見出し画像

(コラム)航空整備士になるには?その1

今回は、学生の方や、転職を考慮中の方に向けて、航空整備士の目指し方について説明です。

最終学歴は?必要な資格やスキルは?
ニーズの限られる記事ですが、1人でも多くの疑問の解決になるよう解説します。


まず前提として

航空整備士とひとくくりに言っても、業務は様々です。
「JALやANAのような大型機旅客機の整備に関わりたい」
「セスナのような小型機の整備をしたい」
「ヘリコプターの整備をしたい」
「エンジンや計器の部品の整備をしたい」

そして上記のような仕事は、全て航空整備士という職業です。

いずれの業務、仕事においても共通して重要なポイントは2つです。

ポイント1

一定以上の難易度や重要度の作業をする場合は、いずれも国家資格が必要になります。
資格の名前に「運航」と付かないものの方が作業のできる範囲が広く、採用でも業務でも有利に働きます。

二等航空運航整備士より二等航空整備士の方が、業務範囲が広く、資格の能力が高いです。


ポイント2

大型航空機を整備する会社も、ヘリを整備する会社も、会社が所有する機体の整備の国家資格整備の経験を持つ人を採用しやすいです。
年度や企業によっては大卒や高専卒を採用する場合もありますが、専門学校などで資格を取得した方が、有利です。


以上を踏まえて、はじめての就活を例に、複数のケースで解説していきます。
(転職の場合も考え方は同じですので、ご興味があればご覧ください)


(1)小型機の整備士になりたい場合

小型機とは4人乗りのセスナのような、飛行機です。
エンジンはプロペラです。

必要な資格は?

小型機の整備をする場合は
「二等航空運航整備士」や
「二等航空整備士」の資格が必要になります。

これらの資格は、主に専門学校で資格を取得することができます。
専門学校については後ほど説明します。

どんな企業がある?

・ジャムコ
・朝日航空 等です。


就職の流れは?

1、専門学校で二等航空(運航)整備士を取得後、就職する
2、大学卒業後、無資格の状態で就職する
3、高校や高専卒業後、無資格の状態で就職する

小型機の資格であれば専門学校在学中に取得でき、また就活に有利に働きます。


(2)大型機の整備士になりたい場合

大型機といっても範囲が広く、
旅行する際によく乗るジェット機や映画に出てくるようなビジネスジェット機が該当します。
大型機か小型機か区別は、実は「最大離陸重量」という飛行機にお客さんや貨物や燃料を最大に乗せた時の重さによります。

その重さが一定の基準より軽ければ二等航空(運航)整備士の資格で業務できます。
それより重ければ一等航空(運航)整備士の資格が必要になります。

必要な資格は?

上記のジェット機は最大離陸重量が重くなるので、旅客機を扱うエアライン企業に勤めたい場合は、
「一等航空運航整備士」
「一等航空運航整備士」が後々必要となります。

現在は大学や専門学校で一等航空(運航)整備士の資格を取るのは不可なので、就職後にエアラインや整備会社で働きながら資格取得することになります。
(以前は専門学校在学中にインターンシップ過程で一等航空運航整備士を取得することができていましたが、現在は変更されています。)

インターンシップって?

インターンシップは企業と専門学校が提携して、在学中に一等航空運航整備士の資格を取得するコースです。
指定養成施設にも関わる話になり長くなりそうなので、別の記事で解説いたします。

どんな企業がある?

・JALエンジニアリング(運航整備、機体点検整備部門)
・ANAベースメンテナンステクニクス
・ANAラインメンテナンステクニクス
・ピーチ航空
・ソラシド航空
・AIR DO
・スターフライヤー
・ジャムコ などがあります。

普段見聞きするような馴染みのある会社ですね。


就職の流れは?

1、専門学校で二等航空(運航)整備士を取得後、就職する
2、インターンシップのある学校で専門学校在学中に一等航空運航整備士の資格を取得後、就職する。
3、大学卒業後、無資格の状態で就職する
4、高校や高専卒業後、無資格の状態で就職する

各種エアライン企業も基本的に専門学校の資格取得者を多く採用します。
理由は
・二等航空(運航)整備士といえども、専門学校で航空機や整備の知識があるた
・採用後、一等航空(運航)整備士の資格を取る際に試験の一部免除があったりして、合格率も高くなる=人件費の削減
という事情もあります。

企業の人員が足りなすぎる時期には、高校、高専卒も採用していましたが、あまり頻繁には行われないのが事実です。

HP上でどのような経歴の求職者を採用しているかを公表している会社もあります。

(3)ヘリの整備士になりたい場合

必要な資格は?

考え方は飛行機と同じで、就職先の企業の取り扱うヘリコプターが、
大型か小型か(最大離陸重量が基準より重いか軽いか)によって、必要な資格が異なります。

大型なら一等航空(運航)整備士、
小型なら二等航空(運航)整備士が必要です。

企業が必要とする資格(保有する機体)によって、専門学校で資格を取ればいいだけなのか、もしくはその後働きながら上位資格を取るのかが異なります。


どんな企業がある?

・本田航空
・ベルヘリコプタージャパン
・日本飛行機
・中日本航空

遊覧飛行を提供したり、空撮したり、救助をしたりと、ヘリにもいろいろな用途、企業があります。


就職の流れは?

1、専門学校で一等航空運航整備士を取得後、就職
2、専門学校で二等航空整備士を取得後、就職
3、大学や高専卒で無資格の状態で就職

取り扱うヘリの種類によっては、二等の資格で賄える企業もあるので、資格持ちが有利に働くことが多いです。


(4)エンジンや装備品の整備がしたい場合

必要な資格は?

飛行機やヘリ自体を整備するのとは異なり、資格も異なります。
航空工場整備士という資格が必要になります。
企業に入社後に資格を取得することになります。

どんな企業がある?

・ジャムコ
・JALエンジニアリング(エンジン整備、装備品整備部門)
・ANAエンジンテクニクス
・ANAコンポーネントテクニクス

工場整備士の資格も区分けがされています。
エンジンを取り扱える、計器を取り扱える、油圧装置を・・といった感じです。
その区別によって会社や部門が分かれています。

簡単に業務を紹介すると
装備品整備の場合、機体から取り外された無線機や計器をバラバラに分解して調整やチェックを行います。
エンジン整備の場合、WINGから外されて工場に搬入されたエンジンをバラバラに分解して作業します。

ちなみに飛行機に取りついたままのエンジンに対しては、(1)で紹介した運航整備(ライン)部門や機体整備(格納庫での整備)部門で行うことになります。
その場合は部品交換や、不具合修復がメインなので、バラバラにするほど深度は深くありませんが、高いスキルや知識が要求されるます。


資格は何歳から取得できる?

年齢が関係してくるのは、「資格の取得の際に○○歳以上でなければならない」という部分です。

大型の旅客機やヘリを整備する場合でも、
一等航空整備士:20歳以上
一等航空運航整備士:18歳以上
航空工場整備士:18歳以上
の制限で、年齢的には入社後にすぐ取得できます。

小型機の整備の場合でも
 二等航空整備士:19歳以上
二等航空運航整備士:18歳以上
の制限ですので、専門学校在学中に取得できることになります。

年齢よりも飛行機の整備経験の年数の制限が関係してきます。
このあたりは次回以降の記事で解説します。


次は専門学校やインターンシップについて解説

長くなってしまいましたので、各専門学校で取れる資格やインターンシップの優位性などについては別の記事に分けて解説します。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?