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身代わりを川に流して厄払い

藤ノ井です。3月3日は、ひな祭り。女の子の成長と幸せを願って厄払いを行う、日本文化を代表する風習の1つです。

江戸時代には盛んになっていたということですが、いつから始まったのかは正確にはわかっていません。すでに平安時代には、紙で作った人形を川に流して、無病息災を願う祓いの行事としてあったとか。

現代とは食糧事情や医療技術が違うので、子供が生まれても食べるものが充分でなかったり、風邪をこじらせて亡くなってしまうなど、乳児死亡率が相当高かったといいます。

そこで、子供の成長を強く願った親たちは、子供に見立てた形代(かたしろ)と人形(ひとがた)を神社でお祈りをしてもらいました。

「形代(かたしろ)」は、身代わり信仰の一つで、けがれや災いを移し代わらせる意味がありました。その形代を川へ流すことで厄が祓えたことに感謝するという行動が広がったとされています。

江戸時代になると、上流の女の子たちは人形で「ままごと遊び」をするようになりました。布の製造や裁縫の技術もどんどん高度になっていき、人形を作って商売する町人も出てきました。

当初は、男雛と女雛の一対が主流で、座った姿ではなく立ったものもあったようです。公家への憧れからか、天皇、皇后両陛下をなぞらえて作られたともいわれています。

また武家に生まれた女子が結婚する際には、嫁入り道具と一緒にひな人形も持っていくのが、次第に慣習化されていきました。そういった武家の見得が強くなっていったためにひな人形も男雛と女雛の一対ではなく、宮中に使える官女(かんじょ)、音楽を演奏する五人囃子(ごにんばやし)などが加わって、豪華な雛飾りになっていったようです。

現代では、部屋のスペースの関係もあってか、豪華なものよりは、当初のような男雛と女雛の一対が好まれるようになってきているようです。

ひな人形で人気が高い企業といえば、久月(きゅうげつ)。1835年創業という江戸時代から続く老舗です。本社は東京で、現在は株式会社久月となっています。残念ながら上場企業ではありません。

同社は毎年、3月3日のひな祭りを前に、今年活躍が期待される人物を題材にした「期待びな」を発表。2021年の「期待びな」は、コロナ終息と世界秩序回復を願って日米のキーマンをモチーフに制作されました。

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(写真:2021年立親王「今年の期待びな」発表/久月HPより)

米国からはバイデン大統領とハリス副大統領。

日本からは小池東京都知事と吉村大阪府知事。きらびやかな束帯衣装での立ち姿。二人の手には大きなマスクが持たれています。

ちなみに昨年の期待びなは、小池百合子東京都知事と森喜朗東京オリンピック競技大会組織委員会委員長(当時)でした。森氏は残念ながら不適切発言で辞任となりましたね。普通に開催されていれば華やかな引退劇になっていたはずが・・・。後任候補として名前が挙がった川淵三郎氏も、就任要請を辞退するという混乱ぶり。

1年延長になった東京オリンピックですが、大会は予定通り開催?中止、延期の可能性は?それこそ形代(かたしろ)を川に流して厄払い!開会式は7月23日。残された時間は少ないですが、なんとか世界平和と新型コロナウイルス克服の象徴として成功してほしいと願っています。

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