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WHOと中国が共同でレポートを発表、欠ける透明感とくすぶる物足りなさ

中国とWHOが共同で発表したコロナウィルスの起源に関するレポートについての話をしたいと思います。そのレポートはWHOの主導で行われた現地調査が基になっています。

そして、このレポートについての感想を二つあげるとすると、「物足りない」、そして、不透明だということです。

まず、何が物足りないか。一つ目はあまり新しい情報が出なかったという点です。報告書の結論としてはコウモリを媒体としてコロナがパンデミック化した可能性が高いとしていました。しかしながら、その結論は一年前から言われ続けたものとあまり代り映えありませんでした。そのため、アメリカのサキ報道官はそれもあってか、今回の調査が不完全であり、さらなる精査が必要だと述べました。


二つ目の物足りない点は武漢研究所起源説を完全に払拭しなかった点です。史上類を見ない規模で感染が拡大していく感染力をコロナウィルスが持っていることから。一部の識者から今回のウィルスが武漢にある研究所から発生したのではないかと指摘していました。また、この説はトランプ大統領がコロナウィルスを政治的なものにしたことによって、彼に対する反動で今では多くのメディアが否定している説です。加えて、そして、今回の調査では可能性のある発生の起源として研究所も調査の対象となっていました。

しかし、研究所起源説が否定されている理由は中国政府が否定しているからです。また、今回の現地調査で武漢研究所起源説が「極めて可能性として低い」としながらも研究所への視察が中国政府の管理のもとで行われました。そのため、依然として研究所でウィルスが発生したという説がくすぶり続けるであろうと思います。

また、このレポートは物足りないと同時に不透明でもあると思います。なぜ不透明かというとひとつはレポートで用いられた調査方法にあります。そして、アメリカのブリンケン国務長官も同様の懸念を表明していました。今回の調査で選ばれた調査員は中国共産党が承認した人たちであり、調査範囲が非常に限られた調査でもありました。また、感染拡大が始まってから一年後に調査が行われました。そのこともあって、果たして公正で中立な調査がそもそもできていたのかという疑問がわきます。

また、中国政府の言動も不透明性を感じる理由の一つです。コロナウィルス発生当初、中国政府はコロナウィルスの危険性を警鐘する医者を逮捕したりして、傍から見たらコロナウィルスの発生を隠ぺいしようとしているのではないかと多くの人に思わせました。また、2020年の1月時点で人と人を介したウィルスの感染は無いとしていました。中国政府の疑念を持たせる一連の言動を見ていてどうしても腹落ちがしない人が多いかなと思います。

今回のウィルスがどういった経緯で発生したのか、どこから発生したのかを知ることは人類が今回のパンデミックから教訓を得るために、今度のパンデミックに備えるためには不可欠です。そのため、中国政府には日本を含めた多くの国の人々が持つ様々な疑問に対して答える責任と義務があると僕は考えています。

参考文献

米、WHOのコロナ報告書精査へ 中国の透明性「結論出ていない」 | ロイター (reuters.com)



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