(飛行機、どうなってるの?)その4
今回の内容
飛行機の重さや、材料・素材についてお話しします。
まずエアラインにかかるコストって?
最初に飛行機を設計・開発する立場になったとして考えてみましょう。
イメージとしては、有名どころのボーイングやエアバスの開発者です。
自分の開発した飛行機はユーザー(JALやANAなどのエアライン)に買って(もしくは借りて)もらい、使用されます。
エアラインがどんな飛行機を買いたいかを思いつくままに上げると
価格が安い
燃費がいい
整備性がいい
操縦性がいい
故障しにくい
最新(話題性がある)
といったところでしょうか。
中でも燃費はとても重要です。
燃料価格は年々上昇し、戦争の影響などで高騰することもあります。
価格の変動理由は、車のガソリンとほぼ同じ考え方ですね。
大手エアラインが燃料コストが金額でどのくらいかかっているかというと、直近で費用の25〜30%を占めています。(時期によって%は変動します。)
上記は一例ですが、エアラインが会社を経営する上で燃料価格というコストを低く抑えることは非常に重要なのです。
飛行機の売り手も燃料コストの低い(燃費の良い)飛行機を設計しなければなりません。
燃費を抑えるには?
では飛行中に使用する燃料を少なくするにはどうすればいいのでしょうか?
方法を思いつくまま列挙していきます。
飛行機を軽くする
性能のいい(燃費のいい)エンジンを使う
エンジンの急加速を抑える
飛行機の形を空気抵抗を減らすように変更する
飛行距離を短くする(飛行ルートをなるべく直線に設定する)
同じルートを飛行する際も、なるべく長い時間空気抵抗の小さい高高度を飛ぶ
また整備やその他の面でもコストは下げることは可能です。
より安く燃料を仕入れる
整備で燃料を抜く(DRAIN)量を最小限に抑える。
燃料給油時、OVER FILL(満タン以上に入れること)をさせない
飛行機を軽くするとなぜ燃費がよくなる?
燃費を良くする方法の1つに「飛行機を軽くする」というものがありました。
簡単に理屈を説明します。
例えば人がものを運んで歩く場面をご想像ください。
1kgの荷物を持って最寄駅まで歩くのと、
10kgの荷物をもって同じ距離歩くのでは、
後者の方が疲れますよね。
物理学的に「仕事量」で比較すると、10倍働いている(仕事量は1:10)と比較できます。
軽い方が疲れない=力(燃料)を使わないのです。
飛行機をどう軽くする?
では飛行機を設計するにあたりどこをどのように軽くすればいいのでしょうか?
そもそも重量を削減する方法には
材料を変更する
装備品(システム)を減らす
小さくする などがあります。
最近飛行機のモデルチェンジで最も重量軽減に貢献するのは、
胴体やWINGの材料を変更したことでした。
(例えばボーイング787は複合材料の大量使用で、大幅に軽くなりました。)
そして胴体やWING、STABILIZERが飛行機の面積に占める割合が大きいです。
大量に同じ材料が使用されている部分を、軽い材料や部品に変更すれば、かなりの重量軽減が見込めます。
しかしここで問題となるのは強度です。
飛行中に発生する荷重に、十分耐えることができる強度がなければなりません。
そのため材料選びの際は、
1、同じ大きさで比較してより重いか(比重)
2、同じ密度で比較して、どれくらい強度があるか(比強度)
が選出基準になります。
筋肉で例えると
太くてもパワーが少ない筋肉よりも
細くてもかなりパワーが出せる筋肉の方が望ましい
というイメージです。
昔の飛行機の材料
昔の飛行機は、アルミニウム合金(世間一般ではジュラルミンと呼ばれていた材料)で、
胴体やWINGが作られています。
アルミニウム合金の比重(大きさの割にどのくらい重いか)ですが、
ステンレス鋼の約1/3と軽いです。
LANGING GEARやENGINEなどの、もっと強度が必要な部分には、数種類の鋼などが使われています。
最近の飛行機の材料
数年前から飛行機の胴体やWINGの材料には「複合材料」が採用されています。
複合材料とは名前の通り「複数の材料を混ぜ合わせた材料」です。
馴染みのあるもので
「プラスチック+ガラス」
「プラスチック+カーボン」
といった材料です。
防弾ガラスと聞くと硬いイメージを持つかと思います。
またプラスチックと聞くと頼りなく聞こえるかもしれませんが、
混ぜ合わせる割合、細かい形(構造)、飛行機に使う部分、厚さ太さ
などを最適化して、強度を確保しています。
強度や耐火性が求められる部分には今までどおり「鋼」や「チタニウム合金」「耐熱合金」が使われています。
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