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FIREを諦めると人生は10倍楽しくなる

割引あり


今を楽しめ!ダラダラ働き続けた方が人生は楽しめる!


はじめに


この度は、本書を手に取って頂きましてありがとうございます。
筆者が受けるご相談内容は、老後資金に関する事が圧倒的に多く、今もそれは変わらないのですが、最近ちょくちょく頂くご相談が題名にもなっている『FIRE』に関するご相談です。
FIREはご存知の方も多いと思いますが、ざっくり言うと、
資金を貯蓄し、仕事をせず、もしくは適度に好きな仕事をしながら生活していく。
と言うリタイアメントプランの事です。
元々、アメリカで発祥のFIREですが、なぜ今こんなにブームになっているのでしょうか?

答えは今日本に蔓延する『閉塞感』にあると筆者は考えます。
米国では、良い人材はどんどん転職し、キャリアアップしていく。と言う文化があります。
したがって、企業は良い人材に長く在籍してもらおうと、どんどん年収がアップしていく風潮がありますが、我が国日本では、今だ終身雇用制度が根強く、出来る人材であろうが何であろうが、長く勤める方が圧倒的に有利になります。
したがって、企業はそんなに高待遇な条件を提示しなくても人材が流出する事は考えにくく、結果、出来る社員であっても、ほとんど仕事をしない『使えない社員』であっても、出世しない限り給与の良し悪しはそんなに変わりません。

逆に、出世だけした使えない上司が高給を取り、働きづくめで成果を出している若手が薄給であるのが現在の日本です。

つまり、日々会社の為に身を粉にし必死で働いている人もそうでない人も変わってくるのは残業代ぐらいであり、頑張っても報われる事はなく、向上心のある社員のフラストレーションは溜まって当然。
と言う訳です。

その日々の閉塞感の中で息苦しい毎日を送っているサラリーマンが多い日本で彗星のごとく現れたFIREは、
『この閉塞感から解放される!』
と言う一刻も早く閉塞感から抜け出したいサラリーマンの心を鷲掴みにし、またたく間にブームになってしまいました。

筆者が、FP(ファイナンシャルプランナー)として、活動を始めたのも、まさに今述べたモノと同じ閉塞感を感じており、少しでも早く抜け出したい。と言う思いからでした。

しかし、FIREとは元々
お金を稼ぐ能力がある人が、贅沢しなければ株などの配当金でも生きていけるよね。
と言う名の元、仕事を引退すると言うプランの事であり、そのプランをごく平均的なサラリーマンが実跡するのにはかなりの無理が生じてきます。
そこで、生まれたのが、バリスタFIREと言って、適度にアルバイトしながらFIREする。と言ったプランや、リーンFIREと言って、生活費を極限まで抑えてFIREの状況を作り上げる様なプランです。
※詳しくは後述します。

この様なプランですと、達成のハードルが急激に下がりますので、平均的なサラリーマンでも努力次第でFIREも達成する事も可能です。

しかし、バリスタFIREとは50、60歳になっても、ずっとアルバイトの生活をする事。
であり、リーンFIREとは、極限に節約し続ける一生を送る事になります。
その事に全く抵抗が無い方であれば何も問題ありません。
あなたが目指しているFIREに向けて全力疾走し、目標を達成する事によって幸せが待っている事と思います。

しかし、FIREの目的は一体何でしょうか?
それは、おそらく『仕事に縛られる時間を減らす』=『幸せな時間を少しでも長く過ごしたい』
のだと思います。

誰だって好きな時に好きな仕事だけをして生きていきたいし、
顔も見るのも嫌なのに毎日顔を合わせて仕事しないといけないなんてもっての他だし、
好きな時に我慢せずに好きな物を買いたいし、
もしかしたら、仕事なんてしたくないかも知れません。

それを全て可能になるのが
FIREなのですが、特別に稼ぐ能力が無いサラリーマンであれば、達成するには相当な忍耐と努力、そして能力を必要とします。

ごく普通のサラリーマンがFIREを達成する。と言う事は、
副業などで収入を上げまくり、したい事をせず貯金し我慢し続ける生活を数10年続け、ようやく達成できるモノです。
そして、ようやくFIREを達成したその時手元に残るのは、生活に困らない程度の適度な資産と老いぼれた体だけ。なんて事になってしまう可能性が高いのです。

何もFIREを目指すのが悪い事だ。と言いたいのではは決してありません。
筆者も元々FIREを目指して頑張っていましたし、今も心のどこかで憧れはあり、達成出来れば良いと日々思ってしまっています。

しかし、 お金のプロであるFPが真剣にFIREを目指した結果、お金に精通しているからこそ、FIREが相当に難しく辛い現実が待っている事に気がついてしまう。と言う皮肉な結果になってしまいました。

よく例えられるFIREの例えとして、資産を1億円を貯めて、毎年4%ずつ切り崩していけば資産は尽きる事なく、毎年400万円の不労所得を得る事ができますよ。
と言うモノです。
と言う事はFIREを達成するのに1億円の資産が必要であり、この1億円と言う資産を平均的年収のサラリーマン(430万円)で達成するのは相当至難の技だと言う事はお分かり頂けると思います。

なので、生活費の半分ぐらいはアルバイトでも捻出する。と言うバリスタFIREや、
極限まで生活費を切り詰めて、生活費自体を少なくするリーンFIREなるモノまで登場しました。

FIREとは自由であり、人生を幸せにしたい。と願うからこそ努力し手に入れる夢の様な生活です。

しかし、いつの間にかFIREする事自体が目的になってしまっており、本当は節約なんてしたくないのに、リーンFIREを目指してしまっていたり、人に指図されるのがイヤだからFIREを目指しているのにアルバイトをし続けるバリスタFIREを目指してしまっていたり。なんて事を自分でも気づかぬ内にやってしまっている事も往々にしてあり得るのです。
目的はあくまで楽しい仕事をしながら、もしくは全く仕事をせず趣味や好きな事をし続けれる事。
すなわち『幸せな時間』をたくさん過ごせる事であり、FIREを達成する事ではない筈です。


他の人よりお金を貯める。と言う事は結局は時間の切り売りであり、その切り売りで得た資金をFIREの為に全て運用や貯蓄に回す事に他なりません。
つまり、若い内の自由な時間を全て労働に捧げ、早くて15年。普通のサラリーマン家庭なら30年程の月日を要した後に待っているのはバリスタFIREやリーンFIREと言う訳です。


それなら、やはり普通に働いて、適度に遊んで老後を迎える方が幸せな人生だな。と筆者は最近思い始めました。
それでは、早速FIREについて解説していきますが、読む前に1つだけ心に留めて欲しい事があります。


それは、本書はあなたが目指しているFIREの現実をしっかり知ってもらう事を目的としている。
と言う事です。


つまり、FIREを目指す為に必要なスキルを『バイアス』を一切掛けずに淡々と述べていくので、
本書を読み終えた頃には
ただただ絶望的な気分になる方、
はたまた筆者に対して腹立たしい気分になる方、
逆に、やはり自分が求めているモノだった。と改めてFIREを目指せる方まで様々でしょう。


本来なら、
『誰でも頑張ればFIRE達成出来るよ!』
『一緒に頑張りましょう!』
と言った希望を持てるストーリーの方が圧倒的に読者受けもよく、良く共感され、良く売れ、しかも読者受けも良いのです。

しかし、筆者はそんな読者に忖度した内容のモノを執筆するつもりはありません。

なぜなら、FIREを目指すのは、そんな生易しい事ではないからです。

したがって、気軽に目指してしまうとこの先人生を数10年ムダにしてしまう事になり
それはあなたを不幸せに導いてしまう事にも成りかねないからです。

そうならない様に、本書を一読しFIREをしっかりと学んで頂き、現実を知った上で、
あなたがFIREを目指すかどうかご判断されればと思います。

本書があなたの今後の人生の道標になる事ができれば幸いです。

それでは、FIREを目指している方も、そうでない方もFIREの現実をご覧下さい。



FIREについて


FIREとはFinancial Independence Retire Early(ファイナンシャル インデペンデンス リタイア アーリー)
(経済的自立と早期リタイア)基本的には働かなくても経済的にやっていける状態になる。と言う意味です。
FIREの元になった有名なルールとして4%ルールと言うモノがあります。
これは、米国のトレニティ大学の資産運用に関する研究で、
米国の年成長率が年平均7%。
物価上昇率が年平均3%
なので、米国株(S&P500など)で運用しておけば、差し引き4%で資産を取り崩しても資産は枯渇する事はないですよ。
と言う研究です。
※S&P500  米国を代表する500社の事。米国版日経225の様なモノ。

実際、過去データを米国株を4%ずつ取り崩していくシミュレーションした結果、
20年間資産が枯渇しない確率は100%。
30年間資産が枯渇しない確率は95%。
と、どの期間を切り取ってもほぼ資産が枯渇する事はありませんでした。
ちなみに、資産が枯渇してしまった残り5%は、1920年代の世界大恐慌が絡んだ30年間のみであり、
他の期間に関しては逆に資産が増えている場合の方が多い様です。
したがって、この4%ルールは米国ではもちろん、物価上昇率が米国より低い日本では、ほぼ100%成立出来るであろうルールとしてFIREの基本ルールとされています。
なので、4%を生活費とするFIREでは、生活費の25倍(4%×25倍=100%)を貯める事をゴールとしています。
そして、一般的な生活費は年間400万円。
よって、400万円×25=1億円
1億円を貯める事でFIREを達成できると言うのが定説です。

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