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おとんが買ってきた双眼鏡

中学の時、おとんが質屋から双眼鏡を買って帰った。そして私にくれた。
「なぜ?」と聞くと、もうすぐ修学旅行に行くんだから持って行きなさい、という。いやいや、どこの世界に双眼鏡を修学旅行に持っていく中学生がいるだろう? どうせ買ってくるなら一眼レフキャメラが良かった。

その双眼鏡はすぐ後からおとん自身が競艇観戦に持っていくようになった。
たぶん、もともとそのつもりだったのだろう。
まあ、無駄にならなくてよかった。

私は成人してから急に視力が悪くなった。38歳で初めてメガネを掛けるようになるのだが、それまでは遠くのものが見えにくかった。
今はどうかわからないが、私がアメリカにいた時はマクドナルドもバーガーキングもメニューがレジ横になかった。店員さんの後ろの上部にあった。
小さな文字ではないが、見えなかった。そのため折りたたみ式のオペラグラスが役に立った。これを使うとメニューがよく見える。ただ、怪しいものと思われるという弊害もある。

いま、とても双眼鏡が欲しい。今住んでいるマンションは眺望がとても良いのだが、肉眼ではそれがよく見えない。そこで双眼鏡を使って景色を見ていのだ。
双眼鏡は安いものなら1,000円台からある。高いものは10万円以上する。最近は手ブレ補正の双眼鏡もあり、競馬中継のアナウンサーなどが愛用している。そのような高価なものは買えないが、せめて数千円の10倍程度の双眼鏡を手にしたい。
いまおとんが生きていれば良かったのに。

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