幕を見て、皆の顔を見て…しんどい
 
それでも僕は信じている
今歩んでいる道を歩んでいった先に
❝自由❞があると
 
生まれ変わっても1人の人間として生きていきたいですか?って聞かれたら
僕は生まれ変わりたくないって答える
 
それでも僕の後ろにはこれから生まれてくる聞こえない人たちがいる
僕が一歩踏み出して歩んでいけば
少しでもより良い生きやすい世界になると信じている
 
でもこれは僕1人では出来ない
みんなの支えや助けが必要です
 
聞こえない人は日本の人口の内、たったの0.2%しかいない
こうして出会えたのは奇跡の中の奇跡
だからこそ、みんなで一緒に変えていきたい
少しでも生きやすい社会を世界を創っていきたい
 
そういう想いで今日、ここに立っています
聞こえない人も一生懸命生きているんだよって
手話で声で心で伝えたい
 
自分の信じる❝自由❞という光を掴みに
みんなと一緒に歩んでいきたい
 
最後にみんなで一緒に手話で「拍手」をして終わりたいと思います
ありがとうございました
 
(この後、同じ内容を声で伝えました)

伝えきれなかったこと

ここで伝えきれなかったことを載せておきたい。
 
❝自由❞というのは
・障害を持っていると感じない世界
 ⇒今は大多数の健常者に合わせて作られている社会や世界。
  その中で障害者が生きようとすると生きにくい。
  そして、1人の人間ではなく障害者として見られる。
  障害者だからこれ出来ないよねと思われることがよくある。
  障害があろうがなかろうが、出来ることはたくさんある。
  そして、様々な人が選択し、様々な方法で生きることが出来る世界に。
 
・選択出来る自由
 ⇒例えば、学校や学習を選択できる/仕事を選択できる/娯楽を選択できる
  障害を理由に断る学校がある、セミナーで手話通訳をつけてくれない、
  障害を理由に雇わないあるいは契約・嘱託で雇う会社がある、
  邦画を見たくても字幕付の上映期間や数が限られている…などなど。
  少しずつ解消はされているもののまだまだ残っている。これが現実。
  選択の自由がない世界は、その人自身が持つ可能性を潰している。
  出来ないことよりも出来ることを。出来ることを少しずつやっていく。
 
・いつでもどこでも誰とでもすぐにコミュニケーションを取れる自由
 ⇒耳が聞こえませんと言ったら、こちらから対応方法を提示しなくても、
  自然に筆談、手話、声を文字に変えるアプリを使って
  コミュニケーションを取ってくれる。
  又は手話で話してくれる。
  理想は手話で全てが進む世界。言語が人の顔と一緒に見える世界。
  手話が使えなくても、
  ボディランゲージなどで伝えようとする気持ちがあることが大切。 

最後に

最後に、障害者は健常者が❝愛❞とは何かを知ってもらう為に
生まれてきたのかもしれない。
自分とは異なる、それも五感の内何かが欠けている人たち。
❝障害を持っている人、あなたは愛せますか?❞という問いを
健常者に投げかけているのかもしれない。
 
障害者と健常者、互いが壁を感じることなく、
心から手と手を取り合えたなら、分断は解消されていく。
生きやすい世界になっていく。
僕はこれからも健常者と接点を創っていく。それが僕に出来ることだから。
 
合宿を通して、私自身の変化は微々たるもので、
今まで持っていた信念がもっと確固たるものになっていっただけだけど、
みんなの変化が目に見える形で出てきていて、
それがとても嬉しく、楽しかった。

過去には戻れないけれど、
自分が望む未来に向かって、今ここから変えていくことは出来る。
どう生きていくかで望む未来は掴める。
だから過去を振り返るより、
もっとワクワクする未来に目を向けよう、想像を膨らませていこう。
その未来に向かって、今を一生懸命100%で生き、一歩一歩歩んでいこう。
ということが合宿を通して森山さんが伝えたいことだったのかもしれない。
  
❝僕はこれからも走り続ける。自由を追い求めて。❞

合宿に参加したみなさんと
このチームで想いを感情をシェアしまくった

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