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年金の繰上げ・繰下げってどんなん?


生活用品から電気、ガス、ガソリンのエネルギー関連まで、ありとあらゆるモノが値上げされています。

そのうえ、社会保険料も値上げの一途を辿り、老後の生活を危惧する中高年の方も少なくないでしょう。

特に若い方であればあるほど、将来に対する不安は増していると思います。
働き盛りの現役世代は、労働による収入がありますが、老後における収入の大きな柱は年金となります。

自身の家計の経済状況によっては、年金の早期受給も検討せざるを得ない方もいらっしゃるかもしれません。

早期に年金を受給することを繰上げ、逆に遅く受給することを繰下げといいますが、それぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあります。そのあたりを解説していきます

年金の受給年齢

金の受給年齢は、原則65歳からですが、「原則」ですので「特例」もあります。特例とは、繰上げ・繰下げのことです。

繰上げとは、原則の年齢より早めに年金をもらい、繰下げとは、原則の年齢より遅くもらうことです。

ただし、繰上げ・繰下げ双方にはメリットもあればデメリットもあります。
それぞれ個別にみていきましょう。

繰上げのメリット・デメリット

メリット

・早期から安定した収入が得られる
・病気やケガ等で働くことが厳しい場合は、年金が収入源となりえる

デメリット

・一度繰上げ受給すると、取り消しや変更は不可であり、減額された年金が生涯続き、付加年金も同率で減額される。
・65歳になる前に障害者、寡婦(未亡人)になった場合でも、障害年金や寡婦年金は支給されない。
・65歳前に配偶者死亡による遺族厚生年金が受けられるようになった場合、65歳までは繰上げ受給している老齢基礎年金、または遺族厚生年金のどちらか一つの年金しか支給されない。
・老齢厚生年金も同時に繰上げの手続きが必要となる。
・国民年金に任意加入することや保険料を追納することはできない。

繰下げのメリット・デメリット

メリット

付加年金も同時に繰下げられ、同率で増額される。
・国民年金と厚生年金は別々に繰り上げが可能
・受給が開始されたら、増額された年金額が一生涯続き、付加年金も同率で増額される。

デメリット

・振替加算は、繰下げ支給開始時から支給され、増額されない。
・加給年金は受給できない。
・受給額の増額に伴って、社会保険料や所得税の負担増となる。


年金繰上げ・繰下げの具体例

繰上げの具体例

繰上げ受給の場合は、1962年4月1日以前生まれの方は0.5%、同年4月2日以後生まれの方は0.4%ずつ減額されます。

例えば、1962年3月生まれの方が62歳の誕生月で請求した場合は、0.5%×24か月=12%の減額となります。

令和X年の国民年金受給額の満額を780,100円と仮定すると、
780,100円×0.88=686,488円が年金受給額となり、亡くなるまでこの金額となります。

繰下げの具体例

一方繰下げ受給の場合は、0.7%ずつ増額されます。
1952年4月1日以前生まれの方は70歳、同年4月2日以後生まれの方は75歳まで繰上げすることができます。

先ほどのように令和X年の年金受給額を例に計算してみます。
1952年4月2日生まれの方が、67歳で年金を受け取る場合
⇒0.7%×24か月=16.8%
780,100円×116.8%=911,156円となります。

70歳であれば、0.7%×60か月=42%
780,100円×142%=1,107,742円となります。

厚生年金の場合も繰上げ、繰下げともに率は同じですが、計算の基となる額(標準報酬額)は個人差があるので、それによって受給額も変わります。

最後に

いかがでしたでしょうか。繰上げと原則の受給年齢は、この先数年は変わることはないと思われますが、フランスのように受給年齢が上がるのは時間の問題です。

しかも、年金を受給できるまで、あと数十年もある若い方などは、そのときになって繰下げしても現状より何割か下がることも覚悟する必要があります。

政府は、厚生年金の適用範囲を広げるなど、あの手この手を使って保険料納付者を増やそうと必死です。

しかし、少子高齢化のスピードは予測以上に進んでおり、これにより年金受給者も増加しています。

年金財政がいつまでも安泰ではなく、破綻はしないまでも、受給額が減っていくのは間違いないでしょう。

よって、今のうちから自分の資産は自分で増やす努力をする必要があります。

具体的には、資産運用に励むか、高額報酬を稼ぎ出せるスキルを身に付けるか。はたまた、70歳を過ぎても働いて収入を得られるようにするか、などです。

国(政府)をあてにせず、自分の生活は自分で守る。この考えこそが、人生100年時代を生き抜く術ではないでしょうか。


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