2023シーズンの清水エスパルスのこと【終了編】
2023シーズンが終わって、気持ちの整理がついたので書いてみます。
J1ではヴィッセル神戸が念願のリーグ戦初優勝をつかみ、J3は愛媛FCが走りきりました。
今季の清水エスパルスが所属したJ2は、大ナタを振るった町田ゼルビアが制しました。では、清水エスパルスはどうだったか。
清水エスパルス(4位)勝ち点74 20勝14分け8敗 78得点34失点
2位で迎えた最終節で1-1のドローに終わり、3位のジュビロ磐田だけでなく4位の東京ヴェルディにもかわされました。
昇格プレーオフに回ることになったエスパルスは、プレーオフ第2節ヴェルディ戦のアディショナルタイム、微妙な判定で与えたPKを沈められ、ゴール目前でJ1昇格のチケットが零れ落ちていきました。
シーズン終盤に取りこぼしが目立ち、最終節に勝ちきれなかったところからプレーオフには嫌な予感がしていましたが、クラブ、選手、スタッフ皆さんができるだけのことはやったと思うので、責めるようなことは何一つありません。
むしろ、あの序盤戦からよくここまでやったと思っているくらいです。
■序盤戦
【リーグ序盤7試合のエスパルスの成績】
勝ち点2 0勝5分け2敗 4得点8失点
昨年に引き続き、ゼ・リカルド監督の指揮で始まった今季のエスパルスは、本当に何をしたいのかわからないサッカーをしていました。
つまらない内容と出ない結果。選手、サポーター全員がフラストレーションを溜めていたと思います。
7試合を終えたところでゼ・リカルド監督は解任され、後任は秋葉忠宏コーチが就任しました。
個人的には、ゼ・リカルドの手腕を疑っていたわけではなく、彼のサッカー観と選手たちの考えが最後まで合わなかったものと思っています。
どんなに優秀な選手たちが揃っていても、活かせなければ何の意味もない。
■転機
さて、重責を背負って監督を引き継いだ秋葉さんは、持ち前の熱さを隠すことなく、かつ、周囲とのコミュニケーションを重視するタイプの指導者です。日頃から一人一人の声に耳を傾け、意見を交わす。勝ったときには誰より喜び、勝てなかった時には誰よりも悔しがる。
選手たち、スタッフの下がりきったモチベーションを再び引き上げたのは彼の人望のたまものでしょう。
秋葉監督就任後、戦術的なポイントを一つ挙げると、やはり「トップ下・乾貴士」でしょう。
ゼ・リカルド政権下では主にサイドのポジションにいた背番号33は、トップ下に主戦場を移したことで本来の姿を取り戻しました。ゴールへのお膳立てとなるパスを供給するだけでなく、自由に動き回り決定機にも絡む。10得点10アシストの「ダブル」も叩き出して、J2ベストイレブンにふさわしい活躍でした。エスパルスがシーズン終了までこれだけの勝ち点と得点を積み上げることができた要因の一つは、間違いなく彼の起用変更です。
比較までに、第7節ヴァンフォーレ甲府戦(ゼ・リカルドの最後の試合)と、第31節町田ゼルビア戦のスターティング・フォーメーションを載せておきます。
システムが変わっただけでなく、試合をこなすことで選手たちの練度も増していきました。サブのメンバーたちもそれぞれの役割を果たすことで、層の厚さを見せることができていました。
◽️不安定
とはいえ、システムの中心である乾貴士が年間40試合すべて断続的にハイパフォーマンスを発揮できるわけではない。彼が不在の時もあれば、うまくはまらないときもある。当たればサポーター全員がスカッとするような大勝ち(例:第39節・いわき戦や41節・大宮戦)をすることもあれば、あっさり勝ち点を失う(例:第37節・藤枝戦や40節・熊本戦)こともありました。
もちろんサッカーは相手があるスポーツであり、うまくいくことよりもうまくいかないことの方が多いかもしれない。とはいえ、好不調の波が激しかったのは今季のチームの特徴でもあり、最後まで解決しなかった弱点でもあったと言えます。
とくに取りこぼしが目立った終盤戦は、濃くなるプレッシャーと疲労も大きかったかもしれません。J2は本当に長く、本当に甘くない。
◽️来季に向けて
ともあれ、目標の「1年でのJ1復帰」は果たせませんでした。足りなかったのは、もう一歩のアイデアか詰めの部分か、見る人によって見解が分かれるところかもしれません。
ただ、来季への続投を決めた秋葉監督には、それが見えていると思います。2023年12月8日現在、すでに何名かの選手の退団が決まっていて、今後また何名か追加されるかもしれません。また、新しく加わる選手もいます。
月並みな言い方ですが、我々サポーターにできることは、退団する選手たちに感謝しつつ、来季エスパルスのメンバーとしてプレーする選手たち・監督・スタッフを信じ、声を送ることだけです。
新スタジアムの構想も始まっています。
J2の沼が深くとも、来季以降待っているのが茨の道であったとしても、また地図を書き直しながら進んでいきましょう。自分は変わらずエスパルスを追い続けます。