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ありがとう

子供のころ、母が好きでよく見ていたドラマに「ありがとう」という作品がある。1970年から1975年までTBSで放送された。
主演は第一シリーズから第三シリーズまでが水前寺清子、第四シリーズは京塚昌子だった。主題歌の「ありがとう」も大ヒットした。

私の記憶にあるのは、第四シリーズで、カレー屋が舞台になっていた。劇中、生まれて初めて「ドライカレー」という食べ物を知り、母にどんなものかと尋ねたらカレー味の焼き飯だという。西日本ではチャーハンを焼き飯ということが多い。そこで作ってもらったらとてもおいしかった。

おいしいドライカレーにはなかなか出会えない。そこで自分で作ることにした。最初は失敗したが、経験を積むうち、百発百中でおいしいドライカレーを作ることができ、今では認定ドライカレー調理技術2級の腕前になった。

人生は思うように生きられず、つい自暴自棄になることがある。私はいつもそうだ。でも、どこかで私のことを見守ってくれる人がいる。そのような人たちに、ありがとうと言いたい。
今、世界は危機に瀕している。その中で世の中のために一生懸命にがんばっている市政の人たちがいる。医療従事者であったり、配送に携わる人だったり、スーパーで働く名もなき小さな存在。だが、そのような人のおかげで世の中は回っている。

感謝を表現するのは戦闘機を飛ばすことでも、ブルーライトでも、拍手をすることでもない。「ありがとう」と言うことだ。そして私はそれが言える人でありたい。

チャップリンが文字通り命を懸けて作った『独裁者』は最後に演説の場面がある。そこでチャップリンは言う。「絶望してはならない。世界には全人類を養う富がある」と。彼は6分間の演説をしたあと、絶望している恋人のハンナにラジオで呼びかける。

ハンナ 聞こえるかい 元気をお出し ご覧暗い雲が消え去った
太陽が輝いている 明るい光がさし始めた 新しい世界が開けてきた
人類は貪欲と憎悪と暴力を克服したのだ
人間の魂は翼を与えられて やっと飛び始めた 希望に輝く未来に向かって
輝かしい未来が君にも私にもやって来る 我々すべてに!
ハンナ 元気をお出し ハンナ 聞いたかい 聞きなさい!

ハンナとは、チャップリンの母の名前でもある。彼女は貧乏な生活で発狂してしまう。絶望のどん底にあった母へのメッセージだったのかもしれない。

この歴史的名作はぜひ観るべきだ。この映画で描かれているのはもしかすると現代の日本かもしれない。

今日も最後までお読みいただき、ありがとう。

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