採用基準や働く環境に性差がないのに採用数に性差がついてしまうのは問題なのか?

タイトルについて最近悩んでいることを垂れ流そうと思って書いたら思いの外まとまったので公開しちゃいます。

背景:厳しく男女同率を求める世界の潮流

世界、特にヨーロッパでは社会において担う役割で男女同率を求める潮流が非常に強くあります。フランスでは議員候補者を男女同数にする「候補者男女同数法(通称:パリテ法 )」が成立して10年が経ちますし、外資系、特にアメリカの会社では、広告を発注するときには広告会社のチーム編成に男女同数を要求するケースもあると聞きます。これらは社会やあるコミュニティにおける役割に性差がなければ、その仕事を担う構成メンバー数に性差があるべきではない、という考えの現れかと思いますし、これについてはそうあるべきだなと感じます。

現状:採用数にだけ明確な性差

一方、ガイアックスでは、採用条件、働く環境としてはかなり性差がない会社だと自負しています。
2015年からエントリーシートに性別を書く欄がありませんし、誓って性別に異なる合格基準を適用するなんてことはありませんし、IT業界で男性にしかできない仕事などまず考えられず、業務範囲にも性差はありません。育児については男性が育児休暇を取ることもあり(まだ取得率に差はありますが)、個人的にはかなり性差のない会社だと感じます。

しかし、ガイアックスにポテンシャル採用(新卒採用)で入社する方の戸籍上の性別は男:女=7:3と、明確に性差が出ています。これまで一度も、女性の方が男性よりも多く入社した年はありません。周辺環境に性差がないのに採用数に性差があるのは、やはり問題であると言わざるを得ません。

女性の採用基準を緩和して均衡させるべきではない

一つ、絶対にやらないと思っていることは、「女性の採用基準を緩和して採用数を増やすこと」です。アメリカのアファーマティブ・アクションで逆差別の問題が出ているように、「採用数の性差」という不合理の是正のために「採用基準の性差」という別の不合理を用いるべきではないと考えます。なんの解決にもなっていない。もしかしたら一時的な解決にはなるかもしれませんが、「性差のない採用活動をしている」ということを胸張って言えないことによって失うもののほうが大きいように思います。

では、何が問題なのか?

おそらく、エントリー数の性差が問題なのだと思います。エントリー数に性差がなければ、そこから先の採用基準に性差がない状態ですから、人数比率の変動は個人の能力差や出会えたかどうかなどの偶然性によるものだけになります。実際に、エントリー数の性差はかなり大きく、エントリーシートに性別記入欄がないので明らかではないですが、感覚値では7:3〜6:4程度で、入社比率とほぼ同じです。

エントリー数の性差を解消することが最もバランスが良い?

ガイアックス社内で立ち上がった事業を眺めてみると、男性が立ち上げた事業は男性メンバーが多くなりがちで、女性が立ち上げた事業は女性メンバーが多くなりがちだなと感じます。すると、仮説として「立ち上げる人の性別によって男女比が変わる」と言えるかもしれません。が、どちらかというと「(立ち上げる人の性別によって生じたかもしれない)事業内容の差によって男女比が変わる」と言えそうです。

では、立ち上げる事業内容をトップから指示するのが良いのではないか?と思うかもしれません。しかし、ここでも「事業内容による採用数の性差」という不合理の是正のために「自分らしく生きることを制限する」という別の不合理で是正するべきではないと考えるため、事業内容を指示すること自体がリスクをはらみます。しかも、ガイアックスはトップダウンで指示する文化が極めて希薄です。トップダウンで事業の指示をしてしまうと、ガイアックス自体が崩壊しかねません。

結局、入社数における性差がなくなるようにするには、エントリー数における性差がない状態にする以外にないのかなと思います。

エントリー数の性差は会社の責任なのか?

ここは、もはや私がどう考えるか、ということ以外に結論は出ません。
「だって、ベンチャーを進路に選ぶ女性って少ないから仕方ないじゃん!」などと、社会の問題にすることもできます。しかし、ここを自分たちの問題とするかどうかなのだとと思います。

エントリー数をどうやって増やしていくかの具体的な方法や施策はわかりませんが、やってみよう。

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