令和時代の生命保険提案

いきなり、風呂敷を広げた感じのタイトルとしてしまいましたが、令和になり、昭和や平成時代と比べて、お客様・販売者の環境が大きく変わってきている中、これからの生命保険販売はどうあるべきか?ということを(偉そうに・何の権限もないのに)考えてみたいと思います。

私自身は、生命保険のおかげで助けられた一人であり、生命保険のマジックを信じています。そこは、揺らがないです。

生命保険が素晴らしいのは、わずかな掛け金を払えば、自分が生きていて貯められるかどうかわからないような大金を、残したい人に残すことができるということ。これは、生命保険が「輸入」されてきた明治時代から、生命保険が持つ「本質」として揺らがないと思います。

10年更新型の定期保険であろうと、収入保障タイプの定期保険であろうと、そこは、それなりの理屈をもって必要性を訴求すればよいのだと思います。

10年更新タイプは、10年ごとに見直しのタイミングがあり、更新の際に保障内容を吟味できるという点で優れていますが、そういう説明をせず、ただ乱売すれば「保険料が倍になる!」というセールスパーソンに脅かされて、お客様は驚いて解約する。

収入保障タイプは、それをあらかじめ見越して保障額が減額されていくので合理的に見えますが、設計者の力量、つまり、FPとしての広範な知識が求められます。家族の必要資金について、どれだけ精緻に厳密に算出し、それに合ったプランを提示するかという能力が問われる一方、環境変化に合わせにくく、さらに、自分よりもスキルに勝る人がその契約を見たときに突っ込みどころがあると簡単に崩され、お客様は解約する。

どっちもどっちなんですよね。10年更新の契約を見て収入保障タイプの保険を提案する手法。収入保障の契約を見て10年更新タイプの保険を提案する手法。どちらも「アリ」です。

結局のところ、生命保険業界に長年いてわかったのは「絶対的に正しい生命保険提案手法」は存在しないということ。つまり、お客様にとって、どのような提案手法であってもお客様の「納得感」さえあれば、それが「正しい」ということ。提案は常に「相対的なもの」であるということです。

よって、お客様の話を聞かずに、自分が売りたい商品を売るセールスはこれからは必要とされないと思います。比較が簡単にできる世の中。ネットで何でも調べられる世の中。ここを理解せず、「生命保険って複雑でわかりにくいですよね」「生命保険はよくわからない、というお客様が多いんで情報提供に来ました」というような、昔ながらのトークをされると「そう?普通の理解力があればわかるけど」「いや、あとでネットで調べるんで」という反応になると思うんです。

昭和や平成のセールスは「お客様が生命保険に無知である」という前提で行われていました。そして、生命保険は「複雑で専門家でなければ容易に理解できない」という前提で、それをわかりやすく丁寧にお伝えしますという風にするのが良いとされてきました。

最近、保険ショップ型代理店といわれるところからいろいろな提案を受けて、かえって訳が分からなくなって混乱して懇意にしているセールスパーソンに相談が来ているという事例を耳にしました。

情報は提供すればよいということではなく、お客様が聞きたい情報を「十分に吟味して」適切に提供することが大切だと思うのです。

お客様はすでにある程度の情報を得ている、または、お客様はセールスパーソンが与えた情報の「裏を取る」と考えるのが必要で、何事も一周回って客観的に物事を伝えられることが必要と思います。

「私としては、お客様がご判断するにあたって必要と思われる情報はすべてお伝えしました。ご確認のお時間も必要でしょうから、じっくりと吟味いただき、私のご提案が役に立つという確信ができましたらご連絡ください。」

こういうセリフを言えるセールスなら、私的には〇です。





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