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5月からの株価回復は一時的なもの byアレキサンダー・エルダー

足元の経済政策についてみてみましょう。私は昨年12月時点で、米国株式市場は下落局面に入ったと指摘しました。

米国の中央銀行である連邦準備制度(FED)は、インフレへの対応策として利上げを進めていますが、この利上げが相場にどのような影響を与えたかは利上げ後の相場の下落をみても明らかでしょう。

そして、政府の対応はまだ終わってはいません。その証拠に、6月15日から、さらなる金融引き締め策となる量的引き締め(QT)を開始する方針が発表されました。

新型コロナによるパンデミックの発生前までは、4兆ドルの資産買い入れ規模となっていた中央銀行のバランスシートは、現在は約9兆ドルにまで膨らんでいます。

中央銀行はこれまで利付債の買取りを通じて即時に再投資を行ってきましたが、米国債が満期を迎える6月15日以降は行われないことになります。

つまり、2年前に中央銀行が始めた金融緩和とはまったく逆のことが起こり、これまで市中に供給されていた資金の流れがストップすることになるのです。

過去2年間にわたる金融緩和政策によって株式市場の高騰が続いてきましたが、引き締め政策への転換によって相場は今後どのようになるとみなさんは予想しますか?良い方向には働かないことが容易に考えられますね。

さらに、今年5月31日付でブルームバークは、ゾンビ化したアメリカ企業について「業績改善はおろか、金利の支払いもままならないような企業にとっては、残された時間はもうあまりない」と報道しています。

参考リンク(英語):Zombie Firms Face Slow Death in US as Era of Easy Credit Ends(Bloomberg)

このような経営破綻に近い状況にある企業の数は、大手上場企業上位3,000社の実に3分の1にのぼり、対象企業が抱えている負債合計額は9,000億ドルにものぼります。これは、私たちが近年経験したことがないような倒産の嵐が、今後起こりうることを示唆しています。

株式市場はまだ底入れをしていないと私はみていますが、5月の相場の戻しにつながった強力なシグナルが出ていました。

経験上、テクニカル指標が示す売買サインのなかでもこのスパイクのサインは最も信頼性の高いシグナルであると私はとらえています。

週足の「新高値・新安値指標」(=新高値をつけた株の数-新安値をつけた株の数)がマイナス4000以下となったあと、そのレベルを上回ってきたら、それがスパイクのサイン(買いシグナル点灯)です。(「信頼性の非常に高い買いシグナルが点灯!」より一部抜粋)

同僚のケリーが数週間前に公表した分析チャートを再び見てみましょう。2008年の大暴落の際には、下落相場が続いていたなかにあっても、チャート上で黄色にハイライトしたようなスパイクのサインが複数回出ていたことが分かります。

このようなスパイクのサインが出た際には、ひどい相場環境下でも数ヵ月とは言わないまでも数週間の上昇が見られたのです。私はS&P指数の週足チャートのバリューゾーンでみられるこのような株価ラリーを、トレードのチャンスとしてみています。

結論としては、下落局面が続く非常に厳しい相場環境のなかでの5月からの株価回復は一時的なものであって、間もなく終わることが予想されます。

スパイク・トレーダーであるLou C.は今の状況を「熱帯暴風雨」と呼んでいますが、私たちはまさしく今、嵐の真っただ中にいるのです。

今はリスクをとって英雄になろうとするような時ではありません。十分に注意をしてトレードをしてください。少しでも株価上昇ラリーがみられたら、買い持ちしている株を手仕舞ってください。

現在の荒れた相場の後には素晴らしいチャンスが回ってくるはずです。このチャンスで仕掛けることができるように、落ち着いて手元の投資資金を守り続けましょう。

(FPO編集部より)

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世界中のどこにいようともパソコンひとつあればトレーディングは可能ということを率先して証明してくださっていますね。

PS
エルダー博士が世界中を飛び回っているように海外ではすでにコロナ前の世界に戻っています。慎重な姿勢も大事ですが、日本がますます取り残されないよう、徐々にでも私たちの意識も変えていく必要がありそうですね。

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