見出し画像

床に染み込む

 大風邪をひいてすごい熱がでている 夜は息ができなくて座ってエンドレスに痰を吐いて過ごした 水が飲めなくて痰も減ってきて、眠気が襲ってきた 「今寝ると死ぬ」 理由はわからないが本能が告げる 死ななかった
 今までに何度か、死ぬかもしれないがまあ仕方ないか、と思いながら目を閉じたことがある 
 持病に神経痛があるのだが、最初は顔に出ていたが、最近は胸や背中にでる これがくせもので、神経痛とはいわゆる神経の痛み、癌とおなじである 疲れと冷えが重なると突然激痛がくる 顔のときは顔をおさえたまま受け身も取れずに倒れていた これが始めて胸にでたとき「これが心筋梗塞というものか?」と思いながら気を失った 暑い夏の日で、フローリングに倒れながら、このまま心臓が止まると溶けてしみこむまで発見されねえな、と思いながらぬるい床に倒れ込んだ 寝たら死ぬぞと自分を鼓舞できるほど痛みは優しくなく失神したことで痛みから解放された 1時間ほどして気がつき、近くの内科にいくと、心臓が専門なのか胸の痛いところをピタリとさし、「神経痛ですね」と診断してくれた
 年齢が年齢なので、そのうち「死ぬかもね」が現実になるんだろうが、そんなこと自分には選ぶ権利がない